2007国民春闘共闘情報
全労連HP

第 11 号確定版  2007年01月22日

 

格差と貧困の是正、働くルールの確立

賃金・最賃を社会的にアピールしよう

 第1回単産・地方代表者会議で「春闘方針」を確立

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 国民春闘共闘委員会は1月18日午後、東京・全労連会館に24単産・団体4地方の代表ら68人が参加して第1回単産・地方代表者会議をひらき、「07国民春闘方針」を確立しました。
 重点課題のとりくみでは、(1) 格差と貧困の是正、働くルールの確立、雇用確保のとりくみ、(2) 賃金改善、全国一律最賃制の実現を「社会的にアピールする春闘」を展開、(3) 安全・安心な地域社会の実現を求める運動、(4) 社会保障の連続改悪、消費税率引き上げに反対し、国民負担の軽減を求める国民共同、(5) 憲法改悪を阻止し、平和を守るたたかいを旺盛に展開することを柱としています。
 主催者あいさつした坂内三夫代表幹事(全労連議長)は、教育基本法改悪反対闘争、偽装請負の告発、ホワイトカラー・イグゼンプション導入法案の国会上程断念のたたかいを紹介し、その背景に財界・大企業批判の国民世論があることを指摘。「春闘と二つの政治戦を通じて、労働法制改悪の根を断ち切るために奮闘しなければなりません」と強調しました。統一闘争への結集などを改善、強化し、大きな社会運動を構築するなら、「賃金底上げや最賃制の改善、均等待遇の要求でも、闘えば前進する。反転攻勢の春闘を前進させる、絶好のチャンス」として、参加組合の奮闘を呼びかけました。(詳細は「確定版」)。

 小田川義和事務局長が「07国民春闘方針案」を提案。前記5項目の重点課題を前進させるに当り、この間の経過と情勢にかかわって、
(1) 教育基本法改悪反対闘争の前進と、安倍首相の改憲、悪政のごり押し姿勢、
(2) 労働法制改悪反対闘争をめぐって、ホワイトカラー・イグゼンプションの法案上程断念と日本経団連、経済財政諮問会議の執拗な策動、
(3) 賃金闘争における要求アンケートの集約状況と「誰でも要求」の切実さ、
(4) 統一地方選挙勝利と安全・安心な地域社会実現の関連性、
(5) 国民投票法案を政府・与党が5月3日までに成立させるとしている危険性について
具体的に説明し、それぞれの課題での運動強化を要請しました。

 賃金改善では「ベア要求を掲げた積極的な賃金引き上げのたたかいを呼びかける」として、「誰でも月額10,000円以上、時間給100円以上」の賃金改善(底上げ)要求を確認。最低賃金要求は、全国一律最賃制確立を含む実効ある最賃法の改正を求め、「月額15万円、日額7400円、時間額1000円以下の労働者をなくそう」の要求を確認し、その実現を社会的にアピールする取り組み=署名、統一行動日を設定した宣伝、労組・団体要請行動をすすめます。

 春闘期における統一行動では、このあと、1月29日の「07春闘・都議選勝利総決起集会」を成功させることをはじめ、2月9日にキャノンなどの大企業向け宣伝の「2・9大企業包囲東京行動」(各地方は前後1週間で具体化)、2月12日に愛知のトヨタ本社を包囲する「第28回トヨタ総行動」、2月21〜23日のゾーンで地域総行動を各々が設定、3月6日には「安心できる雇用と賃金を!3・6中央行動」を実施します。その上で、2月末日までの要求提出、3月14日を集中回答日とし、翌15日に「ストライキを含む全国統一行動」、4月下旬にはゾーンを設定して回答促進をはかります。






反転攻勢の春闘を、絶好のチャンス

 主催者あいさつ●坂内三夫代表幹事(全労連議長) 


 皆さん、あらためまして、新年おめでとうございます。いよいよ、07春闘の本格的なスタートであります。今日は、1月9日に行なった新春一斉宣伝行動に続いて、朝10時からの厚生労働省・最賃交渉と、厚労省包囲行動、そして12 時からの丸の内デモ、1時からの日本経団連包囲行動を展開しての単産・地方代表者会議の開催であります。

 07春闘をとりまく情勢は、依然として容易ならざるものがあります。しかし今年の春闘は、久しぶりに反転攻勢のチャンスの中で闘われること特徴があります。新労働通信の新年号に、連合会長と全労連議長の新春特別寄稿が同時に掲載されました。期せずして同じタイトルでした。高木連合会長のタイトルが「反転攻勢、転機の年に」、全労連の私のタイトルが「労働組合運動の反転攻勢の年に」。滅多にあることではありません。
 実際に、日経連が1995年に「新時代の日本的経営」を打ち出してから12年の中で、今ほど財界や大企業の横暴に労働者の怒りが高まっている時はない。春闘共闘が、結成以来一貫して強調してきた「大企業は社会的責任を果たせ」、この声が、労働組合ばかりか、広範な国民の中からも、あるいはマスコミや政界の中からもおこっています。雇用の問題でも、賃金の問題でも、世論は我々の側に流れ始めているのではないでしょうか。

 運動の面でも、昨年臨時国会の教育基本法改悪との闘いでは、自民・公明圧倒的多数の今の国会の力関係の中でも、政府・与党を会期末ギリギリまで追い詰める前進がありました。昨年の秋闘では、偽装請負の問題でもJMIU、全労連全国一般、建交労通、大阪の地域労組などを中心に、大きな闘いが前進しました。そして、財界が通常国会での成立を強く求めていたホワイトカラー・エグゼンプションも、政府が提出を断念せざるを得ない状況になっています。この背景には、財界・大企業批判の国民世論があります。

 経団連前でも申し上げましたが、私は政府や日本経団連に対して、トヨタ自動車の2兆円突破をはじめ大企業が史上空前のぼろ儲けをあげているなかで、これ以上、労働者に過酷な労働を強いる労働法制の改悪を全面的に撤回し、逆に人間らしく生き、働くルールの確立に向けて大企業の社会的責任を果たすことを強く要求するものです。同時に、私たちの運動によって貴重な成果をあげつつあることに確信をもって、07春闘を闘うことを心から呼びかけたいと思います。通常国会への提出を断念したとしても、政府・財界は参議院選挙後の秋の臨時国会で、ホワイトカラー・エグゼンプションの強行をねらっている姿勢に変わりはありません。春闘の闘いを通じて、また二つの全国的政治戦を通じて、改悪の根を断ち切るためにお互い、奮闘しなければなりません。

 日本経団連が、御手洗会長のいうような希望の国・日本をめざすというのなら、まず、自らのモラルハザードや企業不祥事の原因と背景を徹底的に解明し、これまでの姿勢を転換し、根絶に向けた対策を国民の前に明らかにすべきであります。そして、偽装請負やサービス残業をただちに根絶し、深刻化する国民・労働者の暮らしや雇用を改善するために、07春闘では賃金・労働条件の抜本的改善要求に、真摯に応ずるべきであります。

 ところが財界のみならず、大企業の労働界全体に、この絶好のチャンスを生かす決意がつくられているのかといえば、トヨタ労組の1500円要求にみられるように、逆にチャンスの芽を摘み取ろうという動きがあるのは極めて遺憾です。今年は猪年ですが、昔から山より大きな猪は出ないといいます。労働組合の要求より高い経営者の回答は絶対に出ない訳ですから、日本一の大企業、2兆円ごえの利益をあげているトヨタが1500円要求というのは、残念ながらとうてい労働者や国民の期待に応える要求ではありません。

 定率減税の全廃、今年1月からの所得税、6月からの住民税減税の全廃で、48歳・年収500万円の4人家族で2万6450円の増税になる。1500円の賃上げでは、これにも足りません。
 同時に、大企業労組の批判をしていれば自分たちの要求が前進するかといえば、決してそういうものでもありません。自らの要求は、自らの闘いによって勝ち取るしかありません。我々がかかげる、すべての労働者に1万円以上の賃上げ、時給1000円以上などを実現するためには、私たち自身の統一闘争を強化する以外に実現の道はありません。今国会に、32年ぶりに改正法案が出される最低賃金闘争についても同じであります。

 我々はこの間、最低賃金の大幅な引き上げを要求して、生活体験運動、ハンガーストライキ、自治体の意見書採択運動などを展開してきました。昨年は全国平均で約3円の引き上げとなりました。たった3円では、時給1000円にするのに100年かかります。同時に、最低賃金スレスレで働いている人が1千万人以上いますから、3円上がれば3千万円、8時間で2億4千万円。年間250日で600億円の波及効果です。最賃法改正案を審議している最賃審議会では、生活保護より低い最賃は問題だ。最賃違反の経営者に対する罰則規定を強化すべきだ。財界が求めていた産別最賃の廃止は見送くる。

 基本的には、そういう方向で論議されています。審議会の議論を動かしてきたのは、私たちの運動です。全国的な統一闘争です。しかし昨年、最賃生活体験運動をやった県はいくつあるか。生活体験運動は19県、自治体の意見書採択に取り組んだのは24県。まだ、とても全国統一闘争にはなっていません。約半分の県で方針が実践されていない。それでも情勢を動かしつつある。今年こそ、大きな社会運動にしようではありませんか。

 憲法闘争でも、いよいよたいへん重要な局面を迎えます。安倍首相は年頭のあいさつで、改憲を参議院選挙の争点にすることを明言し自民党大会でも確認しました。中川幹事長は、5月3日の憲法公布60年までに改憲手続法である国民投票法案を成立させると言っています。教育基本法と違って、民主党も自民党との調整作業中で対決法案という位置づけはしていません。労働組合を中心とした大衆闘争の強化が決定的に重要です。

 皆さん、07春闘はすべての労働者の賃金底上げでも、最低賃金の改善でも不安定雇用労働者の均等待遇でも、春闘前進への大きな流れがつくられつつあります。闘えば前進する。反転攻勢の春闘を前進させる。その絶好のチャンスであります。教育基本法の改悪に続く、改憲手続法案など悪法を許さず、「守ろう、憲法・平和、なくそう格差と貧困、つくろう安全・安心な社会」。07春闘の勝利をめざして奮闘しましょう。






賃上げ・雇用確保を表明。悪法阻止へ決意

 賃上げと待遇改善、制度・政策課題の追求など討論 


 代表者会議が「闘争宣言行動」と同日開催のために短い討論時間のなか、建交労をはじめ化学一般労連、全教や神奈川の代表など10名が発言に立ち、方針案を補強しました。各代表の発言要旨は以下のとおりです。


構造・システムを変える春闘を組織  建交労・藤好副委員長

 07春闘のとりくみについて、今年のトップバッターはダンプ部会が結成後はじめて1月9日に130台でストを行った。年収240万円、月平均20万円で、10年ほど前に比べると40%も賃金が下がっている。昭和30年代の成田空港建設から、建設会社の合理化で会社持ちから個人持ちに切り替わって来た。積算価格の60〜50%という低入札が横行し、その入札価格から10〜20%も天引きされ、1次、2次、3次と下に行くほど低価格が押し付けられて、最底辺にいる個人・請負の労働者は生活できない。この様な構造・システムを変える春闘を、組織していくことが大切だ。

 失業・半失業の労働者が、1000万から2000万人もいる。最賃が生活保護以下だからと、生活保護を切下げることは本末転倒だ。全生連が新しい人権裁判を始めるが、支援して最賃制度の改善と共にたたかおう。




賃金構造維持分確保は当然、ベア確保を  化学一般労連・宮崎書記長

 06春闘では、賃金カーブを維持することにこだわってきた。結果として96支部中半数で確保・プラスαだった。半数は確保できず、平均月額31万2700円。これは前年水準を800円ほど下回った。今年は、しっかりと賃金構造を維持していきたい。要求基準は1万円とした。パート等の時間給は50円アップ。07春闘では、賃金構造維持分確保は当然、必ずベア確保を実現する決意である。

 制度政策では、労働法制、ホワイトカラー・イグゼンプション成立を止めたい。継続雇用は、全支部で協定化したい。少子化対策もこの機を活かして取り組みたい。組織の世代交代では、中堅・若手幹部の育成に取り組みたい。春闘の日程は春闘共闘に合わせていきたい。全国一律最賃なども併せて取り組みたい。機関紙、学習会活動の強化を推進する。
 要望として、中小では2012年適格年金制度の廃止で退職金の預け先を引きあげて一旦清算するというが、これには税金が掛かる。これを非課税にする検討や政府要求を進めてほしい。




子どもの就学権をしっかり守りたい  全教・新堰副委員長

 昨秋の教基法改悪反対のたたかいでは、「やらせ」「さくら」の神風が吹いたこともあり、政府・与党を切りきり舞いさせた。何よりも皆さんの集会や宣伝行動の奮闘と共同が、かつてなく広がったからと考えている。しかし、改悪は強行され、これから具体化の33法案が出されるが、私たちは意気高くたたかっていく。確信を持てたのは、この間の国民的な教育論議の積み重ね、労働組合・民主団体との共同の厚みを作れたからと、憲法の立脚点がある思想・信条・内心の自由を定めた憲法、国民の教育権を定めた憲法がある。この2つを力に引き続き頑張っていきたい。

 労働法制の改悪反対では、教員イグゼンプションという問題がある。教員は、労基法37条の適用除外で時間外手当は出ないが、包括的に4%の手当が出ている。月に約6時間から7時間になる手当だけで、際限の無い長時間・過密労働となり、文科省調査でも月60時間、持ち帰り20時間、計80時間のサービス残業で厚労省の定める過労死ラインが実態だ。
 これに見合う総人件費は教員給与の見直しで2つの制約がある。行革推進法で公務員の総人件費を削減、定数を1万人純減する。一般行政職の公務員と比べ高いからと2.76%の削減と決まっている。まだ結論は出ていないが、教員は夏休みを考慮し、普段のときは夜遅くなっても「1年間の変形労働時間制」で乗り切ろうと考えている。全教は労働法制改悪を自分の問題として全力で頑張る。

 貧困と格差の広がりの中で、これまでも学校給食費、教材費、授業料の未納が問題になっているが、累積額は行政も放置できないほどになっている。文科省が調査を行ったが、「親の家計収入負担が重いから給食費・授業料を払えない」ではなく「払えるのに払わない親が増えている」と規範意識の足りない親に原因を置き換え、差し押さえなどの法的措置・強制徴収に動き出し、奨学金でも同様の動きがある。京都の学習会で、「中学校を卒業・就職してから『先生、給食費の未納がありました』と、15万円支払に来た子がいる」。また、修学旅行費の積み立てが出来ないが、前日に親が全額持って駆け込んで来て『授業料はもう少し待ってくれ。修学旅行をこれで行かしてくれ』という話を聞いた。全教では、どの地域で学ぼうが、親の経済的状況がどうであろうが、学びたい子供の就学権をしっかりこの春闘で守りたい。




時給1300円を掲げ、均等待遇の実現へ  出版労連・津田委員長

 2月15日に臨時大会を開き要求を決めるが、賃金要求は定昇込7000円、35歳で30万円の賃金という昨年の要求を踏襲している。均等待遇では、出版界は正規労働者よりもフリーライターとか編集プロダクション・下請などで働いている人が圧倒的に多い構造を持っている産業で、均等待遇を実現するためには最賃を上げなくてはと、企業内最賃の協定を取り組んできた。企業・経営者側も抵抗したが、それでもだいぶ成果を上げて平均は1000円近くになる。社員が定年になれば、非正規労働者・パートで穴埋めするのが多く、格差がかなりあるのでフリーライターを含め、同じ仕事なら同じ賃金をということで、時給1300円にと要求に掲げた。出版界は、ほとんど大学出なので、大学出の初任給20万を労働時間で割ると1300円になる。これを、各企業の中で実現するという方針を出している。

 教基法では、昨年スト権を掲げてたたかって来た。教基法は通ってしまい、次の臨時大会ではスト権を下ろすことになっているが、改憲が目の前にあり、国民投票法案にもメディア規制がある。スト権は普通の春闘スト権、連帯スト権とともに憲法改悪反対スト権として確立したい。国民投票法案・共謀罪にも利用できるようにしたい。こういう提案で、出版労連の今春闘の目玉としてたたかっていく。




東京海上日動社裁判に勝利し、春闘勝利の一端に  全損保・吉田委員長

 昨年2月から始めた東京海上日動社裁判の判決は、1月12日に結審、判決は3月26日に決まりました。裁判官は、日の丸・君が代裁判で勇気ある判決を書かれた判事である。4月1日には制度廃止が強行され、人事異動の命令に逆らえば外勤社員は解雇されるので、4月1日までには判決をとの主張に、裁判官は3月26日、103号法廷という大法廷で判決することにした。裁判官本人は、日の丸・君が代裁判であのような判決を出したため、4月1日には転勤が必死という中での判決で、私どもは勝利判決を確信している。

 裁判の中でも会社は、雇用を守ると言いながら外勤社員を放逐しようとして、921名いた外勤社員もすでに850名が代理店として放逐・退職させられた。代理店になれば職をあてがわれたように思うが、単に委託契約を結んで保険の募集をするだけで、収入の保証も無く、いつでも何の理由もなく契約解除が出来る不安定な立場に追い込まれる。年収も500万円稼げていた人が、代理店では350万円になる。代理店自体が小規模・零細の淘汰を激しくやっており、代理店としても生きてはいけず、大きな代理店の従業員になる。すると年収は200万円にと、一生不安定な生活を余儀なくさせられる。残る60人には、外勤社員はやめるが継続雇用を保障すると言っていながら、代理店の従業員へと永久的に出向が押し付けられる。2分の1の歩合制なので倍の仕事をしなくては年収が確保できない。

 裁判の中で、会社側弁護士は不利益変更には会社の高度な合理性が必要だが、会社が決めたことには高度な会社の合理性がある。企業が決めたのだから裁判・司法は口を出すなとばかりに言い放った。労働ビックバンのような資本の居丈高な態度、裁判所は口を出すなという展開になっているので、裁判官が心置きなく、勇気を持って判決が書けるよう取り組みを強め、勝利判決を手に、速やかに会社へ雇用を求めたい。団体署名・手紙の要請署名にご協力を。毎週、東京争議団とも協力して宣伝行動をし、判決日前には「2週間総行動」を連日展開する。仲間の雇用を守り、資本の横暴な出方を食い止める春闘共闘全体の、一端のたたかいに勝利を勝ち取りたい。




業務がある限り、雇用継続できるように  特殊法人労連・杉浦幹事

 独立行政法人に移行する中、国家公務員との賃金比較で独自の賃金抑制や、独立行政法人通則法による評価制度が導入され、賃金・労働条件の引下げが続いている。法人理事者の組織である政府関係法人連絡協議会と特殊法人労連の初任給交渉も特殊法人に関わる回答のみとなり、独立行政法人ではそれより低い状況がうまれている。

 特殊法人労連は、07春闘を独立行政法人・民間法人の賃金闘争の再構築の春闘と位置付け、2月2日の単組代表者会議で方針を確立する。小泉特殊法人行革で統合が進み、1法人に連合の組合と全労連・特殊法人労連の組合とが並立する中、要求をどのように実現するか難しい状況にあるが、たたかう春闘を進めていく。行革問題では、奨学金事業を担う日本学生支援機構の事業の改悪、小企業・零細企業の営業を守る国民生活金融公庫の事業の縮小等が春闘期の重要な問題になっている。水資源機構や勤労者退職金機構などの独立行政法人機構の見直しも来年度中に行われ、国民生活に密着したこれらの事業の改悪を許さないたたかいも、春闘要求と併せてたたかって行きたい。

 とくに財団法人民亊法務協会問題は、800人の雇用に直結している。法務省の外郭団体である民亊法務協会に組織する当該組合は、全国の法務局に約800人、女性が99%で、不動産登記簿、法人登記簿の証明作成業務を行っているが、4月から公共サービス改革法に基づく競争入札と随意契約見直しによる競争入札が導入される。国家公務員の定員純減に向け、行政減量効率化有識者会議は登記事務について、包括的・抜本的な民間委託を求め市場化テストの導入を決定。随意契約の見直し、一般競争入札に移行し、2月中には落札者が決定する。

 結果、実績がなく経済効率のみを追求する民間企業が参入した場合、利益優先のため窓口サービスが低下し、複合体では全国一律にはならない。協会は、全て落札するというが他の入札業者に対抗するため、勤続年数を問わず派遣社員並みの月額18万円くらいに下げ、落札出来なければ移動してくれ。移動できなければ辞めてくれと。1つの県の職員全員を他県が受け入れることは不可能であり、落札できなければ辞めてくれに等しいことだ。1月5日には決起集会を開いて支援する組合とともにたたかう意思を固めた。国の方針により賃金・雇用を一方的に剥奪することは理不尽です。業務がある限り、雇用が継続できるようたたかっていく。




中労委委員の公正任命求め、控訴審に勝利を  全労連・寺間幹事

 中労委の労働者委員15名全員が連合に独占され、長年にわたって不公正・不公平な状態が続いているとして、是正をもとめ東京地裁に提訴して裁判をたたかってきた。第28期の委員任命では、出版労連顧問の今井さん・国公労連全経済顧問泉部さんを原告にたたかって来た。11月8日、東京地裁はILOの日本政府への勧告・各地地裁判決の到達点を無視し、最高裁の労働審判員制度での労働者比率での任命なども踏みにじり、政府・厚労省に迎合した不当判決を出した。我々は直ちに高裁に控訴したが、東京高裁も良い裁判所ではなく、スズキなど地裁の勝利判決を1回の審理もなしに逆転敗訴させるなど相次いでいる。

 そこで当面、@3月19日に第1回陳述が東京地裁824号法廷で14時から行われる。当日は13時20分から宣伝行動、その後報告集会も行う。この日の傍聴に参加をお願いしたい。そのための宣伝行動を月2回、1月29日、2月は7日と19日、3月5日。いずれも朝8時30分から1時間行うので参加をお願いしたい。A東京高裁に公正判決を求める団体署名を集中していただきたい。2月末第1次集約で、過去最高の7000以上をお願いしたい。メールでも署名を配布しているので、事務局まで連絡いただきたい。B意思統一のための決起集会を改めて行いたい。4月19日、3時からの全労連会館2階ホールで行う。ぜひご参加をお願いしたい。

 春闘時期、この運動は決定的になる。東京海上日動の問題も出た。あらゆる争議の勝利解決のために不当労働行為は許さない。労働法制改悪反対のたたかいと一体となって運動を進めたい。とりわけ54号通帳の精神からいうと、新たに主張したいのは新聞・放送・出版は圧倒的多数が春闘共闘や民主化対策会議に結集しているが、そこから沢山の不当労働行為の審査事件があるのに1人も出ていない。また、病院・医療関係からも出ることが出来ない。そこからも補充していきたいし、取り組みへのご協力をお願いしたい。




危険な国民投票法を学習し、教宣していこう  映演労連・高橋委員長

 国民投票法案は分かりにくい、組合員に浸透しづらいという意見があるが、法案を読めば分かりやすいし問題点が明白だと思う。与党と民主党が年末の国会で修正協議がほぼ合意したと報道されているが、問題が3つある。第一は有料コマーシャルの問題で、投票日前の14日間は禁止と平等取扱い配慮規定で合意だという。一部にはメディア規制だ、言論表現の自由を侵すから全面解禁すべきと言うが、30秒や15秒のCMをコマーシャルが流れているなと認識するためには100本ほど流さなければならない。すると、関東だけで約5億円の金が掛かる。そんな金が護憲団体などで出来るのか。民間団体はどこも利用できない。与党と民主党は、経団連が付いているからマインドコントロールしかねないほど流す。これが14日間は禁止だが、その前は自由になる。金で憲法が変えられる。テレビコマーシャルは全面禁止にすべきだ。

 第二点は改憲の承認要件の問題で、投票総数の過半数で成立が合意との報道がされた。しかしこれも嘘だ。賛成と反対の総数が投票総数・分母になる。無効票・白票はカウントされず、憲法改正の国民投票では無効票・白票が多数出ても投票総数の内に入らない。非常にハードルが低くなる。そのうえ、最低投票率など一考もしておらず僅かな賛成で通るということになる。第三点は公務員の活動問題で、罰則を止めたと出ている。但し、地位・影響力の利用は禁止としているが、公務員法による罰則規定は残っている。東京都が日の丸・君が代問題で、大量の処分を出したような行政処分がやられるという道を残している。この三点を残したまま国民投票法案が成立して、改憲の国民投票が行われたら非常に危険だ。

 さらに問題がある。投票権は18歳としているが、民法の見直しが前提なのでこのままいけば20歳だ。一括投票か、個別投票かは関連する事項ごとに発議するとなっている。どこまで、どの事項までが関連させるかは全く不明だ。このように問題点だらけの国民投票法案は、是非潰さなければならないし、整理して教宣していかなければならない。
 都知事選の最中に、石原慎太郎がシナリオを書いた映画「僕は君のためにこそ死に行く」という特攻映画が封切りされ、シナリオを書いた慎太郎が一斉に取材などで流される。それがちょうど都知事選の投票時期で、都知事選に100%利用を考えた映画である。
 「日本の青空」という映画が3月の中に完成する。ぜひ普及運動にご協力をお願いしたい。東映での60歳以上の雇用延長問題では、私も裁判をやっている。公正判決を求める団体署名が300を超えた。皆さんもさらにご協力をお願いしたい。




秋の月間で4960名拡大。元気に改憲手続法阻止へ  神奈川労連・水谷事務局長

 昨年、「増税反対」で地域の集会を30ヵ所ほど、宣伝を50ヵ所くらいでやり、秋の拡大月間で4960人の拡大が出来た。土建・建設中心に4300人、あとの660人くらいが官民の組合でやった。旗開きでは、若い人や女性が来てにぎやかに、元気に神奈川はやっている。

 憲法・基地の問題で、5月3日までに通常国会の重要法案として、自民・公明、民主も改憲手続法案をあげるという。海外で戦争を出来る法律はいらないという宣伝を強めたい。若い人を中心に、民主的な法律でよいのではと弁護士の方でも言う。教基法改悪反対で神奈川もがんばったが、旗開きの中、教職員組合でがんばってたたかった連合加盟の組合員から「早くやろう」と、2月4日に打合せをする。また、連合の交運関係大手労組(相鉄)からも、憲法問題で早く打合せをして立ち上げようと言われ、国労からも闘争具体化の要請がある。むしろ神奈川労連の方が鈍感だったと気を引き締めている。

 横須賀の住民投票条例制定では、当初1万人くらい集まればと思われていた住民署名が生年月日と捺印が必要で面倒なのに4万1551人も集まり、市長の側近が「こんなに集まっては、まともに考えなくてはいけない」と口を滑らせ、これが広がり、市長が打ち消そうと躍起になっている。運動を始めたときには4人の議員が行動をしてきたが、署名が集まった時点で議員42人のうち9人が引き受けてくれた。2月5日の臨時議会で委員会が開かれるが、敵は10人の委員全てを条例不要の議員で占めるようにしている。成立すれば、春闘と県知事選挙真っ最中の3月投票なので、マスコミを活用しながら成立するようにがんばっていきたい。




今年は産別最賃の制度化にチャレンジ  日本医労連・桂木書記次長

 来週、中央委員会を開くが、賃金闘争の提起は初めて春闘共闘とまったく一致した。要求は「誰でも1万円、パート100円以上」を執行委員会で決めた。1万4000名の春闘アンケートでは「生活が非常に苦しい。やや苦しい」は約7割、賃上げ要求は平均で27,800円、パートは平均154円になった。職場の不満は、正規もパートも「賃金」がトップで、もっとも強い要求は「社会保障」と「減税」ということになった。医労連は「9割ライン」が1万円なので、「誰でも1万円」とした。定昇が5500円あり、4500円のベアを取ろうと意思統一をした。パートの要求額は平均154円だが、現在の平均時間給が1007円になっていて、最低賃金要求が1200円到達要求で、154円だと1200円になる。「誰でも」ということになれば70%以上の人が要求している100円だ。

 最賃の協定化を重視したい。医労連としては、産業別最賃をまだ持っていないので、各都道府県の地賃に対して最低賃金の申請をしようと、昨年5県で申出した。対象者の3分の1以上の署名・同意、または過半数以上での労使協定が必要だが、過半数を取っている県が2県ある。経営側委員が反対すれば簡単には行かないが、1〜2回の審議で済むところ秋田は5回、4ヶ月間審議をやらせ、「労働協約の拡張適用ということであればしょうがない」と経営者側委員に言わせている。ぜひ今年はいくつかの県で産別最賃の制度化をチャレンジしたい。

 回答指定は14日で、@増員、A賃上げ、B医療改善がセットで、不満ならストを打つ。今年は労働組合の姿勢を示す春闘ではないか。もう一点、医師・看護師不足が地方自治体・国会で大問題になっている。地方自治体決議運動をやったところ、去年の秋だけで1882自治体中417で同意してくれた。3月議会までに過半数にしたい。世論化が大切なので、2月23日に「医師・看護師が足りない、地域医療の確保に向けた緊急シンポジウム」を開く。今までは医労連に近づくなと言っていた有識者がパネラーになる。変わって来たなと感じる。この春闘をしっかりとがんばり、一定のものを取り4月の選挙、7月の選挙につなげたい。








国民投票法案、労働法制の改悪阻止へ、テンポ早く

税金投入分野のサービス・労働条件切り下げ許すな

 討論のまとめ/小田川義和事務局長 


 全体として議案を補強する意見だった。受け止めて、具体化を進めると同時に確認して、意気高く春闘を闘っていきたい。
 一つ目は、安部政権の評価という議論で、都合の悪いものはすぐ先送りするが、これと焦点化したもの粘っこくやってくる、たたかいにくさのある特異な政権ではないか。通常国会での焦点を彼らが明確にしている国民投票法、労働法制に関わる法案、公務員制度改革、社会保険庁改革、教育改革など本気でやってくる。支持率が下がっているなどと思ってしまうと、こちら側の対応が遅れてしまうかもしれない。率直に言って、国民投票法では議論とテンポが遅れている。全体として機敏に対応していきたい。

 二つ目は、いくつかの争議で昨年来、地裁・高裁の判決に変化が出てきた。非常勤職員の雇止め問題が逆転敗訴。全医労の独法化に伴う不利益変更では、裁判長は経営側も言わない経営論・合理化で労働条件の切り下げを判決で触れた。企業の存続・経営安定のためには、労働者の労働条件に手が掛かってもいたし方がないという司法上のバイアスが少し動いていると考えたい。1月、2月、3月と非常に重要な裁判の判決が続いているので、支援と行動、団体署名・傍聴などをお互いに強め合おう。

 三つ目は、税金が一部でも入っている分野での労働条件の切下げ問題が顕在化してきている点で、安全・公共サービスの質を維持するうえで労働者の労働条件を切り下げることの問題点に全体として目が向き始めてきている。公契約条例運動をさらに発展させる立場でそれぞれ努力をしたいし、安ければ良いのかという最近の状況、税金を1円でも使われなければ行政サービスの質や働く労働者の労働条件が切り下げられてもいいのだという風潮を変えていく立場での取り組みを春闘期攻めていきたい。最賃引上げと密接にかかわり、公契約条例の運動とも関わり重要なたたかいとして運動の強化をしていきたい。

 最後に、中労委の委員にかかわる裁判の話がありましたが、全労連推薦で全国一般・大木委員長と生協労連・橋本副委員長の2人を、中央の最賃委員候補として推薦手続をした。春闘期のたたかいと連携させ、最賃闘争と連携させ公正任命をはじめ、全労連・国民春闘共闘排除の行政姿勢を変えていく取り組みを強めたい。ぜひ、皆さんのご協力をお願いし、全体として意気高くたたかっていくその先頭に、国民春闘共闘の常任幹事会が立つことをお約束しまとめとしたい。

以上  




 
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