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全労連第23回定期大会 2008年7月23日〜7月25日
 
【第1号議案】第24回臨時大会運動方針

憲法を職場とくらしにいかし、貧困と格差の解消・平和の実現を

はじめに
(1) 第23回大会以降の情勢は、歴史的な激動の期間であった。弱肉強食の資本主義のいきづまりが明白になる中で、その激動は次の時代の幕を開く動きとなって加速している。
 それだけに、これからの1年間は、日本社会のあり方や労働者の雇用、くらしの将来を左右する重要なたたかいが連続する期間になると考えられる。
 おりしも、本臨時大会直後には政治変革の可能性のある総選挙が実施され、2010年夏には参議院選挙が予定されるという政治決戦の時期を迎えている。
 次の時代を開き、政治の変革をせまるのは、大企業中心、外需依存のゆがんだ社会構造から「安定した良質な雇用」を中心において格差と貧困を解消する社会への転換を迫る労働者・国民のたたかいである。そのたたかいを早期に強めることを目的に、第24回臨時大会を開催する。

(2) アメリカの住宅ローン、サブプライムローンの破綻に端を発した金融危機が、瞬く間に世界経済を巻き込み危機に陥れ、新自由主義の失敗が極めて明白になった。それは、2000年代初頭からの小泉「構造改革」が、労働者・国民のくらしに与えた「被害」の大きさへの認識を共有させることにもなった。
 労働者の3分の1にまで増加させた非正規労働者に、自己責任をせまり、医療、福祉、教育、住宅などの生活基盤から排除し、失業時のセーフティネットも取り上げることで、多国籍大企業の国際競争力を強化し投機マネーを確保させてきた。そのような労働者疎外の政策をすすめた構造改革が、全国各地に「派遣村」を生み出した。その事実にも目を向け、切実な要求の実現をめざす経済闘争と政治の転換をめざす政治闘争を同時に強めることが、今、全労連には求められている。

(3) 08年末からの経済危機に際して政府がとった施策は、雇用については雇用調整助成金の拡充など対症療法的なものにとどまり、その多くは多国籍大企業への直接的な支援策であった。大企業中心の政治から転換しようとしない政治が雇用状況を悪化させ、内需をさらに縮小させ、社会不安を増大させている。
 「構造改革」を転換し、国民生活を中心にすえて経済危機を克服していくために、雇用の安定と国内での雇用創出の課題が中心に座る必要があることは明らかである。
 「安定した良質な雇用」の実現をもとめ、政府と財界・大企業に「ルールある資本主義」をせまる労働者・国民の先頭で奮闘する全労連への期待はこれまで以上に大きい。

I.08年・第23回大会以降の特徴的な状況の変化

1.1年間のたたかいで、転換期の全労連運動への教訓が多数生まれた
(1) 世界経済の同時不況のもとで、日本社会の矛盾があらわになった。
 この1年間の激動は、09年6月1日、100年続いた世界最大の自動車メーカー・GM(ゼネラルモーターズ)が米国連邦破産法の適用を申請し、経営破たんしたことにも象徴される。
 日本経済は、「メイドバイジャパン」も掛け声に、2000年代初頭から、外需依存をより強めていたため、世界同時不況の影響を他の先進国に例を見ないほど大きくうけた。それは、2008年10月〜12月のGDPが年率換算で実質12.1%(改定値)、2009年1〜3月には14.2%(季節調整値)も減少したことにも表れている。
 製造業大企業などの多国籍大企業の経済活動を最優先する「構造改革」によって、労働者、中小・零細事業者からの収奪が強められ、農林漁業が切り捨てられるなど、内需軽視のゆがんだ経済構造がより進行していたことの矛盾が露呈した。

(2) 激動の時期のたたかいは、貴重な教訓を生み出した。
 その一つは、急激な景気悪化を口実に、製造業大企業が「派遣切り」、「期間工切り」などの非正規労働者使い捨ての姿勢をあらわにし、大銀行が貸し渋り、貸しはがしを強めたことなどに対し、大企業中心社会の異常さ・矛盾を徹底して追及する先頭に全労連が立って、国民的な共同を前進させ、大企業批判の世論を高めてきたことである。
 厚生労働省の調査(09年5月)でも、08年10月から09年6月までに21万6408人もの非正規労働者が雇止めにされている。このように企業が非正規労働者を「生産の調整弁」としていることが事実として明らかになる中、大企業の労働組合の一部には、それを是とする動きがあることを表面化させたが、そのことが全労連の存在をより明白にさせた。
 その二つは、90年代後半からの「構造改革」によって、労働者の生存権を保障できないほど労働法制や社会保障制度が壊れていることを浮きぼりにし、是正に向けた運動を強めてきたことである。
 急激な雇用破壊のもと、職と同時に住まいなどの生活基盤を失う労働者の現状を「年越し派遣村」の取り組みなどで明らかにし、雇用の安定と雇用保険も含めた社会保障の再構築が緊急の課題であるとの国民的合意を深め、運動を高め、政府にも一定の対応をおこなわせてきた。
 「派遣村」・街頭相談などの取り組みは、1月から4月末の4ヶ月間で、全労連傘下の単産、地域組織が参加したものが44都道府県・161ヶ所以上あり、運動を牽引した。
 その三つは、膨大な内部留保を溜め込み、株主配当を維持しながら、非正規労働者を契約途中でも雇止めにする大企業の身勝手な振る舞いに怒る労働者が労働組合に結集し、単産、地方組織が共同して非正規労働者のたたかいを支え、短期間に成果を勝ち取ってきたことである。単産と地方組織で構成する全労連の組織特性が十分に発揮された。
 08年12月以降、09年4月までの5ヶ月間で、派遣切り等にあって全労連傘下の組合に結集した非正規労働者は191組織・1206名となっている。このような、派遣労働者などの組合結集が、単産・地方組織の組織拡大の取り組みを激励し、前進させた。
 全労連はそれらのたたかい支援のため、急きょ「ワンコインカンパ」を呼びかけ、取り組みの全国化をはかった。同時に、労働局申告運動や裁判闘争なども通じて大企業の雇用責任を追及し、政府に緊急対策や通達変更をおこなわせるなど、社会的影響力のある取り組みとして前進させた。

(3) 国民の世論と運動が政治を動かす具体例を積み上げてきた。
 08年通常国会の参議院で可決されていた「後期高齢者医療制度廃止法案」が08年秋の臨時国会で審議されたことに続き、09年通常国会には、これまでの運動を反映した法案等が相次いで提出された。
 3月には、介護報酬引き上げを求める「介護労働者の人材確保に関する特別措置法」が野党4党で共同提出され、これも受けて政府は、09年補正予算で介護福祉士などの給与改定への助成金措置を講じた。09年6月には、タクシーの規制を強化し、減車を可能にするタクシー適正化・活性化法が、野党四党共同提案の修正案を取り入れて全会一致で成立した。
 09年5月には、公共サービスに従事する者の適正な労働条件確保と労働環境の整備に必要な措置をとることなどを求める「公共サービス基本法」が全会一致で成立した。また、制定までには至らなかったものの、尼崎市で公契約条例が議員提案されるという公契約運動の前進もあった。09年6月には、4月から廃止された母子加算の復活を求める生活保護法改正法案が野党4党共同で提出された。
 後期高齢者医療制度にかかわっても、診療報酬を75歳以上別建てとする枠組みの見直し論議が開始される状況も生まれている。
 これらには、参議院における与野党逆転状況とともに、小泉「構造改革」への国民的批判を高め、国民共同の運動を前進させてきたことを反映した到達点といえる。

2.平和な世界を求める運動も前向きに動き始めた
 09年1月、アメリカでは民主党・オバマ政権が誕生した。オバマ政権は、在日米軍基地移転を口実に、グアムでの米軍基地建設費用を日本に負担させる「協定」に真っ先に手をつけるなど、日米安保体制強化の姿勢を強めている。しかし一方で、4月にチェコ・プラハでおこなった演説で核兵器廃絶に言及し、地球環境問題ともかかわるグリーンニューディールを打ち出すなど、前政権とは異なる姿勢も示している。
 とりわけ、核兵器廃絶については、オバマ演説も契機に、2010年5月のNPT核不拡散条約(NPT)再検討会議成功に向けた世界的な動きが高まってきた。7月には、米ロ首脳会談で戦略核弾頭の大幅削減を内容とする条約改定に合意した。
 しかし、日本政府はオバマ演説に対し、北朝鮮の相次ぐ軍事的挑発も口実に「核の傘」の維持を求め、軍備強化の動きを強めるなど、否定的な対応に終始している。憲法9条を持つ被爆国日本の労働組合としての役割発揮がより求められている。

3.財界・大企業には、経済危機を招き深刻化させたことへの反省がない
(1) 大企業の09年3月期決算では、経常利益でトヨタ自動車の前年比マイナス123%となる5604億円の赤字をはじめ、自動車、電機などの大企業が軒並み赤字決算となった。2010年3月期も大幅な改善を見込まない各企業は、「700万台でも利益が出る体質」をめざすトヨタをはじめ、コストカットのためのリストラや海外への生産拠点移転などを具体化し始めている。そのことが内需にも否定的な影響を与え続けている。
 また、経済危機を口実に、金融機関だけでなく事業会社も公的資金の投入を求め、企業の新たな儲け先として環境や農業、介護分野などを位置づけ、営利企業参入や政府資金の投入を強く迫っている。
 これらの姿勢からは、脆弱な外需依存経済が労働者・国民に与えた深刻な影響への反省はうかがえず、市場万能論を説き続けていることと現実との乖離は余りにも大きい。

(2) さらに財界は、社会保障への企業負担の軽減、法人税率引き下げ、一方での消費税率引き上げを意味する「社会保障と税財政の一体改革」を政権公約とするよう求め、国民生活への国の財政支出抑制を目的にする「道州制実施」を迫るなど、「100年に一度の経済危機」を利用した国民収奪強化の動きを露骨にしている。
 貧困や格差の是正に向けた大企業の社会的責任はまったく顧みられていない。

(3) 麻生内閣は、08年10月以降、09年本予算も含め4度の予算編成をおこなったが、定額給付金に代表される「税金バラ撒き」と、エコポイント創設などに代表される露骨な企業支援策が中心となっている。
 また、09年12月にデンマークで予定されている気候変動枠組第15回締結国会議(COP15)に向けた日本の温室効果ガス排出規制中期目標の設定にかかわって政府は、対策コストの抑制を意味する「実現可能性」を強調し、産業界の要望に応えた消極的な「2005年度比15%減」の目標を設定した。
 大量生産、大量消費を前提とした経済成長や国際競争力強化や既得権に固執する政治路線のもとで、経済危機の負担と犠牲を労働者・国民に転嫁し続ける政治が、危機克服を口実に強められる危険性さえ見え始めている。

II.悪化する労働者・国民の生活、中小企業経営、強まる改憲策動(労働者を取り巻く情勢のポイント)

1.長期化が懸念される世界的同時不況
(1) OECDは、09年の世界の貿易額が前年比で13%減少することを予測し、保護主義的な動きが強まることに懸念を示した。各国とも、金融危機を回避するために多額の公的資金を投入しただけでなく、経営難に陥った自動車企業などの救済にも競うように税金を投入している。にもかかわらず、自国民の雇用や生活レベルが維持できないことでは、国内批判が高まることは必至である。すでに、アメリカ・オバマ政権は、公的資金投入企業の海外移転に対して重課税をおこなう法案の制定を議会に求めている。世界同時不況のもとで、とりわけ先進国での保護主義的傾向が強まることは外需依存から脱しない日本経済に深刻な影響を与えることなる。

(2) 日本の輸出金額は、対前年比で、08年10月からマイナスになり始めた。09年2月のマイナス50%を底に、3月、4月はやや持ち直しているが、前年同月比ではなお4割近く減少している。このこともあって、日本国内の09年1月〜3月の需給ギャップは45兆円(マイナス8.5%)と過去最大を記録し、デフレ懸念が高まっている。
 08年秋以降の数次の経済対策が講じられたうえでのデフレ傾向であり、09春闘や夏季一時金などに見られる賃金抑制の強まりによる国内消費減少での不況長期化も懸念される。

2.不況下で悪化し続ける雇用、営業、労働者・国民の生活
(1) 09年4月までの15ヶ月間、就業者数が連続して減少し続けている。医療・福祉を除き、主要な産業分野ではいずれも大きく減少した。そのもとで、完全失業率は6ヶ月連続して増加し、09年4月には5年5ヶ月ぶりに5%台に上昇した。
 有効求人倍率は08年6月以降、連続して減少しており、09年4月には0.46倍と2000年代前半の水準まで低下した。主要な産業すべてで前月より低下しており、雇用状況が悪化し続けている。
 08年の倒産件数は15000件を超え、09年に入っても月1000件を超えるペースの倒産件数が続いている。製造業下請け企業や、卸売り、サービス業、運輸業などでの倒産が増えており、内需減少の影響がより顕著になってきた。政府調査では、失業・廃業の心配があるとする国民の割合が3割に達した。
 その状況下、雇用調整助成金の受理状況で、09年4月時点で253万人がその対象となっており、公的資金が雇用を一定底支えしている状況にもある。

(2) 春闘前半の取り組みも反映している09年4月の労働者の賃金は、前年比で所定内給与が1.0%減、超過勤務の減少もあって現金支給額も2.5%減少した。また、09年夏のボーナスも、大手企業の19%減、国民春闘共闘委員会集計でもマイナス12.23%(09年6月5日)などと、大幅な抑制攻撃が強まっている。
 国民春闘共闘委員会の6月1日時点の集計では、09年春闘の賃金回答は、加重平均で5864円・1.94%の賃金引上げを勝ち取り、回答を引き出した組合では定期昇給程度を確保している。また、倒産を回避し、雇用を維持する取り組みでも奮闘している。しかし、労働組合のない職場をはじめ、賃金削減や雇用破壊が徐々に進行している。

(3) 08年秋の生産者米価は時給179円まで低下し、兼業農家が派遣切りにあうという事態も起きている。また、農地集約や営利企業の農地取得を可能にする農地法改悪が強行されたもとで、農業従事者の労働者化が急ピッチで進む動きとなっている。
 経済危機のもとで一層強まる大企業の下請け単価引き下げや、一方的な仕事減らし・下請け切りなどで、中小零細企業・事業者の経営難も深刻になっている。労働者数で70%を占める中小・零細企業の経営安定は、労働者の雇用維持に直接影響する課題である
 これら、大企業中心社会のもとで政策的に排除され、大企業の横暴に苦しむ国民諸階層との共同は、これまでよりさらに重要になっている。

3.雇用と生活を守るたたかいが切り開く要求前進の展望
(1) 企業の身勝手な「派遣切り」に怒り、たたかいに立ち上がった労働者・労働組合や、たたかいを支える「派遣村」などの取り組みを全国展開する中で、雇用を維持させ貧困解消につながる制度改善を実現してきた。
 契約途中での「派遣切り」、「期間工切り」を、労働契約法や厚生労働省の指針なども活用して、裁判闘争、労働局申告、団体交渉などで追及して違法性を確定させ、政府に派遣指針の改定もおこなわせた。
 偽装請負などの違法行為を告発、申告し、社会的に糾弾する取り組みを通じて、派遣先企業に直接雇用を認めさせる成果も勝ち取っている。

(2) 職と同時に住まいを失った労働者の住宅確保を政府や自治体におこなわせ、生活保護の「水際作戦」を押し返すなど、職を失った労働者の生活基盤確保を政府におこなわせる取り組みも前進した。
 雇用保険法改正法案の08年度内実施を実現させ、雇用保険が適用されない失業者を対象にした「緊急人材育成・就職支援基金」を創設させるなど、失業時のセーフティネットを一定整備させてきた。さらに、政府は、非正規労働者への社会保険適用の拡大、母子世帯への給付付き税額控除の導入、育児休業取得にともなう不利益扱いの法的規制強化など、「雇用を軸とした安心」構築の検討も始めている。
 労働者と労働組合のたたかいで、雇用と生活を守る要求を前進させている。

(3) 一方で、雇用の安定にとって緊急の課題である労働者派遣法改正については、政府が08年11月に提出した不十分な法案すら審議入りされず、景気悪化や雇用状況の悪化も理由にたなざらし状態となっている。
この課題では、日本弁護士連合会が全労連の主張にも近い意見書を公表し、ナショナルセンターの枠を越えた共同も前進し、国民的な関心を高め、政治課題に押し上げてきた。 
 このような共同が前進する中で6月には民主・社民・国民新党3野党共同案も合意されたが、その内容は製造業への派遣を全面禁止としていないなどの不十分さある。また、国会会期末での合意のため、通常国会での審議はおこなわれなかった。
 総選挙での争点として浮上させることも含め、抜本改正運動の強化が求められている。

4.強まる消費税増税圧力、「安上がり行政」の仕組みづくり
(1) 08年11月4日、社会保障国民会議が取りまとめた「最終報告」では、年金、医療、介護、少子化対策の追加費用として2025年度までには6%程度の消費税率引き上げが必要とした。これも受け、政府は09年度税制法案に、2011年度から消費税率を引き上げる附則を盛り込んだ。
 また、08年度秋以降の経済対策もあって国債発行残高が累増し、国、地方自治体とも、景気悪化のもとでの税収不足が08年度、09年度の両年度とも生ずる状況にある。
 そのことから、15兆円規模の大型補正を組んで実施される追加経済対策でも、2010年代前半からの消費税率引き上げが前提とされた。消費税率引き上げに向けた状況づくりが進められている。
 低所得者ほど税負担率の高い消費税の税率引き上げに反対する取り組みは、格差と貧困の解消を求める上でも、当面の重要課題である。

(2) 消費税率引き上げともかかわって、公務・公共サービスの「合理化」攻撃も強まっている。国家公務員の10%削減計画の策定や、公契約における競争入札の強要、保育制度改悪や公的施設、公共サービスの民営化、公的病院統廃合などが、公務員バッシングもともなって進められている。
 09年4月には、国土交通省や法務省で、競争入札強行による解雇問題が発生し、自治体病院など公的病院の再編・統廃合が具体化され始め、31道府県で独自の賃金カットがおこなわれている。
 経済危機のもとで生活基盤を支える公共サービスへの需要が高まる一方で、財政事情も口実としたサービス切り捨てや、地域経済にも影響する人件費削減が強行されており、政策的矛盾は一層深まっている。
 公務・公共サービスの量と質両面からの拡充をもとめる運動は、とりわけ地域での重要課題となっている。

(3) 新型インフルエンザ対策とかかわって、大阪府堺市、豊中市は、市民の健康を守るためとして、国民健康保険の「資格証明書」にかえて独自に短期保険証を交付した。このことにも示されるように、懲罰的な施策をともなう自己責任の強制が、社会の不安定要因となることが事実で明らかにされてきており、社会保障拡充要求が高まっている。
 また、失業者の8割が公的手当を受給できていないことをILOが指摘し、義務教育対象年齢では再配分後のジニ係数が前よりも高くなり、教育費負担の異常な高さをOECDが指摘するなど、異常さが国際機関からも指摘されはじめている。
 また、4月には、公的分野で拡大する非正規労働者の処遇の劣悪さを告発する集会が開催され、公共サービスの質を確保するためにも官製ワーキングプアの解消が緊急の課題とする世論を高めた。
 「安上がり行政」の影の部分が事実として明らかになる中で、政府の行政責任を問う声が高まっている。また、タクシーの需給規制再強化の法案が成立したように、規制緩和の行き過ぎを是正する動きも強まっている。

5.安保50年の節目を前に、加速する軍拡路線
 5月に、在沖縄米軍基地のグアム移転経費負担を日本に義務付ける日米協定が発効した。在日米軍基地再編にかかわる多額な負担の突破口となるものであり、思いやり予算に加えた米軍への巨額な税金投入が貧困を放置したまま進められることとなった。
 また、1兆円規模といわれるミサイル防衛システム構築に加え、自民党国防部会小委員会が取りまとめた2010年度からの「防衛計画の大綱」提言では、北朝鮮のミサイル発射などの挑発行為に反応した「敵基地攻撃能力の保有」が盛り込まれた。自衛隊の海外での武力行使に道を開く「海賊対処法案」も6月20日に成立した。
 憲法9条を解釈だけでなく具体的な行為で踏みにじる危険な動きが、安保50年の節目であり、改憲のための国民投票法が施行される2010年を目前に、より強まっている。
 憲法9条をはじめとする憲法の平和原則は、人類最初の被爆体験にも裏打ちされたものであり、世界的に高まっている核兵器廃絶の世論にも合流した憲法9条擁護の運動の重要性が増してきた。
 2004年6月にアピールが出され、改憲反対の取り組みを草の根から進める「9条の会」は7443に達し、着実で粘り強い取り組みが各地で展開されている。改憲反対署名では、大阪・西淀川市での住民過半数達成などの先進例が生まれ、全労連全体としては500万筆の目標の5割まで集約を進めてきている。このような継続的で粘り強い取り組みが、改憲策動を抑止する大きな力となっている。

III.第23回大会方針をふまえ、強化する取り組みの基本方向

1.2年間の運動を確認した第23回大会方針を基本に運動を補強する
(1) 第23回大会では、運動の基本方向として、労働者の生活、労働条件悪化に目を向けた「憲法をくらしと職場にいかす運動」の展開を提起した。また、「大企業に社会的責任の履行を求めるキャンペーン運動を展開」、「『環境にやさしい働き方』をキーワードに環境問題の取り組みを強化」、「対話と共同を徹底して追求し、過去最高の『峰』で20周年を」などを確認している。

(2) 先述したように、この1年の状況と運動は、大企業中心社会から、労働者・国民の権利や暮らしを大切にする社会への転換をめざす運動強化の重要性を明らかにした。
 特に、大企業中心社会から排除された非正規労働者など不安定雇用労働者や中小零細企業の労働者、青年・女性労働者、高齢者、障害者の要求と運動を重視し、現行制度を最大限活用したたたかいと制度改善運動を両輪で組織することの重要性が明白になった。

(3)  非正規労働者などが、生存権や労働基本権はもとより、教育権や自己実現の権利まで侵害されるほど社会から排除されている実態が顕在化した今こそ、憲法をよりどころに、人間らしく生き働くルールの確立を求める取り組みへの集中をはかる。
 そのことともかかわって、非正規労働者、青年・女性労働者、未組織労働者などに焦点をおいた組織化運動の飛躍的な前進をめざす。

2.雇用確保、「セーフティネット」整備、不況打開の取り組みを強化する
(1) 「憲法をいかす職場と地域の運動」は、(1)「働くものに憲法を」の立場での、なくせ貧困運動、職場の働くルール運動の具体化、(2)「くらしに憲法を」の運動として「住み続けたい地域運動」の具体化、(3)戦争をしない・参加しない日本をつらぬく憲法闘争そのものを継続・強化、の三つの柱を確認している。

(2) この内、この間の情勢の変化と運動の教訓をふまえ、(1)「働くものに憲法を」の立場での、なくせ貧困運動、職場の働くルール運動の具体化をより発展させ、大企業中心社会からの転換をめざす労働組合の運動を強める。

(3) 具体的な取り組みとしては、(1)雇用の安定(労働者派遣法の抜本改正、違法派遣等の根絶、有期雇用の規制強化)、(2)生活できる雇用・賃金の実現(「最低賃金時給1000円以上と均等待遇の実現」運動の強化、公契約運動の全国的な展開)、(3)失業時の生活保障の整備(雇用保険の抜本改正、職業訓練の充実・強化と公的責任での雇用創出、生活保護の改善、最低保障年金制度の実現など)、(4)格差を固定化、「世襲」させない社会の実現(医療、介護、保育、教育の自己負担削減・公的給付の充実など)の4点で提起する。
 この4点を「安定した良質な雇用を求める運動(雇用闘争)」として、統一的な発展をめざす。

(4) 運動の具体化では、昨年秋以降の非正規労働者の組織化と運動、全国に広がっている「派遣村」の教訓や、実態告発と当事者を先頭に立てた取り組みを追求する。
 第24回臨時大会で発足する「全労連共済」を非正規労働者の組織化に積極的活用する。
 また、不況打開をめざし、生活危機突破のたたかいを進める労働組合、市民団体との共同行動や、取り組みのネットワークづくりを追求する。
 「許すな!雇用・営業・暮らし破壊」緊急行動実行委員会などでの共同行動の具体化をはかる。

(5) 全労連の「21世紀初頭の目標と展望」の具体化を追求するとともに、経済危機のもとでより明らかになったセーフティネット再生などを求める政策要求などを付加した「新・目標と展望(仮称)」への改定論議を開始し、諸制度実現の取り組みを強める。

3.「雇用闘争」を通じた組織拡大を大胆に追求する
(1) 貧困と格差の是正を求め、大企業の雇用責任を追及する社会的な労働運動に期待を寄せる非正規労働者、青年・女性労働者、中小未組織労働者が増えてきている。これらの労働者の期待に応えるためにも、「安定した良質な雇用を求める運動(雇用闘争)」を職場、地域で旺盛に展開して組織拡大の運動を強める。

(2) 200万全労連建設をめざす組織拡大「中期計画」の具体化、全労連結成20周年を過去最高の峰で迎えることを目標に、単産と地方組織が共同して、非正規労働者の組織化キャンペーンなどの取り組み強化をはかる。
 単産や年金者組合の協力も得て、地域組織における労働相談体制の整備、非正規労働者などのたたかいのサポーター確保などを進める。
 現行制度を活用した「派遣切り」などとのたたかいでの全国的な影響のある事案について、全国闘争と位置づけた取り組みを進め、全体のたたかいを激励する。

IV.重点課題と具体的な運動

1.解雇、失業に反対し、雇用の安定を求める取り組み
(1) 労働者派遣法の抜本改正、有期雇用の規制強化など、不安定雇用の規制強化をめざす。
1) 2007年1月の第42回評議員会で決定した「労働者派遣法の抜本改正に関する全労連の基本要求」の実現をめざす。
 同時に、この間の共同の積み上げのうえに立った法改正をめざす立場から表明した09年5月21日の「幹事会アピール」での4項目((1)製造業派遣の禁止、(2)登録型派遣の禁止、(3)違法派遣等の場合の派遣先企業の直接雇用の義務付け、(4)派遣先企業の労働者との均等待遇原則の明記)の早期実現に向け、共同の取り組みや政治への働きかけ、世論喚起の運動を強める。
 抜本改正実現を求め署名行動、集会、宣伝行動などの具体化をはかる。

2) 厚生労働省が有期雇用の見直し論議を始めていることにも着目し、有期雇用は合理的な範囲に制限すべきとの立場に立って、研究会、審議会への要請や、世論作りの運動強化をはかる。組織討議の上に、基本要求を早期に確立する。

(2) 雇用破壊を許さず、雇用確保・創出を求める政府・財界追及を強める。
1)  違法な「派遣切り」や解雇を許さず、それをはね返すたたかいに立ち上がる労働者を支援する取り組みを強める。地方組織における単産、市民団体などとのネットワークづくりや、サポート体制の整備などを進め、支援体制の整備をはかる。
 非正規労働者の長期・直接雇用を求める取り組みを強める。
 改正パート労働法なども活用した均等待遇実現の運動を進める。

2) 雇用調整助成金の充実や中小企業支援策の強化、労働時間短縮による雇用確保、各種助成金等も活用した公的分野における雇用創出などを求める政府・財界追及を強める。
 雇用の場の確保の観点からも、ただ働き・長時間労働の是正を求める取り組みを、職場と地域で前進させる。
 改正された育児・介護休業法や次世代育成支援対策推進法の施行もふまえ、男女とも働き続けられる労働環境の整備を求める協約締結などの取り組みを強める。
 障害者自立支援法の抜本改正など障害者の雇用の安定、労働条件改善を求める取り組みを進める。
 実態に基づく政府、自治体への要請行動や告発運動や、中小企業などへのアンケート、訪問活動などを統一的に実施し、政府と大企業の責任を追及する共同の取り組みを広げる。

3) 「住み続けたい地域運動」とも繋げて、雇用創出を求める取り組みの地域からの前進をめざす。

2.生計費原則に立った賃金、所得の確保をめざす取り組み
(1) 不況下だからこその構えで、生計費原則の賃金獲得、賃金底上げの取り組みを強める。
1) 職場段階での賃金改善や底上げのたたかいを強めるためには、日常的な活動の積み上げや、経営者との交渉・協議、産別統一闘争への結集などが不可欠である。「賃金底上げと積極的な賃上げの獲得」など全労連賃金改善の「5つの柱」にもとづく賃金学習の強化を呼びかけるなど、日常活動の活性化につながる提起を強める。
 統一要求のあり方等について賃金検討委員会での検討を開始する。
 同時に、経済危機を内需主導で克服していくためにも、労働者の所得の引き上げ、ワーキングプアの解消、均等待遇の実現などが不可欠であるとの立場での取り組みを強め、賃金、一時金などの賃金闘争を強化する。
 成果主義賃金の導入・拡大に反対し、生計費原則に基づく賃金制度確立をせまる取り組みを強める。

2) 全国一律最低賃金制度の確立、生活保護水準を上回る最低賃金の確保の当面要求としての「時給1000円」の実現は、政府が関与する所得政策に広く影響すると同時に、人間らしい労働を保障する要の課題でもある。その点を改めて確認し、生活危機突破の観点からも最低賃金闘争の強化をはかる。
 地域最低賃金「時給1000円」の実現を求め、地方議会要請行動などを取り組む。

(2) 公契約運動を本格的にスタートさせる。
 財政危機が進行するもとで、「安上がりな政府」をめざす観点から公共サービス民営化が強行され、入札制度改悪等による価格ダンピングが強制される事例が増えている。そのようなもとで、雇用問題が発生し、あるいは大幅な労働条件切り下げが強行される事案も急増している。
 同一労働同一賃金原則も確認した適正な人件費確保を前提にした入札価格決定を担保し、買いたたきを許さないためにも、公契約法・条例の制定を求める運動を強化する。
 官製ワーキングプアの拡大を防ぎ、地域の賃金相場引き下げに歯止めをかけるためにも、前進してきた公契約運動の到達点にたった運動前進をめざす。
 当面、全自治体を対象に、公契約法・条例の制定を求める請願運動を09年秋からスタートさせる。

3.「セーフティネット」の整備、確立を求める取り組み
(1) ILOが指摘するように、日本では失業者の2割しか失業手当を受給できない状況にあり、かつその水準もきわめて低い。非正規労働者の増加や、「派遣村」の取り組みは、社会保険制度の矛盾と限界も明らかにしており、その改善が急務となっている。
 雇用保険など社会保険の加入者拡大、給付資格の要件緩和、給付期間や給付内容の改善などは、緊急の課題となっている。政府が検討を進めている非正規労働者の社会保険加入について、実効ある制度化をめざす。
 教育費無償化や医療費無料化など、次世代育成ともかかわり、最低限の生活基盤維持に不可欠な制度での公的負担の充実を求める取り組みを強める。

(2) 追加経済対策で盛り込まれた「緊急人材育成・就職支援基金」の拡充、恒久化や、ともなう職業訓練の体制と内容整備、失業期間中の公的施設の確保なども求められる対策である。
 市民運動団体などとも共同し、雇用と社会保障の両面でのセーフティネットの整備、確立を求める取り組みを進める。生活保護の拡充や公的住宅の整備をもとめて取り組む。
 実態調査や相談会、集会などの実施と、政府要請等の具体化をはかる。

4.労働基本権の確立を職場段階から追及する取り組み
 国家的不当労働行為である国鉄闘争や、大企業の理不尽な「合理化」の象徴であるNTT闘争など、すべての争議の勝利解決をめざす。
 組合所属による再雇用差別や、処分歴を理由とする雇用承継の否定、日常的な職場活動の規制、企業による労働組合への支配介入も、とりわけ公務職場などで強まっている。
 人間らしい労働を実現する上で、労働基本権確立の重要性はILOも指摘しており、単産、地方組織のたたかい支援を強め、理不尽な攻撃には全労連を挙げて取り組む。
 公務員労働者の労働基本権回復を求め、公務員バッシングを利用した権利制限強化に反対して取り組む。

5.社会保障の充実を求め、消費税引き上げ反対など国民共同の取り組み
(1) 政府は、相次ぐ経済対策のための国債発行や不況下での税収減もあって、2011年度での「プライマリーバランス均衡」の目標を事実上撤回したが、軍事費や公共事業費の「聖域化」などは継続しており、社会保障費をはじめとする国民生活関連予算の総額抑制や、介護、福祉、医療、教育などにかかわる施設整備責任を地方自治体に丸投げする方針は変えていない。
 したがって、軍事費聖域化や無駄な公共事業を中止して、消費税増税によらない社会保障、教育などの充実を求め、社会保障闘争、増税反対闘争を賃金・労働条件改善のたたかいと両輪に据えたたたかいを提起した第23回大会方針の具体化に引き続き奮闘する。

(2) 不況打開・生活危機突破、地球温暖化問題、公害、アスベスト、食糧、農業を守る運動などでの諸団体との共同を引き続き強める。
 とりわけ、09年12月に開催される気候変動枠組第15回締結国会議(COP15)に向けた国内での運動を強めるとともに、「環境にやさしい働き方」を求める労働組合としてのキャンペーンや、世論喚起の取り組みを進める。

6.憲法改悪の策動をはね返し、平和を守るたたかい
(1) 2010年が、改憲策動をはね返し、核兵器廃絶に向けた新たな流れを作り出し、日米軍事同盟強化反対のたたかいを飛躍的に前進させる上で、大きな節目の年となる。これらの課題にかかわって、職場、地域の世論の多数派をめざし、労働組合の共同前進などの取り組みの具体化を進める。

(2) NPT(核拡散防止条約)再検討会議が開催され、「(憲法)国民投票法」が施行される2010年5月を大きな節目に、「憲法署名」と「核廃絶署名」の目標達成をめざす。
 09年秋闘、10年春闘の時期に、署名推進のための集中行動期間を配置し、単産、地方組織での一斉宣伝、署名行動などの具体化を呼びかける。

(3) 2010年5月までの間に、「憲法・平和学習100万人運動」を展開する。職場、地域段階の「網の目」学習や集会を具体化し、すべての組合員の参加を組織する運動として成功をめざす。
 職場9条の会、地域9条の会の結成追求、「9の日宣伝行動」の定例化と宣伝箇所増などをめざす。

7.政治の民主的転換をめざす取り組み
 政治の転換をめざし、総選挙、2010年7月に予定される参議院選挙、革新統一でたたかわれる主要な首長選挙などでの労働組合としての取り組みを強める。
 企業・団体献金によって民主的な政治が阻害され、大企業中心の社会構造が支えられていることに目を向け、その禁止を求める取り組みの具体化を検討する。
 比例代表制の見直しや少数意見切捨てにつながる議員削減などの選挙制度改悪に反対し、議会制民主主義の充実を求める取り組みを進める。

8.世界の労働組合との連携、共同の取り組み
 国際労働運動との協調、二国間共同の前進を軸にした全労連の国際活動を引き続き具体化する。
 世界同時の経済危機克服ともかかわって、「ディーセントワーク」実現を基本においた労働者の働くルール確立や、貧困と格差の解消など労働者犠牲によらない不況克服を求める取り組みを強めているILO(国際労働機関)の活動紹介など、多国籍大企業に対する日本の規制の弱さを明らかにする取り組みを強化する。

N.労働組合の共同と組織拡大・強化

(1) 「組織拡大強化・中期計画」にそった単産、地方組織での拡大目標を設け、「組織拡大月間」などの取り組みの節目を設定し、全組合員参加の組織拡大運動を引き続き強める。
 とりわけ、08年秋以降の「派遣切り」、「期間工切り」などの雇用破壊攻撃のもと、全労連の組織特性を最大限発揮した単産と地方組織の連携・協力を強め、労働相談なども積極的に位置づけた取り組みをおこなってきたことが、全労連への期待と関心を高め、組織拡大を前進させてきた教訓をふまえた運動強化をめざす。

(2) 雇用状況の一層の悪化も懸念されるもとで、不況打開、雇用確保、大企業の雇用責任追及の取り組みと結合し、非正規労働者、青年、中小未組織労働者などに焦点をおいた組織化運動を強める。
 組織拡大月間を設定し、それらの労働者を対象にした全国的な組織化キャンペーン行動、労働・生活相談の集中実施、政府・自治体集団要請行動など、「目に見え、耳に聞こえる」取り組みを単産、地方組織と共同して具体化する。
 これらの取り組み具体化を進め、青年部、非正規センターの活動の活性化をめざす。

(3) 全労連の福利厚生事業の充実をはかり、労働者の組織化を促進することを目的に検討を進めてきた共済活動実施について、「全労連共済(仮称)」の設立と「全労働組合共済活動推進協議会(仮称)」参加に必要な諸規定などを整備する。
 「全労連共済(仮称)」などは2010年2月1日を目途に実質化させることとし、必要となる諸手続きを進める。
 「全労連共済(仮称)」発足も契機にした単産、地方組織での加入推進、促進の取り組みを、組織拡大月間の設定とも合わせて具体化する。

(4) 深刻化する雇用状況や、激動する憲法、核兵器廃絶をめぐる状況などもふまえ、要求の一致点を大切に、あらゆる傾向の労働組合との総対話と共同を、中央・地方で追求する。

以 上