2007国民春闘共闘情報
全労連HP

第 40 号  2007年06月27日

 

 最終・第5回 春闘進ちょく状況調査

要求提出73%、回答は47%の低水準

妥結はわずか32%。スト実施は23%に改善

 国民春闘共闘は26日、各単産より全単組を対象とした春闘進ちょく状況の第5回・最終調査を実施した。参加27単産から4432組合分の報告があり、要求提出が73%、回答引出し47%、妥結32%など、昨年の実績を下回るきびしい進ちょく状況が明らかになった。




07春 闘 第5回 進 ち ょ く 状 況

2007年6月26日現在 ●国民春闘共闘委員会

単産名 調査組合数 スト権 春闘要求 回答引出し 平均賃上げ スト実施組合 妥結・妥結方向
確立数 提出数 組合数
全農協労連 304 調査中   188 62% 143 47% 48 4840 13 4% 67 22%
建交労 743 585 79% 585 79% 356 48% 356 2896 4 1% 252 34%
建設関連労連 49 5 10% 24 49% 20 41% 20 5541 0 0% 12 24%
JMIU 306 246 80% 246 80% 235 77% 235 5476 500 163% 174 57%
化学一般労連 111 38 34% 95 86% 93 84% 97 5755 7 6% 89 80%
繊維産労 1 1 100% 1 100% 1 100% 1 5732 0 0% 1 100%
合同繊維 10 4 40% 9 90% 9 90% 9 3628 0 0% 9 90%
自交総連 344 185 54% 257 75% 96 28%         60 17%
検数労連 2 2 100% 2 100% 2 100% 2 3069 2 100% 2 100%
通信労組 44 44 100% 44 100% 44 100% 44 500 39 89% 0 0%
全倉運 44 15 34% 41 93% 41 93% 39 5066 2 5% 33 75%
生協労連 170 20 12% 96 56% 91 54% 46 4367 2 1% 50 29%
全国一般 380 260 68% 260 68% 144 38% 144 4840 5 1% 90 24%
金融労連 81 26 32% 77 95% 27 33% 19 5051 0 0% 17 21%
全損保 13 13 100% 13 100% 11 85%     0 0% 9 69%
全証労協 22 12 55% 20 91% 16 73% 3 4377 10 45% 1 5%
外銀連 11     11 100% 1 9% 1 7000     1 9%
全印総連 136 29 21% 98 72% 76 56% 76 4509 20 15% 63 46%
民放労連 139 45 32% 123 88% 114 82% 114 6740 24 17% 78 56%
出版労連 129 27 21% 112 87% 105 81% 89 6369 20 16% 84 65%
映演共闘(労連) 18 調査中   18 100% 18 100% 18 6068 0 0% 13 72%
日本医労連 437 187 43% 323 74% 2247/TD> 57% 177 5517 103 24% 165 38%
福祉保育労 530 調査中   357 67% 104 20%     0 0% 45 8%
郵産労 1 スト権なし   1 100% 1 100%         0 0%
全国私教連 310 調査中   151 49% 31 10%            
特殊法人労連 10 7 70% 9 90% 8 80%         0 0%
報告計・27単産 4432 1802 55% 3221 73% 2097 47% 1598 4807 758 23% 1398 31.5%
前年6/28 計・30単産 4439 1928 60% 3432 77% 2540 57% 1515 4928 586 18% 1654 37.3%


注、@前年は、金融労連が当時の3単産から報告がありました。
   A報告計欄の平均賃上げ額は組合数の報告があった金額の平均(1組合あたり)です。




 
要求提出数は73%にとどまる。前年比4Pの減少

[調査組合数、要求提出数]

 調査組合数は全加盟組合のうち「交渉能力のある単組」が基準で、27単産の報告計で4432組合になり、ほとんどが中小労組である。組合数が多いところは建交労の743組合、福祉保育労530組合、日本医労連437組合、全労連全国一般380組合、自交総連344組合、全国私教連310組合など。
 要求提出は、計3221組合で全体の73%になり、前年に比べ211組合の減、比率では4ポイントの減少になった。繊維産労、検数労連、通信労組、全損保、外銀連、映演労連、郵産労の7単産が100%で、金融労連95%、全倉運93%、全証労協91%、合同繊維90%、特殊法人労連90%などが高率である。


回答引出し47%、単純平均は4807円の低水準

[回答引出し、妥結数]

 回答引出しは計2097組合で、前年比10ポイントも少ない47%の水準にとどまっている。遅れている要因は、原油・素材の高騰、単価切下げ要請などの不公正取引き、地域経済の不振、社会保障費・教育費の削減などを背景とした「業績赤字」「先行き不安」が多く、賃下げ強要や成果主義導入、労働条件切下げとセット回答のために「回答と見なさない」「受け取り拒否」などもある。
 こうしたなかで、内容はともかく回答引出し数が多いのは、検数労連、通信労組、映演労連など5単産が100%で、全倉運93%、合同繊維90%、全損保85%、化学一般労連84%などが高率である。

 回答内容では、相変わらず「ベアゼロ」が多く、「定昇カット」「賃下げ」などが計782組合で回答数の37%を占めた。ただし、前年比では8ポイント改善している。きびしいのは「定昇なし・ベアゼロ」や「定昇なし・賃下げ」で、建交労や福祉保育労、出版労連などが見られる。また、「定昇カット」や「体系変更」は減少したものの73組合(以上)もあり、03春闘以来からの定昇攻撃が続いている。
 平均賃上げ額(定昇込み)は別表のとおりで、1598組合の単純平均は4807円で、前年比121円の減額になった。なお、単産によって3000円弱から7000円までバラつきと格差がみられる。

 うち、妥結または妥結方向に達しているのは1398組合で、前年に比べ5.8ポイント減少し、いまだ31.5%の低水準にとどまっている。妥結しているのは、当初は「2次回答」や「前年実績以上」を確保した組合が中心だったが、ここにきて「超低額」ながら一時金で一定の回答を引出して妥結したり、上積みもかなわず「超低額」のまま妥結する組合も見られる。「全体としてほぼ集約方向」(解決率70%以上)になっているのは、繊維産労と検数労連の各100%、合同繊維92%、化学一般労連80%、全倉運75%、映演労連72%の6単産のみで、全損保69%、出版労連65%が続いている。このほかの単産では、きびしい回答内容のために未解決が多く、解決率が50%に満たない単産が16もある。


スト権確立は低調55%。決行は23%に改善

[スト権確立、実施数]

 スト権は1802組合が確立し、調査計の実質で55%の低水準だった。前年比で5ポイントも減少したまま改善されず、要求提出の減少に連動しての低水準となった。その要因は、消費不況・業績低迷や連敗春闘がつづいたなかでの闘争力低下があり、これらを悪用した思想攻撃があげられている。それでも、繊維産労、検数労連、通信労組、全損保の4単産が100%で、JMIU80%、建交労79%、特殊法人労連70%などが高率であった。

 うち、ストライキ実施組合数(指名スト含む)は、のべ758組合で全体の23%(昨年は18%)で5ポイント改善した。今年は「集中回答日」翌日の3・15第1次全国統一行動に262組合のスト決行が見られ、4・12全国統一行動、4月末の決着をめざす統一行動を中心に496組合がストライキでたたかい抜いた。今年ストを実施した組合はJMIUの163%が突出し、検数労連100%、通信労組89%、全証労協45%などが高い実施率になっている。このほかの単産ではむしろ減少傾向が見られる。


粘り強く解決めざす。夏季一時金と結合して

 以上の数値と各単産からの報告を総合すると、春闘の進ちょく状況は一昨年の05春闘で本格的な改善を意思統一し、要求提出、回答引き出しなどを4〜5ポイント改善させ、06春闘でほとんどの項目が前年並みにとどまり、07春闘では再び減少傾向になってしまった。改善されない原因は単産によって事情も異なるが、報告内容や討論の中では、主体的要因として「要求獲得への執念」「地域・地方、中央本部の集約体制」などの不十分さがあげられている。こうしたなかで、未解決の組合では要求実現をめぐる取りくみが続いており、多くの組合が7月上・中旬の一時金支給日などを目途に粘り強く全面解決をめざしている。




 
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