全労連第19回定期大会・来賓あいさつ

来賓の方々のごあいさつ(要旨)

春闘共闘委員会・斎藤洋一(全農協労連委員長)

 大会ご参加のみなさん、ご苦労様です。第19回定期大会に参加されたみなさんに、国民春闘共闘より、心からの連帯のあいさつを送ります。日頃からのご支援・ご協力に感謝するとともに、全労連がナショナルセンターとして、一致点での国民的運動課題の先頭に立って積極的な役割を果していることに対し、心から敬意を表します。
 先の総選挙では、自公保連立は65議席の大幅議席減をしました。この結果は自民党政治・自公保連立政権に対する国民の重大な審判がくだされたものといえます。これは、大企業・財界の雇用破壊・リストラ合理化、雇用保険改悪、年金改悪などの社会保障改悪、平和原則を脅かす悪政を続け、国民を不断の苦しみに追いやったことの反映です。同時に、今回の自公保連立政権の議席後退には全労連が大きく貢献したといえます。特に年金改悪阻止や労働者保護法制定では、全労連が中心に座り、我々春闘共闘が、そして連合、全労協の共闘が成立しました。野党共闘もできあがりました。残念ながら悪法は通され、労働者保護法は実現しなかったけれど、結果は選挙結果に表れました。全労連の役割と威力を、あらためて感じることができます。第2次森内閣ができましたが、そごうの放漫経営の借金を棒引きにしてやったり、中川元建設大臣の受託収賄事件など、国民の批判に対してまったく反省する姿勢がありません。労働者・国民犠牲で、今の状況を乗り切ろうとするだけです。アメリカ追随、大企業・財界優先の政治、いま起こっている全ての労働者の状態悪化、中小企業者の経営危機、農民の営農困難、国民の暮らしのすべての困窮は、ここから始まっていのです。今の政権は、アメリカ追随・大企業中心政治から決別しようとはしないし、できない。しかし、この路線を続ける限り、政府と国民との矛盾の激化は避けられないことでしょう。
 今大会は20世紀最後であり、21世紀にむけた最初の大会です。みなさんが、たたかうナショナルセンター全労連運動をどう総括し、21世紀にむけ、どのような運動を発展させるのか、全労働者・国民が注目しています。大会スローガンにかかげる、「全ての労働者国民が共同し、憲法が生きる21世紀へ」の実現にむけ、いっそうのイニシアティブを発揮されることを期待します。同時に、みなさんにただ期待するだけでなく、その実現にむけて、ともに闘う決意を表明するものです。
 組織拡大について一言ふれたいと思います。これまでも私たちは、中央・地方段階で対話と共同を進めてきました。これを、さらに強め、まだ、県労連に参加していない全農協労連参加の単組に対して、対話と共同を旺盛にやってほしいと思います。私たちの側からも働き掛けを行います。
 また、全農協労連は純中立労組懇のメンバーですが、いま、純中立労組懇は、中央労働委員会労働者委員の問題を直近の最大の課題としています。磯崎候補実現への協力をお願いします。
 今大会がみなさんの積極的な討論で大きな成功をおさめることを祈念し、連帯のあいさつとします。

日本共産党・金子満広副委員長

 ご苦労様です。日本共産党を代表してみなさんにたいし、また、全国の職場で働いている全組合員のみなさんに連帯のあいさつをおくります。
 先の総選挙で、日本共産党は大きな期待とご支援をいただきました。空前の反共謀略攻撃などのきびしい条件のもとで、期待に十分応えることができませんでした。逆流に抗してたたかい、ご支援くださった方々に改めて感謝申しあげます。次回の前進にむけてがんばります。
 国民の前にいっそう明らかになったことは、政権与党が議席でも得票でも国民の拒否の審判を受けたということです。与党は65議席を減らしました。比例の得票率は43%で、野党は57%で逆転しています。自民党はこの10年間で比例の得票率を28%へと激減させてきました。これは国民の審判です。この結果は、行き詰まった自民党政治と大企業の横暴とたたかってきた労働者・国民のたたかいの反映です。政治を変えたいという国民の切実な声の反映です。こうした声をしっかりと受けとめ、戦闘的にたたかってきたことの成果です。
 全労連が、リストラ・雇用問題が深刻化するなかで、解雇規制・労働者保護法の制定を求める運動、政府と自治体の責任で失業者の雇用を守る運動を進めてきたことは広く知られています。
 行財政再建でごり押しする行政サービスの切り捨て、政官財の癒着の構造にもメスを入れ、財政再建の道を示してこられました。介護保険の抜本的改善など、社会保障の分野でも運動を進めてこられました。日の丸・君が代問題、名護への新しい基地建設の問題でも、沖縄県民の基地縮小・撤去のたたかいと連帯して、運動を進めてこられました。原水禁大会に向けた平和行進でも全労連は大きな力を発揮しています。農漁民、市民、女性のあいだでも全労連はよく知られ、信頼がますます高まっています。消費税増税問題でも草の根から運動を展開しています。
 全労連はこの1年間だけでも新たな前進の局面を切り開いてこられました。
 政府・労働省の姿勢を変えさせることができました。今年のILO総会代表に加えざるを得なかったし、単産・地方で組織する組織形態を無視してきた労働省は、今回初めて100万人台でその組織人員を発表しました。初歩的変化ですが、ナショナルセンターとしての社会的地歩の前進が反映したものです。労働法制改悪反対、年金改悪反対でも広範な労働組合と共同を発展させてこられました。
 大会議案にある、21世紀初頭の目標と展望について一言触れたいと思います。率直に言って、分かりやすく核心をついた内容に感動しました。
 21世紀を前に新たな共同が進みだしたなかで、3つの提言をおこなっています。(1)大企業の民主的規制、人間らしく働くルールの確立、(2)国民生活の最低保障(ナショナル・ミニマム)の確立、(3)憲法と基本的人権の擁護、国民本位の政治への転換です。この結びで労働組合運動の壮大な共同と「統一」を提起しています。
 内容も表現もとてもわかりやすくできています。広範な国民のなかに広げることが大事だと思います。日本共産党が選挙の時にだした「日本改革の提案」の内容と基本的に一緒だと思います。
 全労連の飛躍的発展を期待して、連帯のあいさつとします。

全国商工団体連合会・菱健蔵会長

 財界・大企業の生き残り戦略にたいして、人間らしく生き働く社会の実現にむけて奮闘される全労連に深く敬意を表します。政府自民党は、総選挙で国民のきびしい審判をうけました。そしていま、中尾元建設大臣による金権・汚職事件をはじめ政府税調による大増税答申、そごうへの国民の税金投入、雪印事件による食品安全性への不安や中小販売店へのしわ寄せなどが深刻な問題となっています。
 多くの仲間の健康破壊も深刻化しています。
 1年前のくらべ、20万の店が減少しています。中小企業の危機にたいして私たちは要求実現にむけた運動をすすめてきました。5月の総会では「地域に貢献できる21世紀をめざしていく」ことを確認しました。
 全商連は来年創立50周年を迎えます。たえず運動の原点にたちかえり、全商連運動が社会の進歩と発展に大きく貢献できるよう運動をすすめて行きたいと思います。
 全労連のみなさんと一致点での共同を引き続き強めていきたいと思います。

新日本婦人の会 井上美代会長

 全国からご参加の代議員のみなさま、第19回定期大会のご盛会、おめでとうございます。新婦人を代表し、日頃全国でたいへんお世話になっていることのお礼と、心からのお祝い、連帯のあいさつを申し上げます。
 今回の大会スローガン、「すべての労働者・国民と共同し、憲法が生きる21世紀へ、くらしと雇用、社会保障の充実、政治の民主的転換」、それに、2010までを射程においた「21世紀初頭の目標と展望」を掲げています。大企業の民主的規制、人間らしく働くルールの確立、ナショナルミニマムの確立、憲法と基本的人権の擁護をかかげています。これには、感動しました。これは働くもの、国民の労働とくらしを破壊する、日本の財界・大企業、自民党とたたかう方向と目標を示した画期的な提案だと思います。
 労働者階級のナショナルセンター全労連への期待はいよいよ大きくなっているのではないでしょうか。
 産業再編が、企業間競争を激化させ、労働者の貧困化、国家間の問題をひきおこしています。こうしたなか、全労連がILO総会に正式に参加・活躍してこられたことは、日本において日々の運動を積み上げている我々にとって、うれしく、意義あることだと思います。わたしも6月初めに新婦人の会長として、また議員として、国連特別総会「女性2000年会議」に参加しました。そこでは各分野におけるグローバリゼーションが論議され、とくに経済分野では、女性労働者のリストラ・失業、低賃金化、不安定雇用化が広がっている、「貧困の女性化」が進行している、という声がだされていました。男女平等の実現も、平和も、民主主義の努力すらも、掘り崩されているということが、アフリカ、アジア諸国からだされました。国際競争が激化する中で、日本の大企業が労働者を犠牲にしながら、生き残ろうとしているのと同じです。企業のリストラ「合理化」、政治による企業への不当な支援、国民は人間の尊厳を奪われているが、こうしたことが、世界中で進行しています。視野は世界的に、運動は草の根レベルで、がますます重要になっています。
 新婦人の職場班の方々の悩みをきいても同じような悩みをかかえていますが、変化も生れています。
 ある商社では、80%の支持でスト権を確立し、夏季一時金カットにたいして「おかしい」と発言し、議決数50:50にもちこみ、議長採決で会社提案が否決されました。ある生命保険会社では、会社分割法の学習をしたある会員が、組合大会で修正案をだし、その案が可決されました。このように、たたかう中で変化が生じています。たたかってこそ、明日はひらけるのであります。
 新婦人では、「わたしの家族のサービス残業」調査します。職場・家庭からサービス残業を告発し、根絶させることを目標としているのです。今後いっそうみなさんと連帯を深め、職場の民主主義をつちかっていきたいと思います。労働者の権利をたかめ、労働者の家族を守る運動を強化したいと思います。以上、19回大会の成功を心から祈念し、連帯のあいさつとします。

農民運動全国連合会・小林節夫代表常任委員

 農民連を代表して心からの連帯のあいさつをおくります。
 日ごろ、全国的な問題、平和やくらしを守る課題などで、たいへんお世話になっていることに感謝します。
 日本の食料自給率が40%を割ったという大変な時期に、数年にして日本の農業が衰退するという事態が進んでいます。6年前にWTO協定が結ばれ、減反が進められ、野菜を作ってきました。WTO協定締結前とくらべて、野菜の輸入は3.5倍になっています。キャベツや白菜が1個15円や20円の状況です。ただ働きどころではありません。
 アメリカや中国から野菜がたくさん輸入されています。その背景にこれら諸国での低賃金があります。メキシコの賃金はアメリカの8%。中国の賃金は日本の3%です。ほんとうに驚きました。ネギが日本の11%の値段で輸入され、枝豆が8%の値段で日本に入ってきています。
 労働者にたいするリストラ「合理化」が農民にも国民にもかかっていきています。ほんとうに怒りを感じます。みなさんとの連帯は、こうした事実にもとづいたものです。
 オレンジに使っている薬は発ガン物質ですが、輸入品にはこれが公然と使われています。日本政府は、輸入品には使っていいが国産には使ってならないと言っています。職場に労働組合があることが大切だということを痛感しました。
 私たちは、WTOのシンポジウムを開いて、国際連帯を追求してきました。これからもともにたたかっていきたいと思います。
 こういう困難なもとで、関連業者が倒産しています。農機具会社がつぶれ、中小のコメの卸業者が廃業に追い込まれています。輸入農産物が増えるために経営が困難になっています。こうした政府のやり方にたいし、いっしょにたたかい、共同が前進しています。
 お米屋もやっていけなくなっています。東京の卸業者や小売業者は、「米屋の逆襲」といって、農民連ともいっしょにとりくんでいます。こういうところに区労連のみなさんや全国一般のみなさんがいっしょに参加して、たたかってくれています。コメの学校給食の問題でも自治労連の姿がありました。
 困難ではありますが、私たちといっしょに共同してたたかおうというふうに変わってきています。彼らこそが追い込まれているわけです。ともにたたかいましょう。

自由法曹団・豊田誠団長

 この大会に参加するにあたって事前配布議案を読ませて頂きました。読んで感動し、驚いています。「21世紀初頭の目標と展望」には驚き、感動しました。わかりやすく簡潔にまとめられており、この内容はわたしたち自由法曹団の追い求めてきたものと同じです。目標と展望の実現にむけていっそう共同を強めていきたいと思います。
 グローバリゼーションという魔物がいままでたたかい、培ってきた労働者の人権を奪っています。アメリカでも貧富の差がいま広がっています。
 過日おこなわれた沖縄サミットで遺伝子組替えが議論されましたが、遺伝子組替えの規制緩和にヨーロッパは反対し、アメリカが規制に反対しています。IT革命だけでなく、遺伝子組替えにみられる環境問題で世界戦略を狙ってきています。
 この間のとりくみをふりかえると、昨年5月の戦争法反対をはじめ、盗聴法、「日の丸・君が代」法制化反対など反動と悪政に対する国民的共同がひろがっています。ナショナルセンターとしての全労連が引き続き、国民的共同発展にむけてご奮闘されることを期待し、ごあいさつとします。

労働運動総合研究所・大木一訓常任理事

 労働総研を代表し、こころから連帯のあいさつをおくります。労働総研は、研究者と運動家が一緒に手を組み共同の調査研究を進めようという、新しいタイプの労働問題の研究所です。全労連の創立とあい前後して設立され、みなさんのご支援のもとで、大きな成果を上げることができました。このことを報告できることを、うれしく思っています。
 設立当初と比べると個人会員は8倍、団体会員も着実に増えています。月間クォータリーや季刊ジャーナル、海外向けジャーナルなどの定期刊行物も多くの読者を獲得しています。また、毎年の春闘白書など多くの著書や調査報告、提言を発表することができました。
 労働総研は、規約で全労連のみなさんの運動を応援するとうたっています。研究所の調査や執筆活動に450人以上の研究者が参加・協力していますが、このように日本の民主的研究者が日常的にみなさんの運動を応援しているというのは、かつてないことだと思います。
 もちろん、労働総研の活動にはまだまだ問題もあります。第1の問題は出版物が労働組合の幹部・活動家に読んでいただけていないということです。もっと、智恵をだしていかねばと考えています。もっと大きな問題は、情勢の必要に見合った調査研究がまだまだ不十分だということです。今日の労働組合運動は、これまでに経験したことのないような多くの問題をたくさん抱えています。しかし一方では、今日ほど労働組合の飛躍的発展が求められている時はないと思います。21世紀初頭の目標と展望にも示されているように、日本社会全体が解体しつつあるいま、労働組合自らが世直しをすすめざるをえない状況になっているのではないでしょうか。我々も一緒に解決していかなければならないと思っています。
 例えば青年問題です。彼らはこのままで未来を担えるのか、心配せざるをえない状況になっています。21世紀になったら、労働組合がなくなっている、などということのないように、青年達に成長してもらわなければなりません。
 21世紀にむけての研究課題としては、その他に、IT革命の中で、不安定労働者があたりまえの存在になってきています。どうしたらいいのか、21世紀にむけての国際連帯、とりわけアジアでの国際連帯の展望をどう切り開くのか、これらにとりくみたいと思います。
 困難はあるが、運動家のみなさんと一緒に研究をすすめ、追及していくならば必ず展望はひらけると思います。
 労働運動の発展にもっと役立つ調査研究をおこなう決意を申し上げて、連帯のあいさつとさせていただきます。

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