2006国民春闘共闘情報
全労連HP

第 35 号  2006年06月29日

 

 第5回最終・春闘進ちょく状況調査

要求提出77%、回答は57%で前年並み

妥結は低位の37%。スト実施は18%に改善

 国民春闘回答集計センターは6月28日、国民春闘共闘参加の各単産より、全単組を対象とした春闘進ちょく状況の第5回・最終調査を実施した。参加30単産から報告があり、要求提出が77%、回答引出し57%、妥結37%など、ほぼ前年並みの相変わらずきびしい進ちょく状況が明らかになった。

要求提出数は77%。前年同率で改善されず

[調査組合数、要求提出数]

 調査組合数は全加盟組合のうち「交渉能力のある単組」が基準で、30単産の報告計で4439組合になり、ほとんどが中小労組です。組合数が多いところは建交労の736組合、福祉保育労570組合、日本医労連439組合、全労連全国一般350組合、自交総連330組合、全国私教連311組合などです。
 要求提出は、計3432組合で全体の77%になり、前年に比べ56組合増えていますが、比率では同率で改善されませんでした。繊維産労、合同繊維、検数労連、通信労組、外銀連、銀行労連、全損保、郵産労、特殊法人労連の9単産が100%で、JMIU93%、全倉運93%、出版労連93%、映演労連91%、全労連全国一般90%、地銀連90%などが高率です。



回答引出し57%。半数近くが「ベアゼロ」、定昇カット

[回答引出し、妥結数]

 回答引出しは計2540組合で、こちらも前年と同率の57%の水準です。遅れている要因は、消費不況や規制緩和、福祉切捨てなどを背景とした「業績赤字」「経営難」が多く、賃下げ強要、労働条件切下げ提案とセットの回答は「回答とみなさない」などもあります。
 こうしたなかで、内容はともかく回答引出し数が多いのは、合同繊維、通信労組など6単産が100%で、出版労連93%、銀行労連92%、地銀連90%などです。 回答内容では、今年の春闘で「ベアゼロ」が復活し、「定昇カット」「賃下げ」などが計1145組合で回答数の45%を占めましたが、前年比では5ポイント改善しています。きびしいのは「定昇なし・ベアゼロ」や「定昇なし・賃下げ」で、建交労の132組合、出版労連11組合などです。また、「定昇カット」や「体系変更」は減少したものの58組合(以上)見られ、03春闘からの定昇攻撃が続いています。

 平均賃上げ額(定昇込み)は別表のとおりで、単産によって2000円台から1万1000円台までバラつきと格差がみられます。
 うち、妥結または妥結方向に達しているのは1654組合で、前年に比べ1.2ポイント減少し、いまだ37.3%の低水準にとどまっています。妥結しているのは、当初は「2次回答」や「前年実績以上」を確保した組合が中心でしたが、ここにきて「超低額」ながら一時金で一定の回答を引出して妥結したり、上積みもかなわず「超低額」のまま妥結する組合も見られます。「全体としてほぼ集約方向」(解決率80%以上)になっているのは、繊維産労と合同繊維、検数労連の各100%、銀行労連92%、出版労連82%、映演労連82%、化学一般労連80%の7単産のみで、全倉運と全損保、地方マスコミが70%台で続いています。このほかの単産では、前述のようなきびしい回答内容のために未解決が多く、解決率が50%に満たない単産が16もあります。



スト権確立は60%、決行は18%に改善

[スト権確立、スト実施数]

 スト権は1928組合で確立し調査計の60%になり、前年比で1ポイント改善されました。それにしても要求提出の77%に比べて低水準です。その要因は、不況・業績低迷や連敗春闘がつづいたなかでの闘争力低下があり、これらを悪用した思想攻撃があげられています。それでも、検数労連、通信労組、全損保、映演労連の4単産が100%で、JMIU93%、地銀連90%、建交労83%などが高率でした。

 うち、ストライキ実施組合数(指名スト含む)は、のべ586組合で全体の18%(昨年は14%)で4ポイント改善しました。今年は「集中回答日」翌日の3・16第1次全国統一行動に351組合のスト決行が見られ、決着をめざす4・14全国統一行動を中心に4月末にかけて235組合がストライキでたたかい抜きました。今年ストを実施した組合は、通信労組の100%が突出し、出版労連の60%、JMIUの57%、日本医労連の42%、全印総連の41%などは高い実施率になります。



粘り強く全面解決へ、夏季一時金と結合して

 以上の数値と各単産からの報告を総合すると、春闘の進ちょく状況は昨年の05春闘で、要求提出、回答引き出しなどを4〜5ポイント改善させ、06春闘ではさらに上の目標(要求提出80%以上)をめざしてきましたが、多くの項目が前年並みにとどまりました。改善されない原因は何なのか、単産によって事情も異なり、今後の検討課題です。こうしたなかで、未解決の組合では要求実現をめぐるたたかいが続いており、多くの組合が7月上・中旬の一時金支給日などを目途に粘り強く全面解決をめざしています。





第5回 06春 闘 進 ち ょ く 状 況

2006年6月28日14時現在 ●国民春闘共闘委員会

単産名 調査組合数 スト権 春闘要求 回答引出し 平均賃上げ スト実施組合 妥結・妥結方向
確立数 提出数 組合数
全農協労連 289     186 64% 145 50% 2 5,175 2 1% 176 61%
建交労 736 608 83% 608 83% 287 39% 223 2,541 19 3% 195 26%
建設関連労連 51 6 12% 27 53% 21 41% 21 4,820 1 2% 21 41%
JMIU 283 263 93% 263 93% 234 83% 233 5,162 160 57% 189 67%
化学一般労連 131 31 24% 115 88% 114 87% 113 5,110 1 1% 105 80%
繊維産労 1     1 100%     1 5,797     1 100%
合同繊維 9 6 67% 9 100% 9 100% 6 3,430 0   9 100%
自交総連 330 205 62% 294 89% 140 42%     5 2% 82 25%
検数労連 2 2 100% 2 100% 2 100% 2 2,559     2 100%
通信労組 59 59 100% 59 100% 59 100%     59 100% 0 0%
全倉運 43 8 19% 40 93% 36 84% 35 4,529     33 77%
生協労連 174 13 7% 113 65% 100 57% 39 4,157 2 1% 70 40%
全国一般 350 240 69% 316 90% 280 80% 144 5,760 3 1% 196 56%
全信労 43 13 30% 37 86% 21 49% 14 4,844     1 2%
地銀連 10 9 90% 9 90% 9 90% 2 6,608        
外銀連 11     11 100% 5 45% 5 8,543     5 45%
銀行労連 13 8 62% 13 100% 12 92% 7 5,331     12 96%
全損保 14 14 100% 14 100% 12 86%         10 71%
全証労協 16 3 19% 6 38% 9 56% 6 11,523 1 6% 4 25%
全印総連 138 34 25% 102 74% 87 63% 80 4,285 56 41% 42 30%
民放労連 120 53 44% 101 84% 99 83% 92 7,259     60 50%
出版労連 133 49 37% 124 93% 124 93% 111 6,214 80 60% 109 82%
広告労協 48     25 52% 23 48% 11 6,284     21 44%
映演共闘(労連) 22 22 100% 20 91% 19 86% 11 7,789 6 27% 18 82%
日本医労連 439 231 53% 371 85% 242 55% 242 5,484 185 42% 31 7%
福祉保育労 570     355 62% 132 23%         76 13%
全国私教連 311     137 44% 240 77% 3 11,630     121 39%
郵産労 1     1 100% 1 100% 1          
特殊法人労連 9 7 78% 9 100% 9 100%         1 11%
地方マスコミ 83 44 53% 64 77% 68 82% 63 7,031 6 7% 64 77%
報告計 4439 1928 60% 3432 77% 2540 57% 1467   586 18% 1654 37.3%
前年 6/28集計 4412 2063 59% 3376 77% 2512 57%     482 14% 1697 38.5%


 (注)、「スト権」「スト実施組合」の分母は調査組合数からスト権確立数の未調査を引いたものです。




 
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