第28回定期大/開会あいさつ

全国労働組合総連合

議長  小田川義和

全国からお集りの代議員、傍聴者の皆さん、全労連第28回大会へのご参加、大変ご苦労様です。

大会の開会にあたり、幹事会を代表してご挨拶を申し上げます、議長の小田川です。

 

この2年間、私たちは、安倍政権の「暴走」政治、「戦争する」と「企業が世界で一番活動しやすい国づくり」との対決に多くの力を注いできました。

とりわけ、前回大会直前の2014年7月1日、安倍政権が集団的自衛権容認の閣議決定をおこなった情勢のもと、この具体化に反対する国民的な運動の一翼を担って、奮闘してきました。全労連に結集いただくすべての組織、組合員の皆さんの昼夜を分かたぬご奮闘に、感謝と敬意を申し上げます。

たたかいは、昨年夏、「2015年安保闘争」とまで言われる状況をつくりだし、強行された戦争法廃止を求める中心的な取り組みであった戦争法廃止を求める国会請願署名では、7か月間で、360万人分の署名を全労連として集約するという近年にない到達点となりました。

単産、地方組織の皆さんの組織を挙げた、そのようなたたかいが、7月10日投票でたたかわれた参議院選挙で、いま大変な激戦となっている東京都知事選挙で、市民と野党が力を合わせて与党と対決する選挙に取り組む、新しい局面を切り開く力となったことを互いの確信にしたいと思います。

 

例えば、今たたかわれている東京都知事選挙では、様々な系列の市民運動体が鳥越俊太郎知事誕生をめざして結集し、選対事務所とも協力しながら、街頭宣伝やポスティング、電話かけなどの取り組みを調整する状況となっています。

鳥越さんの立候補の契機が、参議院選挙で改憲派が国会の3分の2を占めたことに対する危機感、憲法の危機に対しての強い思いからであったように、市民の共同も野党の共闘も、平和の危機、立憲主義の危機、民主主義の危機を共有したものです。

言葉を変えれば、日本国憲法を大本から転換して明治憲法に後戻りさせることを隠そうともしない安倍政治に対し、主権者の立場で、憲法擁護の一致点での統一戦線的な動きとなってきている、そこまで状況が一気に進んできたことを確認し、次のたたかいの論議を深め合いたいと思います。

 

同時に、このような状況の急激な変化が、全労連運動における政治闘争、とりわけ選挙闘争のあり方論議を避けがたくしています。参議院選挙での選挙闘争方針を次の国政選挙に向けてさらに深める方向で、引き続きの論議を呼びかけさせていただきます。

 

第二に、本大会からの向こう2年間は、さらに激動と言える変化が予想されると同時に、全労連運動の真価が問われる正念場のたたかいになることも確実です。

そのたたかいを、受け身ではなく、攻勢的に進め、全組織をあげたたたかいとしていくために、皆さんの知恵と力を全労連運動にお寄せいただくことをお願いします。

激動の中心課題が、戦争法の発動をくい止め、辺野古新基地建設の断念を勝ち取り、改憲策動にストップをかけるたたかいにあることは、いうまでもありません。

そのたたかいを進める基盤は、市民と野党の共闘を、戦争法廃止・立憲主義回復の一致点を基軸にさらに発展させることにあり、それを強固にするためにも、あらゆるレベル、あらゆる要求課題での市民との共闘に真剣に向き合い、努力し、結果につなげていくことが必要です。それは、この2年間のたたかいから導き出せる教訓でもあります。

 

同時に、強調したいのは、そのような市民と野党の共闘の深まりへの恐れもあって、参議院選挙後、安倍政権の権力的な傾向がいよいよ強まり、議会制民主主義の危機が深まっていることです。

安倍政権は、参議院選挙で、5度目の明確な審判を沖縄県民が下したにもかかわらず、選挙後、いち早く辺野古陸上施設の工事着手を言明し、埋め立て承認を取り消した翁長沖縄県知事の処分の取り消し訴訟を提訴し、全国から500名もの機動隊員を動員して高江でのヘリパット建設を強引に進めるなど、権力による民意の弾圧をおこなっています。これが、自由で民主的な社会をめざす政党なのか、強い怒りを覚えます。

高市総務大臣の停波発言、報道内容への権力的な介入に端を発した有名キャスターの相次ぐ降板などの事件もあって、マスコミの萎縮状況が顕著になっています。

申し上げた沖縄の状況、例えば、高江ヘリパット建設現場での機動隊の暴力的対応を本土のマスコミはどれだけ伝えているのでしょうか。

それだけではありません。憲法や原発などの課題を扱った集会の会場使用を取り消す、9条を読んだ俳句を公民館発行のニュースから除外する、主権者教育の実態調査を口実に密告を奨励する、などなど、危険な動きは、この2年間でも繰り返し起き、より頻繁になっています。

戦前を知る多くの方が、戦争にひた走る道に進んでいくときに、権力的な弾圧と同時に、権力者の思いを推し量る、忖度し、自粛する市民の存在、まだ大丈夫という楽観主義の広がりの怖さを指摘されています。

 

今の政治状況、社会状況の危険性は、警鐘をいくら乱打してもしすぎることはない、そう思います。

その点もふまえ、改めて皆さんに呼びかけます。

私たち全労連は、どのような目的、どのような覚悟で結成したのか、その原点の再確認を。多くの単産の結成時の決意、引き継ぐべき闘いの歴史の継承の努力を。戦後民主化を全面的に否定する自民党改憲草案の恐ろしさと、改憲を主張する自民党政権の下でないがしろにされ続けてきた憲法を社会全体にいかしていくことで開ける展望の学習を。

情勢の大きな変化に向き合った現実的な運動を進めていくためにも、私たちがよって立つ足場、基軸を組合員の皆さんと共有いただくための努力に、運動の一定割合を割いていただくことを、強く呼びかけます。

 

第三に、この2年間でも、残念ながら労働者の暮らし、雇用環境は改善せず、悪化に歯止めを打てていません。

 

上昇した物価に賃上げが追い付かず、労働者の実質賃金は5年連続のマイナス、その影響もあって2014年度、2015年度と連続して国内の個人消費もマイナスです。就業者が増えたといっても、増えたのは非正規雇用労働者で、2000万人にせまっています。1年間働いても年収が200万円に達しない労働者は1200万人にも達し、貯蓄ゼロの世帯が全世帯の3分の1という深刻さです。

アベノミクスが始まった2013年以降、家計消費に占める食費の割合、エンゲル係数が急上昇しています。低賃金の非正規雇用に追いやられダブルワーク、トリプルワークを余儀なくされ、外食に頼らざるを得ない方が増えたこと、年金給付の引き下げが定年後の高齢世帯を直撃していることなどが、大きく影響していると指摘されています。

ここにきて安倍政権が、最低賃金引き上げや奨学金の金利引き下げなどに手を付けざるを得なくなっているのは、申し上げたような労働者、市民の状態悪化が進行し、アベノミクスの下で拡大し続ける格差と貧困への批判と怒りをそらすためであることは、はっきりしています。

 

ところで、雇用の安定が損なわれて低賃金労働者が増え続ける、労働時間規制が緩和される、解雇規制が緩められて雇用が不安定化する、日本だけでなく、多くの先進国の労働者が同じ攻撃にさらされ、苦しみ、反撃に立ち上がっています。

そのような攻撃の強まりが、国境を越えて利益の最大化を追及するグローバル企業の圧力によるものであることを直視しなければなりません。

最近話題となったパナマ文書でも露見したグローバル企業や富裕層の税逃れ、持てる者がより多くの富を得る状況が放置されているのも、同じ構図です。

私たちは、そのような時代の労働運動をたたかっています。アベノミクスが、グローバル企業の要望を最大限実現する方向の政策であることは、多くを語る必要はないと思います。

したがって、アベノミクスの対抗軸として、市民も巻き込んだ大きな運動を視野にいれた、中長期的な戦略意識を持った運動が求められています。

 

本大会に提案しています全労連大運動、その具体化としての地域活性化大運動は、そしてその中心的な取り組みとしての全国最賃アクションプランは、全労連としてのアベノミクスに対抗する戦略的な運動の提起です。

グローバル化に対抗した地域、ローカルから、労働者、市民の暮らしの基盤を底上げし、持続可能な地域循環型の経済への転換をせまる運動を労働組合として積極的に作り出していきたいと思います。

 

第四に、本大会には新たな組織拡大4か年計画とその具体化を財政的に担保する会費値上げを提案しています。

 

この4年間の拡大計画では、年間の組織拡大数が10万人にせまる規模での奮闘をいただきました。

各組織が拡大目標を明確にし、非正規雇用労働者も含めた職場のすべての労働者を対象にした拡大運動、介護労働者を対象にした組織拡大の総がかり行動など、一定の成果と教訓を生み出していただきました。

しかし、一方で、単産加盟、地方組織のみの加盟、地域組織のみの加盟、いずれの属性から見ても、前々回大会時から純減になっていること、組織減少に歯止めを打てていないことも事実です。そのことが、全労連財政にも深刻な影響を与えていることも率直に申し上げなければなりません。

 

組織の純減状況に歯止めを打つことを共通の目的に、人と財政の一定規模を組織拡大の取り組みに集中させる、すべての組織で、申し上げたような運動状況をつくりだしていく、そのための提案が「組織拡大強化4か年計画案」です。

詳細は、後ほど提案いたしますが、単産と地方組織の共同の組織拡大運動に全労連も直接かかわることで、よりダイナミックに進めていくための提案も含んでおり、厳しい中での新たな財政負担のお願いも、4か年計画を進めるために、同時に提案させていただいていることは、私からも強調させていただきます。

 

最後になりますが、この大会は、「戦争する国づくり」に加担し、改憲を主張する知事か、それとも憲法と平和を守り抜く知事かが激しくたたかわれている東京都知事選挙の最終盤の段階での開催となりました。

 

4年間で3回も知事が辞任する、そのうちの二人は政治と金、税金の私的使用、というスキャンダルへの都民の怒りで、知事の座から引きずり降ろされた結果の選挙です。

この混乱を都民と一緒に収束できる知事、憲法と平和を守る知事を誕生させることは、国政への影響は、大変大きなものがあります。

 

そのことから、大会終了後には、全労連と東京地評・東京労連共同の街頭宣伝行動も予定しています。ご協力お願いするとともに、市民と野党統一の東京都知事候補、鳥越俊太郎さんを知事に押し上げるため、東京在住のお知り合いに声をかけていただくことなど、全国の皆さんにも声をかけていただくなど、皆さんのお力をお貸しいただくよう、高い席からですが、強くお願いします。

 

経済、政治、国際情勢、どの側面から見ても、今が大きな変化の真っただ中にある、歴史の節目にあるとの思いは共通しているのではないでしょうか。

その節目に、全労連運動の新たな発展の展望を、道筋を確認しあう大会として、今日から三日間の大会を成功させていただくことを切にお願いして、幹事会を代表してのご挨拶とします。

 

以 上