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全労連第22回定期大会〜全労連議長あいさつ
全労連第22回定期大会(1日目)

第1号付属議案/「06秋闘方針案」

教育基本法改悪など悪法阻止、格差と貧困の是正、「もうひとつの日本」をめざす06秋闘

1.夏から秋年末にかけた運動の基本的かまえ

 <1-1> 通常国会のたたかいで、教育基本法改悪法案や国民投票法案を継続審議に追い込んだことは重要な到達点である。しかし政府与党は、「ポスト小泉政権」の威信をかけて、秋の第165臨時国会において悪法の成立をおしすすめてくることは必至である。秋の臨時国会のたたかいの帰趨が、憲法改悪反対闘争をはじめとする今後の全労連運動、国民運動を大きく左右するといっても過言ではない。

 <1-2> 全労連は、①憲法・教育基本法改悪、国民投票法案などの悪法阻止、②大増税・社会保障改悪反対、「小さな政府」・公務・公共サービスの切りすて反対、③3兆円の国民負担を強いる米軍基地再編、防衛省構想反対、④労働法制改悪反対、実効ある最賃法の改正、をすべての単産・地方組織の「4つの重点課題」に位置づけてたたかう。そのためにも、この夏から出足はやく運動にとりくむことが決定的に重要であり、大会直後からただちに国民的共同の運動を開始する。

2.重点課題にもとづく具体的なたたかいの展開

(1) 憲法・教育基本法改悪阻止のたたかい

 <2-1> 通常国会で、「教育基本法改悪法案」「国民投票法案」「共謀罪新設法案」を継続審議に追い込まれた政府与党は、秋の臨時国会での成立にむけてなりふりかまわぬ策動をめぐらしてくる。民主党は、来年の参院選をにらみ「対立路線」をとることが予想されるが、教育基本法改悪案や国民投票法案については明確な「対決法案」とはしておらず、両法案の成立が加速化される危険性もはらんでいる。

 来年夏の参院選の前哨戦となる10月22日の衆院統一補選結果(大阪9区、神奈川16区)が、秋の臨時国会にも大きな影響を及ぼすことが予想される。臨時国会の会期は通常国会にくらべて短期間であり、集中的なとりくみが求められる。とりわけ、政府与党は教育基本法改悪法案の成立を最優先課題としており、憲法改悪反対闘争と一体の運動として、すべての職場、地域、学園で夏から出足早い運動が求められる。

 <2-2> 具体的なとりくみとして、①地元国会議員に対する訪問、ハガキ、FAX、メールなどの要請行動、②職場・地方・地域での宣伝行動の強化、都道府県単位の集会、③あらゆる傾向の労働組合、市民団体・NPO団体などへの訪問と共同の申し入れ、④すべての自治体をカバーする「地域共同センター」の確立、⑤「九条の会」など職場組織の結成、⑥職場・地域の過半数署名の達成、⑦「共同センター9・2憲法闘争全国交流決起集会」への代表参加、⑧「ストップ!教育基本法・憲法改悪!」などをかかげた「はたらく女性の中央集会」(10/21〜22)の成功などを推進する。

 国会行動などについては、引き続き国民大運動と連携して国会内外の共同を追求する。とくに教育基本法改悪案をめぐって重大な事態が予想される10月段階(10月18日)での緊急行動をはじめ波状的な国会行動や全国一斉の職場・地方、地域集会などを配置する。また臨時国会全体の重要段階(11月中旬)における大規模な集会の開催を計画する。国会行動や中央行動・集会配置については各団体と調整し早急に具体化する。

(2) 格差と貧困の是正など「もうひとつの日本」のとりくみ

 <2-3> 「市場化テスト法」「行革推進法」の成立によって、公務員人件費や地方財政の削減、公務・公共サービスの破壊、地方切りすて、社会的格差の拡大、新たな国民負担増がさらに具体化されようとしている。また7月7日に閣議決定した「骨太方針2006」は、「新たな挑戦10年への出発点」と位置づけられ、今後10年を念頭に官から民へ、国から地方への「改革」を加速させる内容となっている。

 「歳出改革」では、政府方針を上回る国家公務員の5.7%、地方公務員の6.2%純減、教員給与の一律2.8%削減などの公務員人件費削減をはじめ、雇用保険や生活保護の見直しなど社会保障費の削減、地方交付税、補助金の見直しによる地方財政の悪化と住民負担を強いる内容が盛り込まれている。

 また「歳入改革」では、消費税引き上げの時期や増税幅は明記していないものの、社会保障財源として消費税を明確に位置づけることを「検討する」として、消費税増税に道をひらこうとしている。自民党の中川政調会長が、「平成21年度までに行う可能性が高い」と示唆していることをみても、新たな負担増による国民生活破壊が必至であり、「骨太方針2006」の具体化に反対する運動にとりくむ。

 <2-4> 07年春の統一地方選挙や夏の参議院選挙に勝利するためにも、夏から秋にかけて政治と社会の流れの新しい変化をつくりだしていくことが重要である。全労連は「もうひとつの日本」をめざす3つのキーワード(①戦争しない日本、②格差と貧困の是正、③持続可能な地域社会の実現)運動を開始する。当面する秋のとりくみとして、10月27日に「もうひとつの日本をめざす公務・民間中央行動」を配置する。3つのキーワードを軸に産別や地方の具体的課題を結合し、国会前座り込み行動、大企業の社会的責任(CSR)の追及など、多様な共同行動を展開する。

 また、「もうひとつの日本」をめざす運動の一環として、06春闘に引き続いて格差是正と均等待遇実現にむけた青年、女性、非正規労働者による共同行動にとりくむ。政府や日本経団連などへの申し入れと交渉、集会、「格差告発シンポ」などを計画し、社会的アピールをひろげる。さらに、今秋にも予定される政府税調答申にむけて、「消費税増税反対、不公平税制の是正」などを要求して申し入れ・要請を行なうとともに、メディア広告やHPなどを活用した世論喚起をはかっていく。

 <2-5> 「全労連もうひとつの日本」闘争本部のとりくみとして、①「骨太方針2006の結末ともうひとつの日本」を展望したブロック別の学習・意思統一集会の開催、②DVD「もうひとつの日本を!」(7月末完成)の1万本普及、これを活用した職場・地域の学習・討論、③安心・安全、格差是正、持続可能な地域社会をキーワードとした「小さな政府・告発レポート」運動、④「秋の全国網の目行動」(都道府県ごとの自治体・労組訪問、対話活動=10月中心)などを展開する。

(3) 米軍基地再編・強化、「防衛省構想」反対のとりくみ

 <2-6> 米軍基地再編をめぐる岩国市の住民投票の勝利、岩国、沖縄、東広島市長選での基地反対派候補の当選など、在日米軍基地の再編強化に反対する運動が全国各地で高まっている。政府は、新たな補助金をつかって沖縄県知事や名護市長、横須賀市長など自治体首長への懐柔策を強め巻き返しをはかっているが、地元住民の反対の意思は固く基地再編強化の具体化はすすんでいない。

 今後、米軍基地再編についての日米合意、「世界の中の日米同盟」を強調した日米首脳会談声明を受けて、「米軍基地再編法案」「防衛省昇格法案」「自衛隊の海外派遣恒久法案」などの具体化が国民的な争点となる。しかし、日本国民に3兆円もの負担を強いる「米軍基地再編法案」や「思いやり予算」に対する国民の抵抗は強く、新たな政局となることも予測される。住民運動と国会闘争を結んでたたかいを強化する。

 <2-7> 7月上旬に行われた滋賀県知事選挙、東大阪、調布市長選挙での自民党推薦候補の敗北など、政治情勢が変化しているなか、11月19日投票で沖縄県知事選挙がたたかわれる。普天間基地など、在日米軍基地の再編強化が大きな争点としてたたかわれる沖縄県知事選の勝利にむけた全国的支援を強める。12月上旬に行われる06年日本平和大会(岩国)の成功をめざす。

(4) 労働法制、最賃法など働くルール確立のとりくみ

 <2-8> 政府は、07年通常国会に解雇金銭解決制度や労使委員会の導入をふくむ労働契約法制の制定と、ただ働き残業を合法化し労働時間の適用除外の拡大をねらう労働基準法の改悪法案を提出しようと準備している。人間らしく働くルールと逆行するものであり、日本経団連が求める労働分野のさらなる規制緩和を推し進めるものである。全労連はこのたくらみに断固として反対してたたかう。

 具体的なとりくみとして、①職場での学習と広範な労働者に対する宣伝の強化、②夏から秋にかけて労働政策審議会への意見(パブリックコメント)の集中や団体・個人署名の推進、③厚生労働省前行動や交渉等を実施する。すべての労働組合との共同を視野に、「法案づくりを許さない」世論と運動をつくりあげていく。

 <2-9> 07年通常国会に31年ぶりの最低賃金法の改正案が提出されようとしており、職場・地域から実効ある最低賃金法の改正、全国一律最賃制の実現をめざす請願署名、要求署名の推進と宣伝を強化する。また、公契約の課題で使用者団体、業界団体訪問や賛同署名のとりくみなどを全国で推進する。

 同時に、財界が強く要求している産業別最低賃金制度の廃止攻撃に対して、各産業・地域から産業別最低賃金の新規確立運動を対置してとりくむ。とくに、日本医労連が展開している7地方での産業別最低賃金の新設をめざすとりくみに、当該地方組織をはじめ全労連として積極的に支援強化していく。06年度の公務員賃金の確定闘争では、官民、地方一体のたたかいを強化する。

(5) 公務員制度改革、中労委、国鉄・NTT闘争

 <2-10> 公務員の労働基本権問題は、3度にわたるILO勧告や、「行革推進法」の成立にともなう政労協議の開始、専門調査会の発足など新たな局面を迎えている。「全労連見解」を基本に、全労連との対等平等の「政労協議の場」の設定を強く求めるとともに、すべての労働組合組織が統一的に対応できるよう努力する。専門調査会への意見反映や中央・地方・職場からの学習運動などにとりくむとともに署名運動も検討する。

 また、「公務員の政治活動の自由」問題で、6月の国公法弾圧事件の不当判決をふまえ、労働基本権問題と一体のものである公務員の政治活動の自由をめざしてとりくむ。10月29日〜11月3日に「新自由主義攻撃に立ち向かう公務労働者」をテーマに、「第4回公務国際交流会議」を公務単産とともに開催する。

 <2-11> 第29期中労委労働者委員の公正任命の実現をめざして、特定独立行政法人等担当に堀口国公労連委員長、民間担当候補に國分全労連副議長と今井出版労連顧問を推薦し、任命実現の運動に全力をあげる。8月末にも結審を迎える第28期の不公正任命取消し訴訟の勝利判決を勝ちとる。また、08年に改選される労働審判員の拡大をめざし、最高裁対策・連合との協議を開始していく。

 国鉄闘争をはじめ、すべての争議の早期勝利解決をめざして、11月17日と07春闘期に「争議支援総行動」を実施する。NTTリストラ闘争は06年秋に全国各地の裁判が結審・判決を迎える。あらためて、NTTリストラの本質を明確にし、単産・地方組織の支援を強化し勝利をめざす。

3.「県内網の目行動」と全国統一行動の展開

 <3-1> 秋闘要求の前進と悪法阻止、「もうひとつの日本」実現にむけて、10月を中心に都道府県ごとの「県内網の目行動」を展開する。06秋闘の「4つの重点課題」をかかげ、別途「実施要綱」にもとづいて各都道府県の行動の具体化をはかる。「県内網の目行動」に必要な資料・宣伝資材等については8月中に各都道府県に送付する。

 臨時国会では、継続審議となっている教育基本法改悪法案の審議が最優先されることから、全教が9月下旬から10月上旬にかけて「北陸」「山陰」「四国」「九州」の4コースの「キャラバン行動」を計画している(別紙)。この「キャラバン行動」を支援し、該当する県・地域労連の積極的な対応をはかる。

 <3-2> 今後2年間の全労連運動の基本方向である「もうひとつの日本」をめざす社会的運動を推進するため、10月27日に「もうひとつの日本をめざす公務・民間中央行動」を配置する。この中央行動では、悪法阻止にむけた国会座り込みなどの国会行動や、産別・大産別共闘などが計画する霞が関行動、中央集会、大企業の社会的責任(CSR)の追及など、多様な行動を展開する。

 <3-3> 年末一時金の獲得など職場要求の実現、06秋闘「4つの重点課題」の前進、すべての悪法阻止をめざし、11月16日にストライキをふくむ「06秋闘全国統一行動」を実施する。民間単産は、ストライキを配置して要求の実現を迫るとともに、公務単産も職場集会などで決起する。地方・地域の連帯・激励行動を強める。

 秋の臨時国会の最大の山場が11月中・下旬となることを想定し、教育基本法改悪法案をはじめ国民投票法案、共謀罪新設法案、米軍基地再編法案、防衛省昇格法案などの廃案、庶民大増税・社会保障改悪阻止、国民諸要求の前進をめざして11月17日に昼の中央行動、夜の中央集会を配置する。

4.06秋闘における組織拡大・強化のとりくみ

 <4-1> 06秋闘は、「全労連組織拡大強化・中期計画」を実践するスタートでもある。出足早く拡大運動前進の流れをつくるために、11〜12月を「秋の組織拡大月間」に設定し、全組織が集中的な拡大運動にとりくむ。「月間」の成功にむけて、10月を「準備月間」として、拡大目標、推進体制、行動計画、職場・地域の意思統一など、具体的な手立てを完了する。月間の成功にむけて次の会議・集会、とりくみを行なう。

①「単産・地方組織担当者会議」(9月27〜28日)
②「ブロック別オルグ養成講座」(○月○日〜○月○日)
③「ヘルパー交流会」(10月1日)
④「臨時・パート連絡会総会」(10月6日)
⑤「外国人労働者連絡会」の設置、共同レセプションの開催(9月27日)
⑥「労働共済総会」(10月21日)

 <4-2> 引き続き、全労連、単産・地方、地域が一体となった組織拡大の推進を追求する。その一環として、月間中に「組織拡大基金」を活用した大量宣伝を展開するとともに、全労連オルグを先頭にした「総がかり作戦」を実施する。また、非正規労働者を対象とした実態アンケート調査を9月より実施する。

 単産は、単産には結集しているが地方・地域組織に未加入の単組・支部・分会の計画的な加入促進にとりくむ。地方組織は、①常設労働相談センター、②ローカルユニオン、③地方共済会の確立と地域単位への拡大をめざす。ローカルユニオンは地方組織ごとの確立をめざすとともに、各ローカルユニオンの量的拡大を追求する。

 <4-3> 全労連のナショナルセンター機能の強化の一環として、全労連の教育活動を飛躍的に強化する。そのため、労働者教育協会と共同し、「勤労者通信大学」の受講生募集、「憲法特別コース」の重視とともに、「労働組合コース」の共同開催などを検討する。「全労連教育大綱」については幹事会として検討を具体化し、07年1月開催の第40回評議員会に提案するよう準備する。

5.07国民春闘にむけた準備

 <5-1> 「春闘要求アンケート」については、各単産・地方組織は昨年に引き続き、組織人員の1割(全労連全体で10万人以上)を11月末までに集約する。そのうえで、職場・地域からの要求づくり運動と結合し、大規模な集約をはかる。

 07春闘にむけて職場・地域から全組合員による学習討議をすすめるため、「学習の友―春闘別冊」を労働者教育協会と共同で大量に作成・普及をめざす。また大企業の連結内部留保を含んだ「07国民春闘白書」を作成・普及する。

 <5-2> 夏から秋闘にかけて、諸要求の前進と悪法阻止にむけたたたかいをすすめつつ、07春闘にむけた態勢と方針の確立をはかる。秋年闘争のとりくみの交流や意思統一をはかるため、「単産・地方組織代表者会議」を10月18〜19日に開催する。臨時国会の審議状況などをふまえて、秋年末闘争の補強方針を提起するとともに、「07年国民春闘構想」(案)を提案する。また、07春闘の態勢づくりにむけて純中立懇などと協議・調整し、07年国民春闘共闘委員会を10月26日に立ち上げる。

 <5-3> 07春闘方針構想に対する意見集約と補強、07春闘における統一行動について具体化をはかるため、11月30日〜12月1日の2日間、静岡県熱海市内で「07国民春闘討論集会」を開催する。07春闘方針を決定する「第40回評議員会」を07年1月25〜26日に東京都内で開催する。

以上

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