2004年国民春闘共闘情報
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第43号・夏季第4号  2004年8月09日

産業別・単産別総括表   個別回答一覧へ

 

最終平均は2.03月、65.5万円に

 大手と小規模が回復、3年ぶりにプラス 

夏季一時金最終集計結果の特徴について

2004年8月09日 2004年国民春闘回答集計センター

 1.2004年国民春闘回答集計センターは8月6日、夏季一時金の最終・第4回集計をおこなった。登録組合の81%にあたる642組合が回答を引出し、うち582組合が妥結した。残る組合も交渉を継続し収拾に向かいつつある。

2.回答+妥結の状況は別表のとおりで、集計結果は以下のとおりである。

 
(1) 登録組合数 797組合      
(2) 回答組合数 642組合 回答引出し率 80.6%  
  2次回答以上 180組合 上積み回答率 回答数の28.0%  
  前年実績額以上 264組合   回答数の41.1%  
  妥結組合数 582組合 妥 結 率 登録数の73.0%  
(3) [回答+妥結] 組合数・人数 回答月数 金  額 引上げ率
  単純平均 642組合 2.03カ月+α 655,128円  
  前年同期比 (03.08.06) 2.03カ月+α 645,215円 +1.54%
  前年実績比 (同一組合)   652,614円 +0.39%
  加重平均 112,341人   745,708円  
  前年同期比 (03.08.06)   758,887円 −1.74%

3.回答・闘争状況の特徴はつぎのような諸点である。
 1) 今期の夏季一時金闘争は、財界・大企業がV字回復・史上最高益のもとで「儲かっても賃上げしない」という春闘解体攻撃の流れを受け、多くの単産が未解決組合をかかえながらの取りくみとなった。労働者にとって度重なる年収減や毎月の赤字補てんを改善するために支給額の引上げを重視してきた。民間調査機関による「3年ぶり前年比プラス」の予測が発表されるなか、6月8日集計の「既に決まっている一時金」は、単純平均で前年比3220円増、0.4%プラスとなり3年ぶりの好スタートとなった。

 2) 各単産の回答引き出しが出揃い、回答引出しが約8割になった今回の集計では、◆「リストラ効果」や「中国特需」などによって景気・業績回復が伝えられる大手企業で平均80万円の水準(前年比プラス)に達したこと。また、中小零細でも仕事量が増大して平均60万円前後を確保し前年比プラスの基調になったこと、◆一方、建設業、卸売・小売業、マスコミ関係業、医療福祉業の単産を中心に、「業績悪化」「将来不安」や「総額人件費抑制」などを理由とした低額回答の押し付けが目立つなど、産業間格差と同一産業内でも回答額の二極化が見られた。

 3) この間の取りくみの特徴は、6月から7月にかけての参議院選挙をはさんで5次にわたる「最賃デー」を取りくみ、最低賃金の改善・引上げ、マイナス勧告阻止・寒冷地手当の改悪反対など公務の人勧期要求を官民一体でたたかいつつ、夏季一時金闘争をすすめてきたことである。こうしたなかで、各単産が業種別・地方別の対策をつよめ、一部ではストライキ、残業拒否、本社交渉などをたたかいながら、180組合(回答数の28%)が2次、3次と回答を上積みさせ、264組合(同41.1%)では前年実績以上を獲得してきた。

 4) 最終集計結果は、単純平均が65万5128円、前年同期比で9913円の増、引上げ率にして1.54%のプラスとなり、前年実績(同一組合)比でも2514円の増、引上げ率0.39%のプラスという結果になった。一人当りの加重平均は前年同期比で1万3179円の減、引上げ率にして1.74%のマイナスとなった。これは組合員数が多い中堅企業(300〜999人)での減額が影響したもの。産別平均がプラスになっているのは、全証労協の50.4%をはじめ建交労・建設22.2%、検数労連15.7%、JMIU12.6%、全国一般製造11.8%、銀行労連10.5%などの18単産で、同額又は同月が2単産、マイナスが11単産であった。

 5) 単産平均が100万円の大台を超えているのはマスコミ関係の民放労連、出版労連の2つで、この加盟組合を中心に150万円以上の高額回答が14組合(最高は出版労連傘下の323万円)報告されている。最高回答次数は大証労組電計分会(全証労協)の第6次回答。最高引上げ額はテーエス支部(建交労・運輸)の前年実績プラス60万円、率では野崎硝子労組(千葉県)の920%アップであった。



4.他団体の集計結果について(いずれも妥結状況)


連 合(最終) 8月06日現在 月 数 金 額 前年実績 (引上げ率)
単純平均 385組合 2.00カ月 548,569円 526,632円 +4.17%
加重平均 83.6万人 2.39カ月 717,264円 687,052円 +4.40%


日経連(最終) 7月21日現在 月 数 金 額 前年実績 (引上げ率)
単純平均 主要208社   701,972円 674,890円 +4.01%
加重平均     829,030円 806,056円 +2.85%




 
全国で最賃プラス1〜2円、公務員の「マイナス勧告」阻止!

官民一体の賃金闘争、悪魔のサイクルを断つ

 5.この間、春闘共闘・全労連と公務労組連絡会は、「誰でもどこでも時給1000円以上に」「全国一律最低賃金制の制定」などを求めて第3次(7/6)、第4次(7/16)、第5次(7/26)の「最賃デー」を中央、地方で取りくんできた。7月26日に出された中賃審議会の改定目安は「金額を示さず。現行水準を維持する」ものとなった。30人未満事業所の賃金改定状況がマイナスを記録したことや使用者側の執拗な引き下げ論をはね返したのは、中賃の審議日にあわせた官民一体の宣伝・要請・座り込み行動と、審議会における労働者委員(連合)の奮闘が影響したものである。その後、全国各地で地方審議会にたいし「自主性の発揮」を求め、大幅な引き上げをめざす要請、意見陳述が行われ、宮城、東京、静岡、愛知でプラス2円、40道府県でプラス1円の改定を勝ち取った。さらに、異議申し立てなどの取りくみがすすめられている。

 また、公務労組連絡会に結集する公務労働者の人勧闘争もヤマ場をむかえ、7月27日には全国上京団を含む2500人を結集する「第3次中央行動」を展開し、政府・人事院に要請するとともに、8月4日から6日まで連日の猛暑のなか、人事院前に座り込み・要求行動を取りくんできた。「マイナス勧告阻止、寒冷地手当の改悪反対、公務員賃金の改善・引上げ」など夏季重点要求の実現でも官民一体の運動に全力をあげ、連帯参加の民間組合は20単産・団体と4地方組織に達した。勧告は官民比較にもとづき、本俸、一時金とも現行水準を据え置くことになり、3年連続の本俸引下げを阻止することができた。寒冷地手当の廃止・削減は強行実施されることになったが、廃止予定地域を半減させ、経過措置をとらせるなど一定の譲歩も勝ち取ってきた。これらは、いずれも官民一体の運動が実ったものであり、間もなく本格化する秋季年末闘争をはじめ今後の運動前進に貴重な教訓を生み出したといえる。


(以 上)




 
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