04国民春闘・闘争宣言

 

04国民春闘・闘争宣言



 いま、労働者・国民の生活は、「改革の芽」を自賛する小泉首相のパフォーマンスとは裏腹に、5年連続の年収減に加え、戦後最高水準の失業者や自殺者を生み出し、中小企業の倒産など深刻な生活危機に見舞われている。その最大の要因は、大企業のリストラ・首切りと海外展開、毎年の賃金抑制・賃下げ攻撃、さらには年金・医療制度の相次ぐ改悪にある。NTTをはじめ電機・自動車などの大企業は大規模なリストラ・人べらしを競って強行し、新卒者の深刻な就職難がつづき、世帯主の失業が後を絶たない。こうした国民犠牲・負担増の押し付けが、国民にいっそうの雇用不安、生活不安、将来不安をいだかせ、消費不況を長期化させている。
 一方で財界・大企業は、この不況下でも大儲けをつづけている。日立、トヨタ、三菱商事、NTTなど主要企業20社の連結決算だけ見ても、この一年間に親会社単独では4万人以上の人べらしと中小・下請いじめを強行して、5兆3181億円もの連結経常利益をあげてきた。さらにこの3月期決算では、上場企業の5社に1社の割合で史上最高の経常利益をあげると予測されている。その背景には「リストラ太り」とともに、潤沢なカネを利用して政治を動かし、法人三税の引き下げ、輸出戻し税、リストラ減税などの大企業優遇税制があることを指摘せざるを得ない。

 昨年12月、日本経団連は04年の「経営労働政策委員会報告」を発表した。その内容は、国際競争力を維持・強化する観点から「一律的なベースアップは論外」と強調し、定昇制度の見直し、縮小・廃止、さらには「ベースダウン=降給」にまで言及している。また、「『闘う』という『春闘』は終焉した」と改めて宣言し、「今後は…労使が年間を通じて経営環境の変化や経営課題について討議・検討する『春討』」の場へと変質攻撃を強め、具体的には  1) 総額人件費管理の徹底、  2) 賃下げと年功賃金からの脱却、  3) 労働力の流動化と多立型賃金体系 などを打ち出している。
 報告は、この間の大企業による一連の事故やトラブルに対して、その原因がリストラによる現場の熟練工、高度人材の削減によることを認めつつも、更なるリストラ「合理化」と各種社会保障の改悪、労働力の流動化・雇用形態の多様化など「労働市場の構造改革」を押しすすめようとしている。
 私たち春闘共闘は、日本経済と国民生活を不況と賃下げの悪循環の渦に巻き込み、労働者・国民へ二重三重の犠牲転嫁によって「構造改革」を推し進めようとする日本経団連・財界の姿勢に強く抗議するとともに、財界の総合戦略たる「経労委報告」は断じて容認できない。

 小泉内閣の「構造改革」路線は、大企業のリストラ・首切りを応援し、特殊法人や教育・医療・福祉事業さえ民営化している。また、年金制度の大改悪と消費税大増税、公務員制度の大改悪、選別教育などもすすめ、イラクへの自衛隊派兵、憲法第9条の改悪まですすめようとしている。このように、労働者・国民にいっそうの負担と「痛み」を押し付ける政治姿勢が、いよいよ多くの国民の眼に鮮明になってきた。したがって、04春闘は労働者の切実な要求実現とともに、日本の政治・経済の歪みを正す重要なたたかいであり、反転攻勢のうねりをつくるチャンスである。

 私たち春闘共闘はこの間、リストラ反対・雇用確保、賃金底上げ、サービス残業の是正、医療制度の改悪阻止、行革・規制緩和反対などを掲げてたたかい、数多くの成果・前進を生み出してきた。04国民春闘を迎えるにあたり、私たちは「すべての労働者の賃上げを」「リストラ反対、時短・サービス残業根絶で雇用の拡大を」「年金の大改悪・大増税阻止」「公務員制度、地方自治と地域経済を守ろう」「イラクへの自衛隊派兵を阻止しよう」を共通して追求する重点課題として確認した。
 いまこそ、すべての労働者・国民との共同をすすめ、国民総決起のたたかいを展開し、政府の悪政と大企業の横暴にいどむ04春闘をめざして全力でたたかいぬくことをここに宣言する。



2004年1月15日

2004年国民春闘共闘委員会 第1回単産・地方代表者会議