2003年国民春闘共闘情報
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第56号・回答第8号(確定版)  2003年6月27日

産業別・単産別総括表   妥結組合 産業別・単産別総括表   個別回答一覧へ   1万円以上の回答


 本号は「速報版」の各団体賃上げ最終集計を8/28更新しました


 
 

最終平均は5,519円、1.8%

  賃下げ・春闘破壊許さず、加重は定昇確保 

最終集計結果の特徴について

2003年6月27日 2003年国民春闘回答集計センター

 1.春闘回答集計センターは6月26日、2003年国民春闘共闘委員会(全労連、純中立労組懇など)の各単産と地方より最終・第8回目の報告を受けた。

 2.回答+妥結状況は各々集計表のとおりで、その特徴はつぎのような諸点である。

 
(1) 登録組合数 922組合 (登録は30単産・部会)    
(2) 回答組合数 516組合 回答引出し率 56.0%  
  うち上積み回答 163組合 回答上積み率 31.7%  
  うち前年実績以上 189組合 回答組合数の 36.6%  
  妥結組合数 334組合 解 決 率 36.2%  
(3) 単純平均 516組合 5,519円 同率 1.80%
  前年同期 565組合 5,764円 同率 1.89%
  前年同期比   −  245円   −0.09P
  加重平均 12.7万人 6,470円 同率 1.94%
  前年同期 15.3万人 7,126円 同率 2.01%
  前年同期比   −  656円   −0.07P


 4) 回答状況と産業別の特徴について
 03春闘の賃上げ回答状況は、夏季一時金の支給期を迎えても回答組合数が516組合、引出し率にして56%にとどまっている。このほかに、「定昇のみ」「ベアゼロ」などの日本語回答が122組合あり、計638組合の実質的な回答引出し率は69%になる。それでも約3割の組合がいまだ有額回答を引出せないという状況である。また、単純平均の5,519円、1.80%の水準は前年同期比で245円減、引上げ率では0.09ポイントのマイナスとなり、史上最低となった昨年の水準をさらに下回るきびしい結果になった。
 こうしたなかで、1)ひとり当りの加重平均では6,470円、1.94%となり定期昇給分(2%弱)はなんとか確保できたこと、2)計163組合(32%)が第2次、第3次と回答を上積みさせてきたこと、3)189組合(37%)が前年実績以上をかちとったことなど、本格的な「春闘終えん」・解体攻撃が展開されたなかで部分的な歯止めをかけることができた。
 産業別にみると、前年実績を金額・率ともに超えているのは全国一般・製造、建交労・鉄道、生協労連、全労連全国一般、全信労、映演共闘、全国私教連の7組織(02年は皆無だった)で、金額又は引上げ率の一方がプラスになっているのは化学一般労連、化学一般労連・紙パ、全労連繊維、地銀連、民放労連の5組織である。このほか、平均額が7,000円を超えているのは全国私教連の16,837円(3.25%)、全証労協の8,225円(2.40%)と、地方マスコミ7,946円(2.27%)、民放労連7,911円(2.04%)、出版労連7,635円(1.84%)の5組織である。引き上げ率が2%を超えているのは、これらに加えて全農協労連2.0%、日本医労連2.16%など計7単産である。
 5)最高金額・率を獲得したのは蒲田女子労組(全国私教連)で4年分に当る49,080円、9.45%。最高回答次数は小坂研究所支部、太陽ステンレス支部(いずれもJMIU)と福島民友労組(地方マスコミ)の3組合が第5次回答を引き出した。1万円以上の回答は計34組合になった。


 3.妥結組合の状況について
 1)妥結数は334組合に増えたものの全体では36%(前年は39%)の低水準である。解決がすすんでいるのは、JMIU、化学一般労連などの製造業と民放、印刷、出版などのマスコミ関係業で、逆に未解決が多いのは建交労・建設、建設関連の建設業と生協、全国一般の卸売小売業、信金、地銀、証券などの金融業、医療、福祉、私学関係、地方登録組合などで、中小企業を中心とした経営危機・低迷のもと、リストラ「合理化」提案、「定昇カット」「賃下げ」「成果・業績給」の押しつけなどの事情で闘争を継続している組合が多くみられる。


(2) [妥結・妥結方向]数 賃上げ額 同率 前年同期比(額) (率)
単純平均 334組合 5,698円 1.79% −148円 −0.08P
加重平均 8.1万人 6,958円 1.96% −751円 −0.08P

 4.各団体の賃上げ最終集計の結果は、以下のとおりである。
1) 連合の妥結状況(8月05日現在、第8回最終集計)は以下のとおり。

  妥結組合数 加重平均 単純平均
集計方式 組合数 人数(万) 金 額 率(%) 昨 年 率(%) 金 額 率(%) 昨 年 率(%)
平均賃上げ 639 124.8 5,063 1.63 5,357 1.72 4,098 1.45 4,260 1.50
35歳P 40 9.2         5,293 1.89 4,705 1.69
30歳P 21 5.0         6,583 2.36 6,852 2.32

 2) 日本経団連調べの妥結状況(大手6月05日最終、中小7月23日最終)は以下のとおり。

  回答+妥結 加重平均 単純平均
集計方式 社 数 人 数(万) 金 額 率(%) 昨 年 率(%) 金 額 率(%) 昨 年 率(%)
大手企業 185 - 5,391 1.65 5,249 1.59 4,893 1.57 5,327 1.66
中小企業 571 - 3,296 1.29 3,274 1.27 2,924 1.18 2,872 1.14

3) 厚生労働省調べの妥結状況(8月26日発表)は以下のとおり。

 加重平均   主要189社  5,233円 1.63% - 32円 -0.03P



 5.03春闘・賃上げ闘争をふりかえって
 03春闘をふりかえってみると、第一の特徴は、財界や大企業が利益第一主義の海外進出、なりふりかまわぬリストラ・首切りをすすめる一方で、横並び賃上げを否定して「春闘終えん」を宣言。ベアゼロを押しつけた後に、「賃下げ」や成果・業績給の導入を強行するなど「賃金・雇用破壊」を本格展開してきたことである。第二に、主要大企業がリストラ効果で増益に転じ内部留保を含め十分な支払能力がありながら、トヨタをはじめ多くの企業が賃金抑制を徹底してきたことである。第三に、歴代内閣の規制緩和政策や小泉構造改革が各分野に浸透し、中小零細企業、地域金融など弱いところに負担と犠牲が集中し、賃上げ結果には産業別格差・規模別格差が拡大したことである。
 第四の特徴はベアゼロ、定昇カット、一律賃下げや成果・業績給導入など賃金制度にたいする全面的な攻撃を受けながらも、春闘共闘に結集する各組合はパートの賃上げ、企業内最賃などの「底上げ」や雇用保障・定年延長、サービス残業の根絶など「働くルールの確立」を重視しつつ、組合員の切実な要求の実現をめざしてきた。とくに、「3・13全国統一行動」では賃金要求とともに「重税反対、医療費、イラク問題」などの課題をかかげ、統一スト・諸行動に40万人が決起した。後半戦では「労働法制の改悪反対」と結合して、ねばり強く賃金要求を追求してきたことである。
 国民春闘共闘は7月4日、第8回常任幹事会をひらき「03国民春闘の到達点」について総括的な討議を行う。また、ひきつづき夏季一時金、最低賃金、公務員賃金や、「イラク特措法阻止」・廃案をめざす国会闘争など夏期闘争強化のために奮闘するものである。

(以 上)




* 03春闘の賃上げ集計はこれをもって終了とします。本作業にたずさわったすべての調査担当者の方々に厚く御礼申し上げます。なお、各団体の最終集計後に「確定版」を発表します。


 
 春闘で 職場と暮らしの 元気回復