全労連



「もうひとつの日本闘争本部」の確立と当面の取り組み

2005年12月7日 於全労連会館

1.闘争本部の目的と名称

(1) 総選挙で争点を郵政民営化にしぼった小泉首相は、選挙が終わったとたん、「小泉政治全体が国民に信頼された」として、憲法改悪、庶民大増税、医療・社会保障改悪への道を走り出している。とりわけ、1,000兆円にのぼる国と地方の累積債務、国の予算の半分を国債費が占める自らの失政を逆手にとって、「小さな政府論」をとなえ、公務員の人員削減と賃下げ、労働組合バッシングに血道をあげている。これは、公務・公共サービスを切りすて、国民の安全・安心を根底から破壊しようとする攻撃である。
(2) ルールなき競争によって歯止めなき格差社会をつくりだす小泉政治に対して、「すべてを小泉首相に白紙委任したわけではない」と、自民党に投票した人をふくめて6割以上の国民が不安と怒りを表明している。また、多くの犠牲者を出したJR西日本の脱線事故やアスベスト問題、航空機のトラブル、耐震強度偽装事件などが次々と発生するなかで、規制緩和や「小さな政府論」への国民的な批判が広がりつつある。
(3) 全労連は、改憲策動とも一体の「小さな政府」の本質を明らかにして世論形成をはかり、国民的な運動を大きく推進するために、「小さな政府=大きな国民負担」に反対し、もうひとつの日本、安心できる公務・公共サービスをめざす全労連闘争本部(略称・もうひとつの日本闘争本部)を確立する。闘争本部設置期間は、次の国政選挙(参議院)が行われる2007年7月までを区切りとする。

2.闘争本部の体制と運営、財政

闘争本部長

全労連熊谷議長

副本部長

全労連西川副議長、自治労連駒場委員長、全教石元委員長、国公労連堀口委員長、日本医労連田中委員長、JMIU生熊委員長、民間部会今村代表

事務局長

全労連坂内事務局長

事務局次長

全労連岩田事務局次長、自治労連大黒書記長、全教東森書記長、国公労連小田川書記長、福祉保育労桑本書記長、特法労篠原事務局次長、郵産労広岡書記長、公務労組連若井事務局長

闘争委員

上記以外の全単産委員長もしくは書記長、全労連常任幹事、地方協議長

事務局

全労連が派遣する役員専従を「事務局責任者」に、事務局次長、派遣常駐役員と、公務労組連絡会の代表による闘争本部事務局を設置する。

(1) 闘争本部は、以下の考え方を基本に運営する。①「闘争本部会議」(全闘争委員で構成)を半年に1回程度開催し、運動の基本方向を討議・確認する。②「闘争本部役員会議」(本部長・副本部長、事務局長・次長、派遣常駐役員で構成)を2カ月に1回程度開催し、節目の運動の企画・立案、運動の調整にあたる。③「闘争本部事務局会議」(事務局長、次長、派遣常駐役員で構成)を1ヶ月に1回程度開催する。④派遣常駐役員の就任後は「常駐事務局会議」を随時開催し日常運営にあたる。

(2) 闘争本部財政は、①全労連「闘争積立金」からの拠出(評議員会決定が必要)、②自治労連、国公労連、全教からの拠出、③その他の公務・民間や団体・個人からのカンパよって、総額1億5千万円の確保をめざす。闘争本部の予算を編成し、06年2月より予算執行できるように準備する。

3.闘争本部が推進する課題

①教育、福祉、医療など公務・公共サービスを切りすて、国民の安全・安心を破壊する公務員の総人件費削減、郵政民営化、市場化テスト法案、三位一体「改革」などに反撃し、公務労働が果たしている重要な役割を国民に発信する諸行動にとりくむ。当面する06春闘における全国キャラバン行動、シンポジウムをはじめ、学習活動、宣伝行動、団体訪問・要請行動、調査・提言活動などを単産、地方・地域が一体となって推進する。

②現時点で国民的関心の強い「安全・安心の破壊」「格差の拡大」「地域切りすて」の3点をキーワードに、「いま、現実におきていること」「これから、おきようとしていること」に焦点をあて、広範な世論を形成していくことを重視する。そのため全国民を視野に、ビラによる大量宣伝、ラジオスポット、電車広告などにとりくむ。

③組合員が確信をもって運動に結集するため、職場・地域からの学習運動を推進する。学習テキスト(パンフレット)を作成するとともに、全都道府県で大規模な学習会を企画し、闘争本部からの講師派遣を行なう。国民の視点から「小さな政府」の正体を暴き、公務・公共労働の重要性をわかりやすく国民に訴え、組合員を激励することを目的としたビデオ映画を作成し、職場・地域から上映運動にとりくむ。

④臨時国会で強行された郵政民営化法案にそって、郵便局の統廃合や「合理化」、郵政労働者の雇用問題などが大きな問題となる。全国的な運動と組織対策にあたる「郵政対策委員会」を設置する。

4.「国民懇談会」の結成

 「小さな政府」や「もうひとつの日本」などについて、縦横無尽に語り合っていただき、同時に運動へのアドバイスも視野に、「もうひとつの日本を考える国民懇談会」の結成をめざす。懇談会のメンバーは、政治家、評論家、作家、学者、弁護士、芸能人など、幅広い層からの参加を要請する。

5.当面する取り組みの具体化

「国民の安全と耐震強度偽造問題」シンポジウムの開催

 「小さな政府」を制度的に推進している規制緩和(改革)でないがしろにされている「安全」に焦点をあて、耐震強度偽造問題を取りあげたシンポジウムを開催する(06年1月26日(木)午後6時30分、200名以上規模 日本青年館・中ホール)。

 コスト最優先・安全無視の建設業界と建築行政の責任を告発する。幅広い角度から検討するため労働問題総合研究所、建設政策研究所などの研究機関や学者・有識者などの協力を要請し、マスメデイアも注目するシンポジウムとすることをめざす。運動面の広がりを追求し、全労連以外の労組などに協力を要請する。シンポジウムに向けたビラ(版下)を作成し、06新春宣伝行動でも活用する。

労働現場からの規制緩和による安全破壊の告発(レポート)運動

 耐震強度偽造問題とも連動しながら、JR・宝塚線での列車転覆事故、航空での事故・トラブル、交運関係での過当競争、IT化とプライバシーの漏洩、大企業で多発している労働災害、アスベスト被災など、各分野における規制緩和、公的責任の後退によって現実におきている問題点を、労働現場から明らかにする運動にとりくむ。

 公務・民間単産、地方・地域との共同作業として推進する。ホームページを活用した「告発レポート」のよびかけなど、広がりのある運動を提起、「映画」作成とも連携させたとりくみとして検討。

「06地域総行動」の中での位置づけと行動

 全労連が06春闘方針で提起している2月中〜下旬をゾーンとする「地域総行動」の中で、「もうひとつの日本闘争本部」の課題である国民の安全・安心、公務・公共サービスの拡充にむけた世論形成をめざす。

 地方・地域では、06通常国会で法案成立がねらわれている「市場化テスト法」による公務サービスの商品化や、「三位一体改革」による地方と住民生活切りすてを許さないため、住民宣伝、自治体・地方議会への要請・懇談、地元国会議員要請、労組・団体との対話などを「草の根」からひろげる。

「もうひとつの日本をめざす全国縦断キャラバン行動」

 2月の「地域総行動」の成果を踏まえ、単産・地方・地域が一体となって力を集中し、「小さな政府」による国民犠牲を許さない世論をつくるために、3月中旬〜4月中旬にかけて「全国縦断キャラバン」にとりくむ。

①3月中旬に東京で「キャラバン行動出発集会」を開催し、東京での集会・行動を起点にして、4月中旬まで全国各地で行動を展開する。

②全国をブロック毎に分け、地方ごとに統一行動日を設定し、キャラバンカー運行による住民宣伝、関係機関への申入れ、学習決起集会などに取組む。キャラバンカーは中央単産の宣伝カー、または各県労連の宣伝カーを使用する。

③キャラバン行動に全労連・中央単産から役員を派遣する。地方組織と一体となって宣伝・要請行動を展開するとともに学習会講師などを担当する。

④キャラバン行動にむけて統一宣伝ビラを作成する。宣伝テープ、スポット、横断幕、のぼりなどの資材を準備する。「学習・討議パンフレット」、映画など多様な宣伝媒体の作成・活用をはかる。

全国的な運動の相互交流と調整

①ホームページの立ち上げと運用(情報の集中と運動の交流などを目的に)

②全国的な運動交流の場の検討

以 上




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