特別決議

政府の阪神・淡路大震災対策打ち切りを許さず、被災者への公的支援の抜本的拡充と住民本位の防災・災害対策強化を求める決議(案)

[提案団体]
兵庫県労働組合総連合
全大阪労働組合総連合
京都地方労働組合総評議会
滋賀県労働組合総連合
奈良県労働組合連合会
和歌山県地方労働組合評議会
 戦後未曾有の都市型大災害といわれる阪神・淡路大震災発生から四年六ヶ月余りが経過した今日においても、被災地では、住民が主人公のまちづくりと生活再建は進んでいません。仮設住宅での二三三人もの「震災孤独死、震災自殺者」を生みだした事態が、新たに災害公営住宅に入居した被災者にも拡大し、すでに三〇人をこえる「孤独死」が発生するなど被災地における「生存権」の危機的状況は今なお続いています。

 被災地の失業・雇用問題は、中小・零細企業・労働者への復興支援の遅れと全国不況・大企業の人減らしリストラが重なり、震災直後に匹敵し、全国最悪ともいえる深刻な事態となっています。

 住まいの再建問題も依然として厳しい状況になっており、自力で再建したものの住宅ローン返済の見通しが立たなくなった人々、自力再建を断念した被災者がいまも滅失した家屋・店舗のローン返済に苦しんでいる事例も多々あり、被災地の自己破産件数は大震災前の数倍の件数にのぼっています。

 被災地を大企業の企業活動最優先のまちにつくりかえる政府と兵庫県・神戸市などのゼネコン型・インフラ復興路線は、歳月とともに「二極化」がすすむもとで大きく破綻しています。

 しかし、政府・与党と兵庫県・神戸市などは6月末の仮設住宅入居期限を期に「復興は順調にすすんでいる」として、大震災発生五周年目の二〇〇〇年一月一七日を「復興宣言」で糊塗し、五年間の時限立法である「阪神・淡路大震災復興基本法」を失効させ、「阪神・淡路大震災復興対策本部」を解散するとともに、被災者の生活再建のための諸施策の打ち切りの策動を強めています。

 また「戦争法」成立を機に、大震災からの「教訓」を口実に、関東大震災規模の大 災害を想定し「災害救助のための自衛隊の部隊活動は、日本が直接武力攻撃を受ける 日本有事の対応につながるもの」(防衛庁)として、大災害発生事態を逆手にとり、自治 体をも巻き込みつつ陸海空自衛隊が7万人以上の動員部隊・数百機の航空機・50隻 以上の艦船出動を含む大規模な部隊行動と、そのための空き地や通信周波数の確保、 民間機運行規制等の「有事」体制確立を一挙に具体化する策動を強めています。

 九九年一月一七日、全労連をはじめとする三八団体で構成する「中央実行委員会」 の呼びかけで神戸で開かれた「第4回メモリアル全国集会」の「アピール」は、被災 地の深刻な実態を目の当たりにし、大震災被災者への公的支援・個人補償の拡充を求 める運動と国や自治体が進めてきたインフラ復興偏重の復興路線を被災地の生活と住 宅再建、地域経済復興に転換させるために全国的な支援を強めることを確認しまし た。

 さらに、同「アピール」では、災害列島・日本において、大震災の悲劇を再び繰り 返させない全国的な防災・災害対策運動推進のための国民的な運動の展開がいっそう 強く求められていることが強調されました。

 全労連は兵庫労連や阪神・淡路大震災救援復興兵庫県民会議がとりくんでいる大震 災被災者への公的支援の抜本的拡充を求める新署名運動、全国に発信している「被災 者への公的支援拡充を求める『意見広告ポスター』」1万人賛同運動など被災地のた たかいを積極的に支援するものです。

 全労連は、「阪神・淡路大震災復興基本法」失効と「阪神・淡路大震災復興対策本 部」解散、被災者への生活再建のための諸施策の打ち切りの策動を許さず、「被災者 生活再建支援法」の抜本的見直しを求める全国的な運動前進に力をそそぐものです。

 全労連は、政府による大災害対策を自治体を巻き込んだ陸海空自衛隊の大規模出動 など「有事」体制確立に悪用する策動に反対し、災害列島・日本における国民の基本 的人権を守り、生存権を擁護し住民本位の防災・災害対策の全国的運動づくりに奮闘 するものです。

 右、決議します。

一九九九年七月二九日

全国労働組合総連合第一八回定期大会