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全労連第23回定期大会 2008年7月23日〜7月25日
 

 全労連第24回臨時大会あいさつ

 2009年7月31日
 全労連議長 大黒 作治

 全労連第24回臨時大会の開会にあたって、幹事会を代表してご挨拶申し上げます。
 昨年7月の定期大会以降、未曾有の経済危機の中で、四半世紀にわたって世界の政治経済の主流を占めてきた新自由主義が破綻し、矛盾がいっそう拡大し、欧米ではその是正に向かって動き出しています。そして、日本社会も新自由主義による「構造改革」「規制緩和」が破綻し、歴史の転換期に入ったと言える時代を迎えることになりました。

 今臨時大会の意義は、第1に、この1年間の歴史的な転換期とも言えるたたかいの到達点を明らかにすることにあります。全労連は経済危機を口実にした大企業の横暴と非人間的な行為の社会的責任を問い、「派遣切り」や「期間工切り」に対して、ともにたたかうことを呼びかけ組織化してきた教訓を明らかにして、次のたたかいに臨む構えを確認しあいたいと思います。一昨日、中央最賃審議会は35県で引き上げを見送り、12都道府県で2円〜30円の引き上げというきわめて不当な目安を答申しました。当面、地方の最賃審議会への引き上げに向けた働きかけ、マイナス人勧を許さないたたかいなどと総選挙闘争を結合して取り組みを進めます。そして、秋季年末闘争に向けて雇用破壊を許さないたたかいや年末一時金闘争など要求実現に向けて粘り強くたたかうことを呼びかけるものであります。

 第2に、8月30日投票でたたかわれる衆議院選挙における全労連の基本的立場です。
 今度の総選挙では、「構造改革」路線を推進してきた自公政権が終焉に向い、民主党を中心とした政権交代の可能性が高まってきました。国民の多くは、「自民は不満、民主は不安」という思いを持ちながらも、2年前の参議院選挙に続いて、自公政治を変えたいとの願いから審判を下したいと思っています。同時に新しい政治システムを探求する時代に入っており、要求実現のチャンスとして総選挙をたたかうことが重要だと思います。
 これまでの自公政治が推進してきた「市場原理」「構造改革」「規制緩和」路線が国民に見放されて、新しい政府ができようとしているのであり、その政府には、構造改革を止め、この間のひずみを是正することを求め、そのチャンスを広げるという基本的立場を確立したいと思います。

 第3に、第23回定期大会方針で決定された「全労連共済」設立を、第4号議案で規約改正として提案します。保険業法を盾に取った自主共済つぶしが強まる中で、労働組合の共済事業は、憲法と労働組合法で保障された権利です。半年以上に及ぶ検討委員会や準備会での協議を経て、本日の議案として提案します。この間、労働共済や労働共済連の皆さんに大変なご努力とご協力、そして決断をいただき、設立の準備にこぎつけることができました。この場を借りて関係各位に感謝申し上げます。2月1日設立までには、細部にわたっての作業や実務・財産の引継ぎ等が残っていますから、大変苦労をおかけしますが、全労連運動発展のため大きな夢を持って無事スタートしたいと考えています。

 第4に全労連結成20周年に向けてであります。20周年記念行事は、11月20日に記念レセプションを開催し、20年史の刊行を予定しています。また、23回大会では、史上最高の峰を築くことを確認いたしました。まだその途中でありますが、全労連結成以降のたたかいを振り返りつつ、激動期で迎える結成20年の意義を考えたとき、明らかに歴史の歯車が新しい時代を切り開くために動き出したと思っています。みんなで全労連の発展こそ新しい時代に相応しい労働運動だと実感できる20周年にしたいと考えています。

 さて、第1の意義とも関って、新たな歴史の転換期にさしかかり、全労連運動の発展をどういう方向で展望するのかであります。世界的な金融危機、経済危機が深まる中で、外需頼みの日本経済の脆弱な体質が一気に表面化しました。トヨタ、ホンダ、パナソニックなどをはじめとした自動車・電機などの需要が直下型に落ち始め、加えて円高、株安があらゆる産業に深刻な影響を与えました。そして、その建て直しを図る手段としてトヨタ、ホンダ、日産、パナソニック、キャノンなど名だたるメーカーが、真っ先に派遣切り、期間工切りを強行したのでした。首都東京での「年越し派遣村」によって、その深刻な実態が国民の前に明らかにされ、手を差し伸べた1700人のボランティアの人間の暖かい連帯感と同時に、情け容赦ない大企業に対して、その社会的責任を問う世論が高まりました。

 日本の大企業の、人を物としか見ない非人間的な扱いに職と住まいを失って放り出され、「俺たちはモノではない人間なのだ」と「派遣切り」にあった仲間たちが労働組合を結成・加入して立ち上がり、全国で220労組以上、5000人以上が参加しています。雇用の継続や直接雇用、正社員化などを勝ち取る事例も生まれています。また、組織された仲間は、各地で「今度は自分たちが力になる番」だと労働相談や組織化で奮闘し、「生活は苦しいが心は豊かだ」と胸を張って自分たちの経験を語っています。

 全国で生活・労働相談が「ミニ派遣村」という形で県労連や各市民団体が協力し合って行われています。全国45都道府県、240ヶ所以上、5700人以上の人が相談に訪れ、健康診断、生活保護手続き、雇用保険などの相談が相次いでいます。非正規の組織化は全国に広がっていますが、まだ部分的であり、今後予測される雇用の危機に対して、さらに大きな組織作りと雇用を守るたたかいを発展させなければなりません。今回の非正規の組織化は、JMIUや全国一般など産別に結集している仲間や県労連やローカルユニオンに結集している仲間など組織構成は様々ですが、多くのところで非正規の仲間が根付いてきているのが特徴です。非正規の組織化にあたっては、実態に即して組織を継続、発展させることが大切です。一人でも加入できる産別やローカルユニオンでも、職場を基礎に点から集団へ、さらに多数派へと組織化していくことが重要です。その際、企業内の運動だけではおのずと限界も出てくるのであり、地方・地域で交流し、学習し、激励しあって様々な要求実現に向けて闘う力量をつけることが必要です。

 5月の完全失業率は5.2%,347万人、政府の雇用調整金の利用は234万人分。失業給付は150日、雇用調整金は最初の1年間は最大200日と期間限定付です。しかもこの不況は長引くことが予想されるし、これからも雇用の危機は続くことが予測されます。引き続き「雇用破壊は許さない」たたかいを継続しながら、これまでの到達点に確信を持ち、いっそう組織化と労働・生活相談活動などで奮闘し、全労連、各産別、地方組織の発展強化に向かってお互いに頑張っていきたいと思います。

 第2の意義の総選挙の争点とも関ることですが、憲法25条は、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」ことを明記し、国はそれを保障する義務を負っていますが、この生存権は、雇用と社会保障が守られてこそ輝きを増します。しかし、「ワーキングプア」と呼ばれる実態は何一つ解消されていません。しかもその大半は青年と女性です。雇用破壊を許さないためには、企業に対して、時短、週休二日制、有給休暇の完全取得など超過密労働の職場実態を改善させて、雇用を守ることで社会的責任を果させることが重要です。そして何よりも財界・大企業に対して「雇用破壊は許されない。雇用を守って社会的責任を果たせ」の国民的世論を作り、派遣労働者保護のための「労働者派遣法」の抜本的な改正を勝ち取らなければなりません。

 社会保障制度も崩壊寸前です。生存権保障の原則に立ったとき、非正規社員の正社員化の促進を企業に迫り、政府には社会保障制度の抜本的な改善と最低保障年金の創設などを求めることが必要です。また、生存権や発達権保障に欠かせないのが、医療、介護、保育、教育、環境など公的サービスの充実であり、その実現に向けて政府に舵を切らせることが必要です。そのためには、公契約と最低賃金制度の改善は不可欠であり、地域経済の再生化と内需主導の経済社会が確立する方向へと向かわせましょう。
 新自由主義の破綻は明らかになりましたが、まだ消滅していません。時間はかかっても、「ルールある経済社会」を確立しながら、経済危機を内需主導で克服したとき新しい日本の資本主義が誕生します。
 財源問題でも、大企業優遇税制、軍事費や環境破壊の大型開発にメスを入れ、「貧困と格差」を拡大する消費税引き上げにストップをかけることも大きな課題です。

 こういう角度から見た時、最近発表された民主党のマニュフェストは「緊密で対等な日米同盟」と言っていますが、日米軍事同盟から抜け出さない限り、対等平等の立場にはありません。また、消費税問題では引き上げ論議をはじめると言い、衆議院の比例定数を80名削減というあぶない態度は容認できません。総選挙は2票あり、自公政権をやめさせるために有効に行使しようではありませんか。
 総選挙の結果を見越して、早くも「政界再編」も取りざたされていますが、その本質は「体制翼賛化」や自民党政治の復活です。総選挙後の新しい政府には、憲法で保障された生存権確保に向けて、雇用も社会保障も立て直しを図るために、要求に基づく国民運動を発展させることが重要です。そのために、連合や全労協の皆さんに、ナショナルセンターの枠を越えた要求実現のための「大同団結」を心から呼びかけたいと思います。
 最後に今臨時大会が、皆さんの積極的な討論で、目前に迫った総選挙と秋季闘争への決起の場となることを期待してあいさつといたします。