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【談話】「労働関連三法案」の閣議決定にあたって

2007年3月14日
全国労働組合総連合
事務局長 小田川 義和

1.13日、政府は「労働契約法案」、「労働基準法の一部を改正する法律案」、「最低賃金法の一部を改正する法律案」などいわゆる労働関連三法案を閣議決定した。法案提出理由では労働者保護法制の強化がうたわれているが、各法案には大きな問題が残されている。

2.とりわけ「労働契約法案」は、就業規則の変更による労働条件の不利益変更ルールを盛り込もうとしているが、これには反対する。「使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできないものとすること」とあるが、同じ条文に「ただし」書きをつけ、合意なしに不利益変更が可能となる条件をあげている。これでは使用者に対し「就業規則変更による不利益変更はできる」と示唆するに等しい。しかも、不利益変更の合理性判断要素が4つに省かれ、「労働者への代償措置」、「不利益性を緩和する経過措置」、「一部の労働者に不利益が集中する場合の特別の手当て」など、最高裁判例が認めてきた要素すらはずしている。このままでは、“賃下げ促進法案”と言わざるを得ない。全労連は、「就業規則の変更による労働条件の不利益変更は許されない」と原則のみを法律化し、法案中の「ただし」書き以降(三)(四)の例外規定については削除を求める。

3.「労働基準法の一部を改正する法律案」では、残業代割増率の引き上げを提案している。限度基準の月45時間超の残業で法定を越える割増率を求めているものの、それは努力義務にすぎず、過労死ラインの月80時間超の残業で、ようやく50%の義務化である。これでは残業を回避させるだけのコスト増とならないばかりか、“過労死寸前まで残業OK”とお墨付きを与えるようなものである。少なくとも残業代割増率は国際標準の一律50%とし、限度基準を超えた長時間残業を認める「特別条項付き労働協約」は廃止すべきである。

4.「最低賃金法の一部を改正する法律案」については、地域別最低賃金の罰金を最高50万円へと引き上げ、「あまねく全国各地域について」最低賃金を決定し、賃金決定要素のひとつである生計費について「生活保護に係る施策との整合性に配慮」するなど、一定の改正が盛り込まれている。しかし、産業別最低賃金の罰則規定の廃止、労働協約拡張方式(11条)の廃止、「支払い能力論」の存続、地域間格差の追認など、重大な問題もある。これらは修正されるべきである。

5.日本は今、労働者の「働き方」「働かされ方」について、早急に対策を講じなければならない事態に陥っており、今国会での労働法制論議は重要な意味をもっている。全労連は、そのような情勢もふまえ、不払い残業や偽装請負などの違法を根絶し、最低賃金の大幅引上げと全国一律制度の確立、パート労働法の実効ある改正による均等待遇の確立、労働時間規制などの「働くルール」の確立を求め、「働くルール確立を求める100万署名」も武器に、たたかい抜くことを表明するものである。

以上

 
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