全労連第26回定期大会 2012年7月29日〜7月31日
すべての争議の早期解決をめざす特別決議

 いま日本では、長期化するデフレと円高、内需低迷がすすんでいる。電機産業での大リストラ計画、自動車産業での国内生産縮小が広がり、労働者の賃金は、1997年をピークに下がり続ける一方で、大企業の内部留保は拡大を続けている。
 非正規雇用が広がり、有期雇用と低賃金が蔓延している。大震災からの復旧・復興より「構造改革」強行を重視する政治が押し進められ、労働法が軽視され、規制緩和と構造改革によるすべての犠牲が労働者と国民に押し付けられている。
 民主党政府は、政権交代の公約であったマニフェストを破り捨て、労働者派遣法や有期雇用法制など、非正規雇用のなかで苦しんでいる労働者の切実な声を無視し、経営側の思惑に沿った骨抜きの「改正」で済まそうとしている。司法も新自由主義的な流れに押され、リーマンショックで電機や自動車の製造大企業を解雇された非正規切り裁判やJALの解雇撤回裁判などで企業利益だけを優先する極めて不当な判決を繰り返している。悪質なファンドによる企業支配が広がり、職場では、強硬な成果主義の導入などによる退職強要が頻発している。労働環境が悪化し、長時間過密労働や異常なノルマ管理、セクハラ・パワハラによるメンタルヘルスが蔓延し、未組織労働者からの労働相談も多数寄せられている。さらに格差と貧困がますます深刻化するなど、構造的な労働者攻撃が強まっている。
 こうした労働者・国民に対する攻撃に勝利するには、国や企業の無法を糾弾し、司法の反動化を許さない社会的な大きな包囲行動が必要になっている。そして、安定した良質な雇用が保障され、働く貧困も過労死もない社会の実現が切望されている。

 個人請負・契約社員の「労働者性」をめぐる裁判で、新国立劇場、INAX事件の勝利判決に続いて、ビクターエンジニアリング事件でも、最高裁で労働組合法上の「労働者性」を認める判決を勝ち取ることができた。
 1987年の国鉄分割・民営化で解雇された1,047名の全動労・国労組合員らの不採用問題は、最高裁での勝利的和解を経て、全動労争議団が取り組んできた雇用を求めるたたかいも今年3月で終結を迎えることができた。
 NTTの「50歳定年再雇用11万人リストラ」問題では、通信労組と闘争本部による10年にわたる粘り強いたたかいもあり、50歳定年制を廃止させることができた。

 この秋からのたたかいは、派遣切り裁判やJAL裁判などが重要な局面を迎える。また、社会保険庁の分限解雇撤回闘争も重要な情勢となる。
 日本国憲法に保障された生存権、勤労権、労働三権の形骸化を許さず、行政や企業による解雇・差別・不当労働行為の自由を阻止することは、ディーセントワークを実現するうえで避けて通れない重要な課題になっている。全労連は、憲法を職場と地域に生かし、働くルールを確立するために、国・大企業の社会的責任を追及し、すべての争議の早期勝利解決を勝ち取るため、職場・地域の組織の総力を結集して奮闘する決意である。

 以上、決議する。

2012年7月30日
全国労働組合総連合 第26回定期大会