全労連第19回定期大会・総括答弁

総括答弁

全労連事務局長 坂内三夫

 方針案提案の冒頭で、全労連はこの1年、職場や地域、全国で奮闘してきたこと、力関係を大きく変える飛躍を作り出すことはできなかったが、新たな発展、さらに大きな器に脱皮していく1年ではなかったか、410組合の結成・結集、日産闘争、関西電力、丸子警報器などでの前進、連合を含む広範な労働組合との新しい局面を切り開く共同の前進、ILO代表の獲得など、いよいよ全労連のさらなる真価が問われる時代に突入したと述べた。3日間で67人の発言と3人の文書での補強意見をいただいたが、発言内容はそのことを実感させた。
 熱心な討論にまず感謝したい。たたかいは相手があるから必ずしも思うように進むわけではないし、小さな要求・課題の前進にも膨大な議論と労力、人と金と体制が必要だ。途中で挫けそうになることもたびたびある。だが、3日間の討論・発言を聞いて、どこに全労連組合員のこのような元気の源があるのか、全労連運動の着実な前進に改めて確信をもつことができた。
 発言の多くは、方針案を実践によって補い今後さらに発展させる立場からの補強意見であった。新しい幹事会で検討し、今後に生かしていきたい。

●対話と共同の前進――討論の特徴の第1は、全労連が活動の基本に据えてきたすべての労働者を視野に入れた対話と共同が、産業・地域で、労働組合の所属を越えて新たな段階に発展しつつあることが生き生きと語られたことだ。
 提案の際、対話と共同は今日の政府・財界の攻撃に反撃する統一戦線をつくる運動であり、同時に21世紀の労働組合運動を産業・地域から担う運動、また200万全労連の土台を作る活動でもあると強調し、この1年の労働組合訪問が1万1,116件にとどまり減少し不十分であったと述べたが、その数をはるかにうわまわる活動が行われていることがわかった。対話と共同の前進は、これまでの一方通行の申し入れ・要請ではなく双方向の共同として前進していることが語られた。

●リストラ合理化反対闘争――第2の特徴は、狂暴なリストラ合理化攻撃への反撃が果敢にたたかわれ、多くで具体的前進を勝ちとっていることだ。関西電力、テトラパック、浜田重工、住金和歌山、NTT、タクシー破壊法とのたたかいなど、解雇撤回闘争を含めて感動的で教訓に満ちたものであった。
 全労連は今年度、日産リストラ反対闘争を全国的集中点に位置づけたが、今後2年間は日産闘争とともにNTTリストラと金融リストラに反対するたたかいを全国的集中的な闘争として展開したい。
 NTTの銚子無線廃止に伴い3時間もかかるとこへの配転が強行されているが、これは日本も批准しているILO156号条約に明らかに違反するもので、国際的たたかいとしても前進させたい。金融リストラとのたたかいでは、8月25日に幅広い国民的な共闘会議を立ち上げる。日産闘争では9月15日に、配転を前にした日産労働者を激励する現地大集会を開く。
 同時に、日本中には全労連の存在すら知らず、会社の理不尽な攻撃に仕方なく従わざるを得ない労働者が圧倒的に存在しているし、全労連組織のない大企業職場では苛酷な労務支配のもとで言われなき差別や攻撃が横行していることも指摘された。大企業労働者との連帯をどう前進させるのかを含め議論を深め方針を具体化していきたい。
 関連して、解雇規制・労働者保護法制定運動は、中間答弁でも述べたが、署名の到達点にみられるように不十分さを否めない。署名推進についての全労連の不十分さが指摘されるのは当然だが、それだけでなしに、みんなで決めたことをみんなで実践する、そのために最大限の努力をする、そういう全労連の作風を確立していくことが、全労連運動の社会的信頼を高めるためにも重要だということを強調したい。

●国民的運動――討論の第3の特徴は、国民的な運動でも全国でさまざまな運動が前進していることだ。愛知万博、吉野川可動堰反対をはじめ直接請求・住民投票など住民運動の高まり、介護保険でのさまざまな運動、自然破壊や環境問題、原発問題、街づくり問題、くらしの問題などでの住民自治・住民運動が大きな潮流となっている。こうしたことを全労連全体として掌握し、今後の方針に反映させたい。子どもと教育を守る運動、民主的行財政確立のたたかい、医療・年金・福祉のたたかいなどと結んで、国民的な運動を探求していかねばならない。
 じん肺根絶については、ILO・WHOが、各国で計画を策定し2005年までの大幅削減と2015年までの根絶を呼びかけている。いのちと健康を守るたたかいについて貴重な経験が出されたが、じん肺根絶のたたかいをこのたたかいの一環として補強したい。
 消費税大増税に反対する運動も、当面の重点課題として補強したい。11月17日に全国統一行動としての中央行動、18日に国民的大集会を予定しているが、中心スローガンの一つとして掲げて国民運動を強めたい。

●賃金闘争――第4に、賃金闘争でも多くの経験・教訓が語られた。全教のアンケート、静岡のパート賃金改善運動、京都での地域最賃運動などは十分承知していなかった。全労連内の対話と共同も必要で、そうすればもっと全国的教訓として広げ前進につなげることができる。単産・地方組織の新たな賃金闘争へのチャレンジが開始されている。
 全労連として大幅賃上げ要求、平均要求を掲げてたたかうべきとの意見が出され、要求・行動・妥結に至るまで原則的に統一闘争に結集してたたかう重要性が指摘された。全労連の基本的考え方は運動方針で提起しているが、具体的には2001年春闘方針に向けて大いに議論していきたい。
 今日、中央最賃審議会が目安を出すが、Aランク44円〜Dランク38円、引き上げ率はわずか0.8%、史上最低の春闘を下回る不当なもので、底上げ闘争の強化がますます重要になっている。賃金対策委員会の設置については、前向きに検討したい。

●組織強化・拡大――青年と女性の活動についても活発な議論がされた。秋に青年対策での単産・地方組織の親組合幹部を含めた学習交流集会と女性役員の交流集会を予定しており、出された意見を生かしたい。
 組織拡大、未組織労働者の組織化、地域組織の活動等で多くの発言があった。組織率が低下し、非正規労働者が27.4%にのぼっているだけに、この課題は今日の日本労働運動の最重要課題だ。全労連全体で果敢にチャレンジしたい。9月13〜15日に組織担当者会議とオルグ養成講座を開催する。このほど発行した『労働組合づくりの基礎知識』を活用してほしい。
 地域組織の活動強化に力と財政を集中すべきなどの意見が出された。地域組織は「全労連の宝」であるし、21世紀の主戦場は地域であり、一つは地域を軸に労働組合運動が展開されるだろう。幹事会も、組織強化基金の設立を含め地域組織や常設労働相談員への財政援助の具体的検討を開始したい。この問題は組織問題・財政問題でもあり加盟組織の合意が前提になる。必要な委員会を設置して議論を深めたい。

●目標と展望(案)について――「21世紀初頭」の目標と展望(案)についても多くの補強意見が出されたが、積極的に受け止め、来年2月頃に第2次案、7月評議員会に最終案を提起する方向で討議を積み上げていきたい。

●国鉄闘争等――国鉄闘争をめぐって集中的討論がされた。中間答弁でも述べたが、国鉄分割民営化を強行した政府に解決の責任がある、採用差別を強行し不当労働行為を繰り返したJRに法的責任がある、従って政府とJRの責任で、ILO勧告にもとづく1日も早い解決を勝ちとる、という点ではすべての代議員・組合員が一致する。
 問題は、今日に至るも全労連・全動労には解決に向けた何等の提案もされていないことだ。われわれの運動によって、政府とJRを解決交渉に着かせること、そのための運動を強化することが課題だ。指摘されたように、解決にあたって主人公は当事者である全動労争議団・家族の皆さん、建交労鉄道本部であることは明白であり、「当事者が納得できる解決」が尊重されなければならない。
 国労の続開大会が8月26日に開かれる。国労本部の方針にさまざまな意見があることも承知の通りだ。全労連は全労連としての基本方針を堅持してたたかうが、加盟組織でない国労の対応について全労連が今日の段階でコメントすることは適切でない。全労連の基本方針に団結して、提起している夏から秋の大運動を大きく成功させることを再度強調したい。
 中労委問題でも発言があった。全力で実現したい。

●政治闘争――政治転換のたたかいについても多くの発言があったし、小選挙区制とのたたかいについての補強意見が出された。年度方針の中で補強したい。
 沖縄闘争についても、前進のために全労連のイニシアチブを発揮したい。

●規約等改正について――大会開催を2年に一度とするなど改正案は、提案の際も説明したが、単産・地方組織の代表による機構改革検討委員会の答申にもとづいて慎重に討論を重ね、4月の評議員会に予備提案し、6月の単産・地方組織代表者を含め意思統一してきた議案だ。反対意見が出され、一つの見識ある見解だと思うが、こうした民主的手続きの経過に添って、本大会での採決をお願いしたい。

 明日から臨時国会が始まるが、春闘共闘、公務労組連絡会、国民大運動実行委員会の行動も明日から開始される。大会で出された貴重な意見を力にし、全力で奮闘する幹事会の決意を述べて総括答弁とする。
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