国民春闘共闘2002年春闘方針

国民春闘共闘2002年春闘方針

2002年1月11日

国民春闘共闘第2回総会確認

1)春闘情勢の特徴とたたかいの基本方向

(1) 攻撃のきびしさと前進への可能性


<1-1> 労働組合は、労働者・国民の要求実現をめざしてたたかい続けてきました。しかし労働者や国民からは、「労働組合の姿が見えない」「政府の悪政や大企業の解雇・リストラ攻撃に労働組合は有効に対応できていないのではないか」という声もささやかれてきました。私たちの主体的な努力にもかかわらず、この間の労働組合運動は要求闘争の停滞、組織率の低下、社会的影響力の後退などを余儀なくされてきました。
 2002年春闘をとりまく情勢もきびしいものがあります。日経連は、さらなる賃下げや不安定雇用の拡大をねらい、これを政府が労働法制の改悪などで支援しようとしています。労働組合の一部には、賃上げ要求を見送るばかりか、賃下げに応じようとする動きも出ています。また、労働組合の社会的信頼を失墜させる自治労の許しがたい犯罪的行為も露見しました。さらに、不良債権処理や医療改悪など国民いじめの政治もとどまるところを知らず、平和と民主主義をめぐっても重大な局面にあります。

<1-2> 同時に、労働運動の高揚にむけた新たな胎動がおきていることも2002年春闘情勢の特徴です。その一つは、労働者の急激な意識変化です。どんなにまじめに働いていても、ある日突然、倒産や解雇、賃下げ、過労死などがおそいかかるなかで、多くの労働者が「もうガマンできない」「労働組合に結集してたたかおう」と考え始めています。そのことは、労働相談が年間100万件をこえていることや、春闘共闘の各単産・地方共闘が1年間に400を大きく上回る労働組合の結成に成功したことにも示されています。
 もう一つは、労働組合間の要求における接近です。労働者の状態悪化と意識変化が土台となって、「解雇規制法の制定」「パート時間給の改善」「サービス残業の根絶」「年金改悪反対」などの課題で、ナショナルセンターの所属や加盟の違いをこえた事実上の共同もしばしば行われるようになりました。連合がはじめて、すべての労働組合に雇用問題での共闘を呼びかけ、全労連が具体的な協議を提起したことも、さまざまな紆余曲折をたどることはあっても労働組合の共同にむけた新たな動きとして注目されます。
 さらに業界団体、自治体などの変化も顕著です。秋闘のとりくみのなかで、多くの都道府県や市町村関係者、経営者・業界団体、中小企業との協議が行われ、労働組合と各団体の政策・要求の一致が確認されました。またこの間、サービス残業や労働時間の短縮、過労死認定基準の改善にむけた行政通達、緊急地域雇用交付金の継続などで、労働組合の要求と運動が政府の政策にも一定の影響力を与えつつあります。

<1-3> 世界と日本を直撃した不安と混迷の解決が新しい年に持ち越されたなかで、政府や財界の攻撃の強まりと、労働者・国民のたたかうエネルギーの高まりがはげしく激突しています。人間を「コストを高める妨害物」とする弱肉強食の論理に、21世紀の労働者の生活と雇用をゆだねることはできません。深刻な不況や雇用の打開にむけたルールある社会、非戦平和の憲法第9条や国民の生存権を明記した25条が生きる社会にむけて、意気高く春闘をたたかうことが求められます。


(2) 雇用・暮らし・いのちを守る国民総決起春闘を


<1-4> 春闘は、要求実現をめざす労働組合の統一闘争を中心にたたかわれてきました。しかし最近では、個々の使用者と交渉するだけでは要求実現がなかなか困難になっています。その背景には、財界が終身雇用制、年功序列賃金とともに日本的労使関係の「三種の神器」と位置づけてきた集団的労使関係(労使間協議による賃金・労働条件の決定システム)そのものを否定・破壊してきていることがあります。同時に、不況の長期化が中小企業の収益を圧迫しているのに加えて、政府の政策や予算、大企業の横暴が中小企業の経営難をいっそう進行させ、労働者の要求実現の障害として立ちはだかっています。
 労働者は解雇・失業の不安にさらされ、中小企業は倒産・廃業の危機に直面し、農民は輸入農産物や狂牛病に苦しみ、医療機関は存続が危うくされている−。その一方で、有事法制のたくらみや憲法改悪の策動など、平和と民主主義が危機にさらされている−。これが今日の日本社会の実態です。あらゆる分野で「国民一揆」的な運動を追求していくことが求められる情勢を迎えており、すべての労働者・国民が総決起して、政府の悪政と大企業の横暴に挑む2002年春闘を前進させる可能性と条件が高まっています。こうしたもとで、職場・産別・地域からのたたかいを強めると同時に、要求前進を拒んでいる真の根源に直接せまり、国民総ぐるみでたたかう春闘の前進が求められているのではないでしょうか。

<1-5> 「国民総決起の春闘」とは、どんな運動の展開をめざすのでしょうか。それは、もはや逃げ場もなく泣き寝入りもできない深刻な実態が生み出している労働者・国民の止むに止まれぬ緊急要求を持ちよって、それぞれの産業、階層、分野、地域から連鎖的な運動をまきおこしていくことです。職場・地域、各分野・階層から自主的で創意的な運動にとりくみながら、それを国民の生存権に直結する「雇用」「暮らし」「いのち」の要求と結びつけて、政府・国会・財界に攻めのぼる集中的な運動に結集し、その結節点として「国民的ストライキ」に結びつける国民春闘を成功させることです。
 春闘共闘は、これまでも国民春闘の重要性を強調し、その積極的な旗振り役をはたす努力をしてきました。しかし、文字通りすべての国民が総ぐるみとなった国民春闘をつくることには、必ずしも十分ではありませんでした。2002年春闘を新たな出発点にして、要求実現をめざす労働組合の統一闘争としての春闘とともに、多くの労働者・国民がみずからの切実な要求を持ちよって相互支援しあう国民参加の社会的な運動として、文字通りすべての国民が総決起する春闘の前進を追求していきます。

<1-6> こうした春闘を前進させるためには、圧倒的多数の国民がいますぐ一致できる緊急要求を大胆に提起することが必要です。春闘共闘に結集するすべての単産・地方共闘が、それぞれの組合が直面している重点要求と、すべての国民に共通する「雇用」「暮らし」「いのち」の要求にしっかりと結びつけ、国民春闘の新たな前進にむけて集中的なたたかいを展開することを呼びかけます。



2)国民春闘の重点課題とたたかいの展開

(1) リストラ反対、雇用と仕事確保のたたかい


<2-1> 2002年春闘の最大課題は、雇用を守り拡大することです。雇用闘争で第一に重要なことは、これ以上失業者を増やさないことです。春闘共闘は、日立、トヨタ、NTTなど主要企業20社だけでもこの1年間に約2万人の人員削減を強行し、内部留保を2兆6000億円も増加させている実態を社会的に告発し、「リストラ当然」という社会的風潮を転換させる宣伝・包囲行動を全国的に展開します。また、雇用問題でナショナルセンターの所属や加盟の違いをこえたすべての労働組合の共同を発展させるために努力します。
 「NTT11万人合理化」に反対する全国闘争では、NTT持ち株会社や全国の営業所に対する宣伝、要請行動、通信労組組合員への激励、攻撃の不当性を社会的に告発してたたかいます。通信労組や共闘会議、「対策弁護団」と連携しながら、退職しなければ「全国配転」などと恫喝し、退職の意思決定を迫る人権無視の脅迫に抗議し、あらゆる法律やルールを活用して断固とした闘争を展開します。
 これ以上の失業者を出さないために、不良債権処理の強行に反対するとともに、信用金庫・信用組合など地域金融機関の連続的な破綻から地域経済と中小企業を守る運動にとりくみます。
1)金融庁は地域金融機関に対する現在の金融検査マニュアルの適用をただちに中止すること、
2)中小企業への画一的な貸しはがしを行わないこと、
3)中小企業の債権については分割返済や返済期間の繰り延べを行うこと、
4)下請中小企業振興法に罰則規定を設けること、
5)下請代金支払等遅延防止法違反をきびしく取り締まること


などを求めます。また、倒産時の労働債権優先確保のための法整備を要求してたたかいます。
 同時に、政府がねらう「職業紹介事業の民営化」「派遣労働者・有期労働契約・裁量労働制の拡大」「解雇基準の立法化」ではなく、解雇規制法の制定を求める労働組合・団体の共同闘争を推進します。また、リストラ企業から雇用保険料を上積み徴収することや、地域からリストラ規制条例を制定する運動を推進します。

<2-2> 雇用対策の第二の柱は、新たな雇用創出をはかることです。焦点となっているワークシェアリングについては、賃下げ、不安定雇用の拡大を前提とした政府・財界のワークシェアリングに反対し、サービス残業の根絶、時間外労働の削減、50%を割り込んだ年休取得率の改善など、長時間・過密労働の改善による雇用の拡大を要求します。雇用創出は、本採用・正規職員による増員・必要人員の確保、パート労働者の均等待遇を基本にたたかいます。募集・採用における年齢制限の禁止を求めるとともに、改正された育児・介護休業法を実効ある制度とするための協約闘争を強めます。
 「地域雇用創出特別交付金」を継続させ、予算規模も前回の2000億円から3500億円に拡大した運動の到達点を活用し、実施主体の自治体に「働きたい失業者ネット」などのNPOや労働組合が参画しやすい制度に改善することを求めてたたかいます。同時に、介護、看護、教員、保育、消防、職安など公務・公共部門の増員をはかることや、特別養護老人ホーム、福祉、保育、生活関連施設の建設、安全・防災対策、山林や河川の環境保全など、具体的な雇用創出要求を対置して運動をすすめます。

<2-3> 3年単位の運動と位置づけた「働くルール署名」の第1年度は、122万1559筆(目標の45%)の集計となりました。2002年5月末までに500万集約をめざして、すべての単産・地方が集中的にとりくみます。署名項目の三要求については、連合も同主旨の要求をかかげた「ワークルール」署名を開始するなど、すべての労働組合の一致する共通課題にひろがりつつあり、総体として雇用労働者の過半数をも展望できる社会的な運動に発展する可能性がつくり出されています。春闘共闘の真価が問われる課題として全参加組織が署名の目的・意義を徹底して推進します。


(2) 全労働者の賃金底上げ・最低賃金の確立・改善


<2-4> 圧倒的多数の国民が、いまもっとも切実に願っていることは不況を克服し景気を回復することです。景気回復のカギは個人消費の拡大にあります。個人消費拡大の決め手は、労働者に大幅賃上げを実現することです。春闘共闘は、大幅賃上げの正当性・必要性を社会的に明らかにするとともに、大企業が労働者犠牲のうえに内部留保をさらに増やし続けていることや、日本の賃金水準が購買力平価で比較すれば欧米の6〜7割であることなどを告発して、各単産・地方の賃金闘争を激励します。また、総額人件費のさらなる削減をねらう成果・業績主義賃金に反対し、導入・拡大を許さないたたかいを重視します。

<2-5> 春闘共闘は、「大幅賃上げ」「賃金底上げ」「最低賃金」を三位一体として、官民・地方が共同してたたかう賃金闘争を重視しつつ、2002年春闘における「賃上げ要求目標」を次のように設定します。
1)すべての労働者に、「月額15,000円以上」の賃金底上げをはかること。
2)パート労働者の時間給を「誰でもどこでも1,000円以上」に引き上げること。
3)最低賃金額を「時間額1,000円以上」「日額7,400円以上」「月額150,000円以上」として確立・改善すること。


<2-6> 2002年春闘では、少なくない大企業組合が賃上げ要求を見送り、また連合も賃上げ要求基準を「賃金カーブの維持+α」とする方向で検討しています。こうしたもとで、定期昇給制度のある大企業はともかく、制度のない中小企業労働者などは賃金改善がまったくないことにもなりかねません。春闘共闘は、すべての労働者の賃金底上げ要求として「月額15,000円以上」をかかげてたたかいます。
 「時給1,000円以上の実現」を重視します。そのため、春闘共闘に加盟するすべての職場・産別から時給1,000円以下の労働者をなくす統一闘争を強め、到達点を全国的に集約して相互激励をはかります。また、パート・臨時、未組織をふくむすべての労働者の時間給を「1,000円以上」に引き上げることをめざし、全国で宣伝、要請行動、企業、事業所、団体への訪問・要請行動、地方労働局交渉などにとりくみます。
 多くの青年労働者が自立できない低賃金実態におかれている現実を直視し、「初任給20万円」など、各単産・産業で積極的な「初任給要求」を設定して、青年労働者の要求を結集した賃金闘争を重視します。
 最低賃金闘争では、2月・3月・6月に「最賃デー」を配置してたたかいます。現行地域最賃は、生活保護基準よりも低い(東京の18歳単身者の生活保護・月額14万1184円に対して地域最賃は22日間労働日で12万2298円)実態にあります。こうした逆転現象を社会的に明らかにして地域最低賃金の改善を強くせまり、同時に全国一律最低賃金の確立にむけた世論喚起、運動の強化をはかります。

<2-7> 公的(関連)事業に働く仲間の賃金引上げをめざす「公契約」「リビングウェイジ」「公正発受注」の運動や、ILO94号条約批准運動の前進をめざします。この運動は、労働者の生活・労働条件の改善とともに住民サービスの向上にも結びつく運動であり、また民間だけでなく公務労働者も、自営業者・農民、市民なども参加できる賃金闘争です。各地で実行委員会などを結成してとりくみを具体化します。運動推進の「パンフ」を作成するとともに、全国的な交流をはかります。


(3) 健保本人3割負担など医療改悪反対のたたかい


<2-8> 小泉内閣がたくらむ医療改悪は、
1)健保本人3割負担への引き上げ、高齢者医療など患者負担の大幅な引き上げ、
2)ボーナスからの保険料徴収引き上げなど労使の負担増、
3)診療報酬引き下げ

など医療費抑制を内容としています。小泉首相は、患者・保険者・医療機関の「三方一両損」だから我慢は当然としていますが、医療費の膨張や保険財政赤字の原因である国庫負担の復活や高すぎる薬剤費の改善はまったく触れず、政府の「一方三両得」というべきもので断じて容認できません。

<2-9> 政府は、改悪の口実に健康保険財政の赤字をあげていますが、その最大の原因は国庫負担の大幅な削減にあります。また、保険料収入の算定基礎となる平均賃金は97年改悪時から3,000円も下がり、政管健保の加入者も40万人も減っており、改悪は負担増→個人消費の低迷・景気悪化→保険料収入減→負担増の悪循環のくりかえしを招くことが避けられません。春闘での賃金闘争の成果を吹き飛ばしかねない生活防衛闘争として、すべての組合が最重要課題の位置づけをして諸闘争にとりくみます。

<2-10> 改悪法案を国会に上程させないことを重視するとともに、改悪法案が重要局面を迎えるような場合には国民的ストライキをかまえてたたかいます。全国に多様な形態の共同・連絡組織を結成し、各市町村ごとの目標を設定した署名運動や、労働組合、民主団体、老人クラブ、医師会、医療職能団体への申し入れ、国にむけた自治体意見書採択運動などにとりくみます。2月14日に春闘共闘、社保協、医団連の共催で「医療改悪阻止1万人集会」を開催することをはじめ、全国で波状的な宣伝・署名、集会・デモ、国会要請、著名人による国民アピール行動などにとりくみます。



(4) 各分野の切実な要求と結合して


<2-11> 2002年春闘では、各産業・地域の重要課題が山積していますが、春闘共闘としては小泉「構造改革」最大のターゲットであり、国民の生存権に直結する「雇用」「暮らし」「いのち」の全国民的共通課題と、それぞれの単産や地方が直面している切実な課題を結合して集中的な運動にとりくむことを呼びかけます。

<2-12> 差別・選別の人事管理の強化、労働基本権の回復を先送りしたままの人事院勧告制度の縮小、悪政を企画・立案する官僚を高く処遇するキャリア特権制度の合法化など、悪政推進の手先となる「もの言えぬ公務員」づくりをねらう公務員制度の改悪に反対し、労働基本権の確立をめざすたたかいに全力をあげます。また、奨学金事業を担う日本育英会の廃止、住宅金融公庫の廃止や公団賃貸住宅の民間への売却など、国民生活に役立つ事業を冷たく切りすてる特殊法人の「整理合理化計画」に反対してたたかいます。
 3300地方自治体を1000程度に縮小する市町村合併に反対して、広範な団体や自治体関係者と共同の運動にとりくみます。地方自治をきりすてる地方交付税の削減や、自治体職員の削減、公共業務の委託・民営化、医療・福祉・教育など住民サービスの縮小に反対する住民ぐるみの運動を全国で推進します。

<2-13> 過労死認定基準についての厚生労働省などの通達は、業務の過重性の判断がこれまでの「発症一週間前」ではなく、「発症前おおむね6ヶ月の勤務状態を客観的・総合的に判断する」こととし、長期間にわたる疲労の蓄積が発症に影響を及ぼすことを認めました。また、1ヶ月45時間をこえる時間外労働は「業務発症との関連が強まる」とし、80時間をこえる時間外労働は「当然過労死と認めるべき」としています。職場の学習・討議を強め、使用者に対する作業環境改善のたたかいをすすめます。

<2-14> 倒産、失業、リストラ、非正規雇用の拡大にともなう保険料未納者の増大など、年金の空洞化が一刻の猶予もできない事態になりつつあります。また、小泉内閣は3ヵ年計画で社会保障の大改悪を予定し、2004年には年金のさらなる改悪をたくらんでいます。年金の「物価スライド」を口実にした支給額の切り下げに反対するたたかいを春闘課題として重視します。また在宅介護分野への企業参入とともに、福祉・保育分野への株式会社の参入などがすすめられており、これに反対する運動にとりくみます。

<2-15> 日本の戦争参加、有事体制づくりと連動して、「神の国」日本を守るため天皇に命をささげる国民をつくる目的であった戦前教育の復活をたくらむ教育基本法の改悪や、小中学校の選択制など公立学校の多様化などが小泉内閣によって強行されようとしています。春闘共闘は、こうした教育の反動化や再編に反対してたたかいます。また、少人数学級の実現、就学援助・授業料減免制度の拡充、新卒者・若者の雇用保障など、子どもと教育を守る国民的な共同の運動に積極的にとりくみます。

<2-16> 「長ネギ・生シイタケ・イ草」のセーフガード暫定措置を本格発動させるとともに、対象品目を拡大することを要求して運動をすすめます。また、BSE(狂牛病)問題では、汚染骨粉の輸入と国内流通を野放しにしてきた政府・行政責任を追及し、実効ある対策と補償を求めるたたかいにとりくみます。消費税の増税反対、3%への減税を求める運動など減税闘争にとりくみます。地球温暖化防止にむけた「京都議定書」の発効など、環境を守る国民運動に中央・地方で積極的に結集します。

<2-17> 15年目を迎えた国鉄闘争の一日も早い勝利解決をめざして奮闘します。重要な局面を迎えているなかで、1047人のJR採用差別問題の解決、雇用の確保を要求してたたかいます。2002年10月の第27期中労委労働者委員の選任にむけ、全労連、純中立労組懇、MICとともに公正任命にむけた団体署名、厚生労働省との交渉、学者・文化人アピールなどを計画します。



3)有事法制、憲法改悪、日本の参戦阻止のたたかい

<3-1> 「テロ対策特別措置法」や「PKO協力法」の改悪が強行され、自衛隊艦船や航空機が燃料、人員、物資を輸送する「基本計画」が策定されるなど、2002春闘は平和と民主主義をめぐる重大な事態のもとでたたかわれます。有事法制や憲法改悪の策動に反対し、職場・地域から学習・宣伝、対話・署名を展開しながら、自治体決議、集会やデモ、自衛隊基地包囲行動、国連安保理事会への要請、「憲法9条守れ」の職場決議などを推進します。「有事法制反対、憲法守れ」の共同を発展させます。

<3-2> 自民党が、「憲法改正国民投票法案」を国会に提出することを確認し、民主党も憲法9条を再検討する中間報告をまとめるなど、憲法改悪の策動が急速に強まっています。春闘共闘は、広範な労働組合、団体によびかけ憲法改悪反対の共同闘争にとりくみます。また、小泉内閣が沖縄・名護市の辺野古地域に建設をねらう米軍新基地は、総延長2700メートルに及ぶ海兵隊の巨大な出撃拠点です。沖縄の美しい自然と環境を破壊し、国際的にも希少動物であるジュゴンの生存に致命的打撃を与える新基地建設に反対し、全国からの支援を沖縄に集中してたたかいを前進させます。



4)壮大な国民的共同で政府・大企業を包囲しよう

(1) 「国民的ストライキ」と分野別連鎖行動


<4-1> 2002年春闘では、すべての労働者・国民が総がかりでたたかう国民春闘の成功を基調に、統一行動の軸に「医療改悪阻止、雇用、暮らし、いのちを守る国民統一ストライキ」を据えます。
 「国民統一ストライキ」は、それぞれの労働組合や民主団体が、みずからの切実な要求を持ちよって同じ日に全国いっせいに決起する統一行動です。すべての労働組合がストライキをかけて「地域デモ」などを計画し、それを中小企業は一時操業をストップし、自営業者・商店は一時シャッターを下ろして閉店し、農民は農作業を中断して鍬を置き、医療機関は自主的な休診体制をとって支援する統一行動の成功をめざします。
 「国民統一ストライキ」の実施時期は4月12日(金)を提起します。春闘共闘と呼びかけに賛同するすべての組合が、「全員スト」「指名スト」「時限スト」、時間内集会、休暇闘争など、全組合員が結集しやすい多様な形態を工夫し、春闘共闘として史上最大の結集をめざしてこの「国民統一ストライキ」に参加します。
 「国民統一ストライキ」の成功をめざし、商工団体、農民団体、女性・青年団体、医療団体などに積極的な参加と支援を呼びかけます。また、4月12日の夜には国民的共同による「首都圏決起集会」(日比谷野音)の開催を計画するとともに、この日を中心に全国で県民共同集会の開催を呼びかけます。

<4-2> 「国民統一ストライキ」につなげるたたかいとして、2月から3月にかけて各産業・分野の共同闘争を波状的に展開します。そのため、「交通運輸・タクシー」「医療・福祉・年金」「商業・サービス」「建設関連・公共事業」「金融・保険業」「金属・情報機器」「マスコミ・文化」「公務関連」など、産別・業種グループごとに2002年春闘における共同行動について具体化をはかります。こうした分野別の共同を土台に、「雇用・失業」「労働法制」「医療」など一致する課題でのすべての労働組合・団体の「共同集会」や政府・国会にむけた共同のとりくみ、国会前の共同座り込み行動などを追求します。

<4-3> 地域を基軸に、全組合員が総決起する「地域総行動」を2月20日に全国で実施します。この日は、単産の中央行動は配置せず、すべての組合が地域行動に総結集します。各都道府県・地域ごとに、「雇用・仕事」「暮らしの最低保障」「いのちと健康」の要求課題を中心に、宣伝・署名行動、労組・自治体・業界申し入れ行動、集会・デモなど創意的で多様な統一行動を計画・実施します。各単産は、2月20日の地域行動に単組・支部・分会が積極的に結集するよう指導と援助を強めます。

<4-4> 1月21日に開会される第154通常国会では、開会冒頭での第2次補正予算案審議を皮切りに、2002年度政府予算案、医療改悪、労働法制の改悪、有事法制の立法化など、許しがたい悪法が審議されます。開会日の要請行動を出発点にして、予算案審議が本格化する2月・3月の予算委員会日程を中心に、毎週水曜日を定例の国会行動日としてとりくみます。また、2月上旬・下旬、3月下旬、4月上旬などに国会前座り込み行動などを計画し、国会を包囲してたたかいます。



(2) 要求提出と集中回答日、学習・宣伝計画


<4-5> 春闘を前進させる最大のカギは、どれだけ多くの労働者の要求を結集し、たたかいに結集するかにあります。しかし、この間の春闘では「要求アンケート」の集約や春闘要求の提出、ストライキ権の確立、有額回答の引き出しなどが低下する傾向にあります。あらためて労働組合の原点に立ちかえり、春闘要求やストライキ権の確立などをしっかりと準備し、すべての組合が春闘に立ち上がることを重視します。

<4-6> 2002年春闘の使用者要求は2月末までに提出を完了するよう努力し、集中回答日を3月13日(水)に設定します。「集中回答日」の翌日に、ストライキをふくむ「第一次全国統一行動」を配置して積極的な回答引き出しをはかります。4月12日に春闘要求の実現と結合し第二次全国統一行動としての「医療改悪阻止、雇用、暮らし、いのちを守る国民統一ストライキ」を配置します。

<4-7> 職場・地域から学習と宣伝を強めながら春闘をたたかいます。春闘共闘として、春闘の大量宣伝ビラや「ラジオスポット」などを検討し、国民春闘成功への社会的アピールをひろげます。



(3) 第73回メーデーの成功


<4-8> 国民総ぐるみとなった2002年春闘を大きく前進させながら、第73回中央メーデーの成功にむけ、首都東京の春闘共闘とともに広範な労働組合、民主団体を結集した「メーデー実行委員会」を結成し準備をすすめます。労働者と国民要求の前進、平和と民主主義擁護のメーデーとして成功をかちとるため、単産、東京のメーデー成功にむけた宣伝と参加体制の確立をはかります。



以上