2007国民春闘共闘情報
全労連HP

第 14 号  2007年02月22日

 

「生活が苦しい」層が計65%に

賃上げ要求2万7424円。時給106円UP

 正規・パートなど18万6891人/07春闘要求アンケート集計結果

 全労連と春闘共闘事務局は2月20日、07春闘の要求を大衆的に練り上げるツールとして、単産・地方組織が取り組んできた「働くみんなの要求アンケート」を集計した。これには官民27単産と2地方から正規とパートなど18万6891人分の実態と要求の集計結果が報告され、その特徴は以下のようになった。(集計数のみの最終点検は4月末日に行います)


1.フルタイム労働者の実態と要求について

あなたの生活実感は?

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  [「生活苦」は65.4%。背景に重税・社保負担] フルタイム労働者の生活実感については、「やや苦しい」が41.9%、「かなり苦しい」が23.6%で、計65.4%が「生活苦」を訴えている。前年同期は計64.8%で0.6ポイントの増となった。賃金抑制のもと、税金・社会保険料負担などにより、生活苦がじわじわと進行していることが窺える。

 [賃上げ要求・加重平均は微減の2万7424円] 賃上げ要求は、20単産の単純平均が2万8442円(前年同期比−676円)、13万7202人の加重平均が2万7424円(同−1351円)、3分の2ラインが1万7616円(同−874円)、9割ラインが7846円(同+77円)となった。前年比では、単純・加重の平均額と3分の2ラインがともに減額になるなか、9割ラインは増額となった。これは、「1万円」を要求する人が増えてきたことによる。

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 [社会保障拡充と税金問題を重視] 政府に対する制度要求は、重視するもの3つまで選んでもらったが、1位は「年金改革と最低保障年金制度の確立」で45.0%、2位「医療・介護・保育・生活保護等の改悪阻止と制度改善」42.6%、3位「消費税大増税阻止、低所得者への課税強化反対」37.1%となった。年金をはじめとする社会保障制度の拡充、税金問題への要求が切実であることがわかる。4位には「雇用創出・失業者の生活保障」26.9%が付けている。また、注目の「労働法制改悪阻止、労基法徹底と安全衛生強化」は17.3%で6位だった。アンケート記入時期が昨年の10月〜11月だったことによるもので、マスコミが連日報道し反対世論が高揚している現時点なら、もっと高い数値になったものと思われる。


2.パートタイム労働者の実態と要求について

 [生活苦は64.2%。高率ながら減少(改善)] パート等の生活実感は、「やや苦しい」が38.3%、「かなり苦しい」が25.9%で、計64.2%が「生活苦」を訴えている。この数値は、フルタイムの正規労働者(計65.4%)と比較してほぼ同数の高率であるが、前年同期は計67.8%で、3.6ポイントの減(改善)となっている。改善された要因は、時間給が僅かながら引き上げられたこと、正規に比べて税金・社会保険料負担が少ないことなどが考えられる。

 [いまの時間給、生協が多く800円台に集中] 時間給がいくらかについては、1位が「800円台」で19.2%、ここを山にして、以下2位「700円台」12.4%、3位「900円台」10.9%、4位「1000円台」5.2%、5位「600円台」3.5%と続いている。パート時給の男女計全国平均969円と比較すると、平均時給より低い層が断然多いことになるが、アンケート集計数の過半数(3万4457人中の1万8090人)が、過当競争下の流通産業・生協労連の組合員であることを加味する必要がある。

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 [賃上げ要求(時間給)は100円と50円] 生活実感や低額の時間給をふまえたうえでの賃上げ要求額(時間給)は、1位「100円」の20.2%と、2位「50円」17.3%の二つに集中した。以下、3位「30円未満」が8.6%、4位「30円」7.4%、5位「200円」6.7%と続いている。推定平均額(加重平均)は106円となり、前年の要求額を9円上回っている。パートの労働力不足によって、新規募集の時間給が30〜40円上昇しているもとで、前年以上に賃上げへの期待が高まっているのが特徴である。(注:「定昇の実施」は生協労連のみの項目です)

 [職場の不満は賃金・労働条件に集中] 職場での不満について、3つまで選んでもらったところ、1位は「賃金が安い」で44.1%と圧倒的に多く、2位「正社員との賃金・労働条件の格差」にも28.8%が集中し、3位に「仕事がきつい」が19.4%でつづいた。パート・非正規では、賃金・労働条件への不満が大きく根強いことがわかる。以下、4位に「職場や仕事がなくなるのではないか」17.3%、5位「同僚・上司との人間関係」16.3%が続いている。


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3.要求アンケートの集約数について

 [前年同期より多いが前年28万以上は微妙] 2月20日現在の集約数は民間22単産、公務5単産、計27単産2地方組織から18万6891人分を集約した。前年同期(06/02/20時点)との対比では2316人増となっているが、最終報告としている単産があるため、前年の最終集約数28万0522人を超えるかどうかは微妙である。地方は昨年16地方が集約したが、今年は高知、富山の報告があったのみで地方集約が遅れている。なお、これまでの最高記録は98春闘の72万人余である。

 [パート等の集約数は年々増加中] うち、正規とパートの集約数は、正規が減少傾向なのに対し、年々パート等の集約が増えており、今年は既に13単産から3万6322人分を集約した。前年同期は2万5682人であり、この時点で1万人以上増えている。


  





 
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