全労連第19回定期大会・討論:第2日目(午後)

討論(発言要旨):第2日目(午後)

特殊法人労連 柳沢淳

 国鉄闘争について。4党合意案について幹事会は反対するのか質問する。

民放労連 磯崎弘幸

 2000年春闘で労働省をとりまく3・7大請願行動を成功させた。感謝申し上げる。 2000年国民春闘共闘委員会、全労連民間部会、公務労組連絡会、純中立労組懇、MICの総力をあげたとりくみで成功させた。
 中労委の第26期の任命が迫っている。内定ということになると、60日後に決まることになる。民主化対策会議は8月11日にそろって推薦手続をおこなうので、推薦手続をとってくださっている単産のみなさんにご協力をお願いしたい。
 今回は、うれしいことに、映演総連、音楽家ユニオン、建設関連労組、銀行労連など新しい推薦組合が増えている。
 5期10年にわたる偏向任命によって、中労委の救済機能は機能衰退を起こしている。『月刊全労連』6月号に「労働委員会の救済機能の回復をめざして」と題して原稿を書いた。地労委の不当労働行為救済率は、89年まで平均60.4%だったが、97年には49.4%に落ち込んでいる。労働者勝利率は、94年以前は45%だったが、97年には26.1%に急落している。処理日数については、中労委では89年までは命令が出るまで3年だったのが、97年時点からは5年かかっている。こうした機能衰退を克服するためにも、偏向任命を改め、公正な任命をどうしても実現しなければならない。
 いよいよあと60日の勝負だ。昨年6月からとりくんできた団体署名は7000団体に達している。画期的な到達点だが、1万という目標からいうとまだ3000足りない。手元にモデルの署名用紙があるので、ご協力をお願いしたい。
 民主化対策会議は7月8日に全国代表者会議を開き、衆・参議長宛に公正任命を求める推薦署名にとりくむことを決めた。7月と8月に集中してとりくむ。各政党と首相にも要請する。署名は、国会会期の都合で8月1日にも提出しなければならないので、7月中に集中していただきたい。
 昨日、事務局長の提案のなかで、労働省が99年度の労働組合調査で全労連の組織人員を106万1000人と発表したことを話された。その直後に政府はILO総会の全労連参加を決めた。この流れは、26期の公正任命にもつなげることのできる大きな変化だ。
 54号通牒によれば、委員の選考にあたっては系統別の組合員数に比例させることになっている。ルールがあるのにルールを無視しているのが中労委の任命だ。ルールを守らせれば私が選ばれる。
 地労委でも特定任命にクレームがついている。千葉地労委事件では東京高裁が裁量権の逸脱を指摘した。中労委事件東京地裁判決でも、適切な任命のあり方を検討していくことが要請されている。首相が10月にどうこたえるかが求められている。

愛知県労連 見崎徳弘

 磯崎さんの当選を待ち望んでいる。昨年画期的な判決を下された。裁判長から偏向任命があるという内容の判決をうけて頑張ったが、昨年の地労委労働者委員の獲得の可能性があったが6度目の偏向任命を許すこととなった。
 磯崎さんのいうように様々な変化が生まれている。愛知でも連日のように労働相談が相次ぎ、間に合わない状態になっている。磯崎さんの当選にむけて全国の仲間が一体となって勝ち取っていきたい。

東京労連 松元忠篤

 石原都政と現情勢との関係、都政政策問題について発言する。
 石原都知事は4月「不法入国した三国人、外国人により大きな争乱事件を引き起こされることが想定される」と発言し、自衛隊に治安出動まで求めた。
 9月3日には、陸海空3軍を動員して、「地下鉄大江戸線で木場の会場まで陸上自衛隊を進出させる」「江戸川に250メートルにおよぶ浮き橋をかけ、地方から部隊を進出させる」「ファントム機で偵察と写真撮影をおこなう」など、実践さながらの治安出動訓練をおこなおうとしている。東京労連は、石原都知事の三国人発言の撤回・謝罪と治安出動訓練の中止を求める事務局長談話を発表した。
 石原都知事は「いざとなったら戦争に協力する」と言っている。
 アメリカと多国籍企業は、全世界の市場化をめざして、あらゆる分野で規制緩和と構造改革を要求してきている。世界各国へ進出するためにIMFや世界銀行を利用し、日米ガイドラインとNATOへの新戦略概念を押しつけている。
 日本政府と財界は、アメリカの圧力に便乗し、規制緩和と構造改革、金融二法や「産業再生法」「会社分割法」などを成立させ、社会的規制をとり払い、低賃金と無権利の労働者をますますつくろうとしている。
 政府と多国籍企業は、国内でこうした攻撃を強めるとともに、海外への経済進出とそれを軍事的に支える反動的な国家体制づくりを急いでいる。戦争法や日の丸・君が代の法制化、盗聴法、憲法改悪、有事法制の確立をねらい、日米ガイドライン体制の強化で海外派兵と戦争への道を強めている。
 規制緩和、リストラ、労働力の流動化と、海外派兵・戦争への道は表裏一体の関係だ。民間におけるリストラの嵐と、教職員への日の丸・君が代の強制、新勤評の実施、国家公務員にたいする省庁再編と自治体リストラ攻撃は同じ根っこからきている。
 石原都政をめぐる情勢は、治安出動訓練をおこなったり、憲法廃棄を公言したりするなど、危険な情勢といわなければならない。
 すべての労働者と対話と共同を進めるとともに、日本の多国籍企業が進出しているアジア諸国の労働者と連帯して、また平和と民主主義を守るすべての人々と共同して、戦争をストップしなければならない。
 石原都政は、シルバーパス、高齢者等医療費など福祉関連10事業で削減した1000億円を新たな東京圏開発に注ぎこもうとしている。福祉の牽引車としての役割を果たした東京から、競争に勝ち抜く経済産業の中心都市東京に転換しようとするものであり、許せない。
 私たちは、こうした都民犠牲の施策にたいし、都民要求実現実行委員会や東京春闘会議との共同で大きな運動を進めてきた。3800人による都庁包囲人間の鎖を成功させた。6400人におよぶ座り込み行動を大きく成功させ、都政の攻撃を押し返してきている。
 あと1年足らずで東京都議選と参議院選挙がたたかわれる。この間、日産村山工場閉鎖にたいする政策をはじめ雇用を守る政策、産業振興に向けた政策を発表してきた。今後は、神奈川の運動にも学んで、リストラ規制条例の推進や中小企業政策をつくり、都政の転換に向けてがんばる。

全国一般 山田明

 全国一般として、中小企業のきびしい実態の打開をめざして、安心できる雇用とくらしを実現する二大運動を展開してきた。
 その第一は、全国一律最賃制確立と賃金底上げの運動だ。最賃生活体験運動では118名の仲間が参加、この6年間で1200名が難行苦行に挑戦してきている。なかでも青年労働者が多数参加し、生活体験を通じて最賃闘争の重要性を理解してきている。
 第二の柱は、中小企業と地域経済の振興をめざす中小企業大運動だ。大店法が廃止され、大企業の横暴を規制するたたかいがますます切実となっている。宮城での大型店進出阻止や元旦初売りなど大きな成果をかちとってきている。企業実態をつかみ、企業分析をおこない政策を打ち出して雇用と職場を守るため提案型運動を進めてきた。
 今回提案された秋年闘争方針に三大要求として中小企業経営基盤の改善が提起されていることに大いに勇気づけられつつ、訪問活動の次のステップに運動を進めていく決意だ。
 サービス残業をなくすたたかいについて。
 職場の聞き取り調査で見ても、組織労働者の家族や未組織の状況のもとでサービス残業や不安定雇用に苦しめられていることが明らかになった。しかし、サービス残業はたたかう組合がある職場・業界にも広がっている。
 全労連が三大要求の一つとして提起している「雇用確保、労働時間の短縮、不払い残業改善のたたかい」は本当に重要だ。一つひとつの職場で自民党政治の行き詰まりと大企業の横暴、身勝手が作り出している職場の危機と困難に職場政策を持ったたたかいを職場・地域から巻き起こしていきたい。

全印総連 大原つくる

 全印総連の産業政策課題と、企業内最低賃金闘争、統一労働協約の運動について発言する。
 印刷出版関連産業では、不況の長期化とデジタル化・IT革命などによる供給力過剰から安値受注競争が激しさを増している。くわえて、印刷大手の中堅・中小市場への強引な参入により、生き残りをかけた厳しい企業間競争が展開されている。
 産業秩序の確立、官公庁の印刷物発注単価問題などに、この1年間とりくんできた。東京都と議会に要請と交渉をおこない、東京都議会でとりあげられた。官公庁印刷物の問題では、毎月のように全印総連の適切単価の取り組みがとりあげられている。先日は凸版印刷に対し、「印刷大手は中小から仕事を取るな」というビラ配布宣伝行動を行なった。これに全国の中小印刷業者から賛同がよせられている。この運動は、印刷関連業界の世論をリードしている。適正価格の確立、土・日勤、夜勤の根絶。行政や地方自治体を巻き込んで行ないたい。
 次に最賃闘争について。2000春闘では印刷単価に歯止め。4人に1人が非正規雇用。企業内最賃要求を必ず要求し、賃上げ要求をだそうという方針をだした。64組合が企業内最賃に取り組み、34組合が回答をえた。やはり正規に比べ非正規の時給は低い水準にとどまった。
 企業内最賃の取り組みは、全体としては十分ではなかったが、かつてなく取り組まれ、理解は広まった。ただし、なかには、要求を出しっぱなしでろくに交渉しないところもあった。生き残りに汲々としている中小企業では、自分だけ生き残ればいい、非正規などみていられない、という意識がある。その克服が課題である。専門紙、企業内最賃をすすめるためには、地域別業種別の集団的労使交渉が有効であることがわかった。他の印刷産別・中立組合との共同も必要。労働時間含めた最低規制や、統一労働協約の運動強めたい。
 今後、全印総連は出版労連との組織統一に向けて努力する。実現すれば、13000人の印刷出版単産となり、要求実現に向けて大きく前進することができる。

大阪労連 服部信一郎

 たたかうう方針や実践上の問題に青年問題をどれだけ位置づけてたたかってきたのかという思いをもって意見をのべたい。
 「『21世紀初頭』の目標と展望」について、来賓のほとんどの方が感動された。私は2回読んだが、感動できなかった。迫力を感じなかった。それは、青年ということばが登場しないからだ。パートや派遣、フリーターの表現もなかった。ただこれは方針書には出ているが。
 21世紀を語るときに、青年やこれら諸層の問題をはずしてはならない。差別されている労働者や未来を担う青年を抜きに、21世紀を語ることはできない。日本の政治や民主主義、平和にかかわっても大きな力を発揮しなければならない青年を組織しなければならない。
 議案について、青年労働者の要求をつきだして、項を起こすことを提案したい。青年雇用確保法を制定するだとか、初任給の大幅引き上げ、登録型派遣の禁止など青年が魅力を感じる要求をだしてほしい。
 パートや派遣などの不安定雇用労働者の項も起こして欲しい。同一労働同一賃金、正規との均等待遇をかかげながら、たたかう方向として正規労働者のたたかいと結合することを示すべきだ。
 底上げ闘争を大幅引き上げ闘争と一体としてどうたたかうかについて、大阪でも一定の経験をつくった。初任給の金額と最賃の金額をどう要求していくのか。要求額は時間額、日額によって違う。しかし、底上げをするときに、いま全労連がかかげている月額15万円は低いのではないかというのが率直な意見だ。
 青年労働者は能力主義によって資本に取り込まれようとしている。初任給をどうするか。大阪の単身者の生活保護費は13万円だ。社会保険と税をとられることを前提とすると15万円になる。これは高卒初任給よりも低い。青年労働者のさまざまな苦しみをとりあげ、もっと魅力のあるとらえ方が必要ではないか。
 最後に、フランスではたった10%の組織率しかないが、国民の世論の支持を得て35時間労働をかちとってきた。国民の世論と大きく結合したとき大きな成果をかちとることができる。その点で、国民春闘の中身をつくらなければならないと思う。
 国民の生活費の問題を全労連は提起すべきだ。単身、家族、年齢などごとにつくる。これは、議論をし理論的解明をすればできるのではないか。国民が苦しんでいる問題をとりあげるような賃金闘争を提起する必要があるのではないか。

全労連青年部 日下努

 リストラの横行、賃金カット、年金改悪などによって青年労働者の状態悪化が大きく進行している。とくに青年の失業が10%を超えている。職能給を要求している青年さえも多い。これらきびしい現状の一方で「パラサイトシングル」とよばれる現象もある。こうした現状をつかみ青年部としての要求を確立しようと「働く青年のアンケート」を取り組んできている。引き続き協力をお願いしたい。
 99年に四国で開いた「働くものの学習交流集会」で出会った青年3人が「もっと交流したいし、学びたい」と県労連青年部を結成してきている。労働学校や労教協の協力で楽しく学ぶことから始めている。
 全労連の21単産のうち、青年部があるのは10単産、地方は準備会もふくめ29組織、日常的に活動しているのは15組織だ。青年も奮闘するが、これは青年の問題でなく、21世紀の労働運動にかかわる問題だ。労働者の4分の1は不安定雇用、労働者の3分の1は青年労働者であり、これへの対策なしに全労連の未来は保障できない。青年問題は青年部だけの問題ではなく、全体の課題として青年(部)対策が必要だ

富山県労連 木下正敏

 県労連で事務局次長と兼任で青年部長をしている。東海北陸ブロックでは、サマーカーニバル以前から、青年部の交流が行われてきた。今でも受け継がれ4カ月に1回のペースでの会議と、年1回の交流企画を行なっている。会議は各県持ち回りで行い、宿泊して交流や全労連方針の討議を行なっている。実際には各県労連の青年部活動は大変である。富山でも活動は続けているが、ここ2年は役員体制が整わず大会も開けていない。元気をなくしがちになるが、そうしたときに、ブロック会議で悩みを出し合い、励ましあって、元気をもらって、地元に帰って再びがんばる、ということになっている。
 98春闘では、青年分科会を春闘討論集会でもうけて、労働組合とはなにか、青年部活動とは何かを討論した。今年は富山県労連では立山でピースキャンプを行なった。年1回の交流企画は、みんなで元気よく楽しく、もちろん遊ぶだけでなく、学習を行ない、意見を交わし合い、展望を見つけて育っていく大切な場である。その中から、全労連運動の担い手も育つ。ブロックでは、今年もあたらしく青年が参加して、がんばると決意を表明した。自分も今、県労連の事務局次長の大役を引き受けているが、サマカニに参加した青年達が、いま、各組織で役職を担うようになってきている。
 富山県労連では、青年部活動に対し、「生きざま」は語るが、口は出さない(金も)という姿勢。青年の意見はしっかり聞き、激励するが、意向は尊重してくれる。これが青年部活動にとってとてもいい。

全労連女性部 大橋美枝子

 5月20日に女性部の単産・地方交流会を開催した。この交流会で次のような報告があった。石川では2名の派遣労働者からセクハラの相談がもちかけられ、解決した。通信労組では年間26万円もの減収になっているなかで、「定年まで働く会」を結成した。群馬では男女共通規制を求める街頭宣伝で女子学生と中高年の反応が大きかった。沖縄ではパートの行動や基地包囲の行動にとりくんだ。
 5月26日に労働省交渉をおこなった。労働時間の男女共通規制とパート労働法の改正を求める署名17万余筆と750に団体分を提出した。この交渉のなかで、育児・介護休業の法改正を準備しているとの回答があった。内容を充実させるうえで願ってもないチャンスであり、育児・介護休業制度の充実のためにとりくみを強めたい。
 「『21世紀初頭』の目標と展望」について。少子化社会の克服と男女平等の問題がとりあげられているが、これを別々にして欲しい。少子化と男女平等は別の問題だ。少子化は、制度の不備や労働条件の悪化、仕事と家庭の両立の困難などさまざまだ。しかし、男女平等は普遍的な人権の問題だ。高齢化社会の方策ととらえるべきではない。子供を産むかどうかは女性の自主的な決定の問題だ。
 6月に国連の特別総会として女性2000年会議が開催された。カナダ・ケベックの女性連合が呼びかけた「貧困と女性への暴力の根絶」をテーマに2000年世界女性行進は160カ国4000団体をこえる女性が賛同を示し、大きな広がりをみせている。
 私たちはいま、国連や政府に要求を届けるためにサポートカードを全国から集めている。カードにはさまざまな切実な声が寄せられている。「女性が社会のなかで生き生きと暮らせることをのぞみます」(20歳)「妊娠・出産が自分の自由な意志で決定できる世の中になるように教育・福祉・医療を充実させてください」(40代)「世界に誇れる平和憲法を守り、平和の輪を世界に広げることのできる国であってほしい」(30代)などだ。
 9月22日に政府に要求書を提出する。10月15〜17日にアメリカのワシントンとニューヨークで集結集会があり、代表派遣にとりくんでいる。
 女性部の確立・強化と、女性がエネルギーを発揮することができるような組合での位置づけをお願いしたい。
 私は今回の訪中団に参加したが、9名中3人が女性だったが、これは全労連の国際的な見識の高さを示すこととなった。積極的な女性の位置づけをお願いしたい。女性役員の交流集会も期待している。
 女性部は9月に定期大会を開催する。児童虐待、少年事件など胸を痛める事件がつぎつぎと表面化している。安心してくらせる社会をめざして、女性を中心とした共同のとりくみをひろげていくことが私たちの課題だ。
 7月29日30日の日本母親大会、10月28日29に京都で開かれる「働く女性の中央集会」など要求で一致する共同行動を広げながら、職場からのたたかいをしなやかにすすめる決意をのべる。

全教 松村忠臣

 17歳の衝撃は私たちに何を問い掛けているのか、この間の少年犯罪はいまの競争社会、日本社会の歪みが出てきている。
 和歌山の調査では、「いまの社会を夢がある」が小学生で12%、中学生で7.1%。「学歴と金」だと回答したのは小学生(5年)37%、中学生70.3%に達している。子どもの問題はわれわれの未来の問題だ。財界・政府が教育の反動化を進めてきている。今年も教育国民大運動を進めていく。
 「21世紀初頭の目標と展望」に日本の次代を担う子ども、青年であり、18歳選挙権の実現をはじめ教育・文化問題について補強して頂きたい。
 7月31日から3日間、大阪で定期大会を開催する。大会開催は容易ではない。大会に対する右翼の妨害では「暴力革命」「血のメーデー事件」「宮本リンチ事件」などをおこした日本共産党に組織された全教という反共暴力宣伝がおこなわれている。地域住民との分断攻撃を加えてきており、地域住民との宣伝を強めてきている。この問題を真正面からとらえ、日本の民主主義全体の課題として労働組合の反撃・批判が必要だ。
 この大会成功で組織と運動の飛躍への場としていきたい。民主主義の課題として運動方針にも反映させて頂きたい。

日本医労連 田中千恵子

 先日開催された日本医労連第50回定期大会で、江尻委員長の後を受けて、新委員長に選任された。医療事故の問題と、安全で安心できる医療を提供するために国民的共同を進める立場から決意をのべる。
 昨年、横浜市立大病院で起きた「患者とり違え事件」は、現場で働く私たちに大きなショックをあたえた。その後も、消毒液点滴、呼吸器のスイッチ切れなど事故が絶えない。多くの看護婦は「明日は我が身か」「事故を起こす前に辞めようか」と悩みながら仕事を続けている。
 昨年、東京医療関連協が実施した調査では、9割の看護婦が「ミスやニアミスを起こしたことがある」と答えている。1年後の調査では、この1年間で90%の病院で医療事故防止対策がとられたが、73%の看護婦がミスやニアミスは減っていないと答えている。事故が減らない原因は、74%が「人手不足・多忙疲労」をあげている。25歳の看護婦は「不規則な勤務のため眠れない。注射を間違える夢を見て目が覚めてしまう。せっかく好きでなったのに辞めたくなる」といっている。
 なぜこうも事故が多発するのか。政府財界の21世紀戦略が医療の現場にそっくりあてはめられている。今年の秋には、第4次の医療法改悪がおこなわれようとしている。これは病床を急性期と慢性期に区分し、一般病床を減らそうとするものだ。慢性期病床は、医師・看護婦を含め、大幅に医療労働者を減らそうというものだ。
 さらに70歳以上のお年寄りの医療負担を大幅に引き上げる健康保険法の改悪もねらわれている。介護保険は矛盾を深めている。このように患者に負担を押しつけながら、医療経営の効率化・コスト主義、総額人件費抑制が徹底されようとしている。このことが、入院日数が減ったり、長時間夜勤の横行につながっている。
 日本の看護婦は110万人で、先進国の2分の1、4分の1だ。いつでもどこでも安心な医療を受けたいというのが国民の要求であり、安全な医療・看護をしたいというのが看護婦の願いだ。
 日本医労連は、「医療リストラ反対、200万人以上の看護体制の確立、患者の安全を守ること」をスローガンに、全県でキャラバンにとりくむ。健康保険法の改悪反対、介護の基盤整備、看護婦を200万人以上に増やしてなどを求めて、すべての自治体への要請行動にとりくむ。必ず成功させたい。「なくせ医療事故、増やせ看護婦」と現場の看護婦が自信をもって増員闘争に参加できるように、大きな旗を振りたい。21世紀にこの国の医療に責任をもつ労働組合として、全力をあげる。

福祉保育労 村木忠夫

 公的福祉を守るたたかいと組織拡大強化について発言する。今度の総選挙の解散直前5月29日に社会福祉事業と障害者福祉関係事業法の改正が行われた。具体的には2003年から、700万人におよぶ障害者の在宅福祉分野に民間活力を導入することになった。
 自公保政権の悪政がつづくなかで、社会保障・医療・年金の福祉要求が切実になっている。保育所の入所待機児童数は94年で5万人へと急増。解決の見込みはない。児童相談所によせられる児童虐待の件数は1万件をこえている。この4月から、介護保険制度がスタートしたが、重い負担でサービスを諦めざるを得ない高齢者が多数でている。また、経営がなりたたないなど、事業者にもしわよせとなってひろがっている。制度欠陥克服の国民的要求が高まっている。
 今回の障害者福祉分野で言えば、例えば、法定の障害者施設が1つもない市町村が全国の6割も残されている。その一方で、無認可共同作業所が4000カ所にひろがり、公的補助もとめる運動がねばりづよく繰り広げられている。内容づくりはまさにこれから、障害の重い人がサービスをしっかり得られる保証を、どうすればいいのか、低所得者がサービスから排除されないためには、どうしたらいいのか。人権の視点からみて大変日本はおくれている。
 それを告発すると同時に、新たな制度、福祉に対する公的責任の具体的追及に全力を挙げる。障害者高齢者が安心してサービス受けられるよう、基盤整備が必要である。大型公共投資から、福祉へ。予算配分の転換。労働者、父母、地域としっかり連帯して。小規模零細規模の民間福祉関係者との幅広い共同運動、福祉分野での共同統一行動の構築が重要。自治体行革との一体となっての福祉切り捨てが全国に広がっている。
 埼玉、愛知などで共同の県民集会、神奈川県庁包囲行動、障害者家族や経営者、社保協などで展開し、運動ひろがっている。しかし、福祉切り捨て攻撃は福祉労働者の権利切り捨て攻撃となって職場に広がっている。わたし達が本当に仕事と雇用、住民の権利を守るために、福祉保育労2万人組織建設達成を決意である。

年金者組合 森信幸

 運動方針を支持する立場から、年金者組合の活動を報告しながら、討論に参加する。
 6月に定期大会を開き、大きな決定をおこなった。この1年間、最低保障年金制度についての全組合員討議をおこなう。各単産からも積極的な意見を聞きたいので、全労連大会後、お願いにうかがう。
 年金改悪が強行された。総選挙直前、丹羽厚生大臣は、基礎年金国庫負担2分の1の実施を早めると記者会見した。またそのときに、年金積立金からとり崩しておこなうと答弁した。早速、大蔵省サイドはクレームをつけている。
 津島厚生大臣は新任あいさつのなかで「検討せざるをえない」と答弁している。約束の履行を迫られており、ここに矛盾がある。大企業のリストラ「合理化」による不安定雇用労働者の増大によって国民年金の空洞化が進んでいる。
 減反政策や農産物の輸入自由化で農業収入が減り、過疎の町村では年金に頼らなければ生活できない状況になっている。こうした情勢を反映して、いま政府にものを言わなければという自治体が増えている。最低保障年金創設を求める意見書採択は、1303地方議会に到達している。全自治体の39.5%を上回っている。最低保障年金制度確立の要求が世論となっている。
 自公保政権は、国庫負担を2分の1にすることと引き換えに、消費税の大幅増をはかろうとしており、われわれの考えと真っ向から対立している。掛け金なしでだれでも安心して老後を暮らせる最低保障年金制度の確立の要求をかかげてたたかうことは、最賃制確立の要求と表裏一体であり、労働組合運動の重要で緊急な課題だ。年金者組合は、大いに学習し、この運動の先頭に立ちたい。
 秋の3大要求のキャラバン行動は、大変重要な行動だ。参加各団体との要求のすりあわせと訪問自治体の分析、自治体労組訪問など細かい行動計画をたててとりくんでほしい。年金者組合は、高齢者4団体と8年間、キャラバン行動にとりくんできた。最近では、ひとつの自治体で3時間かけて話し合いをするという状況になっている。最低保障年金制度採択の意見書のねばり強い運動に支えられた結果だ。
 年金者組合は、全員が年金者だ。全労連参加のみなさんが近い将来年金者組合に結集してくれることを訴えたい。
 フランスでは年金者組合に特段の地位を与えている。イタリアのCGILもそうだ。こうした位置づけを全労連にもお願いしたい。6月の大会までに5万人達成をめざしてきたが、960人を残すところまできた。21世紀の早い時期に20万人組合員を達成したい。フランスやイタリアの人口比でいうとまだまだ小さいが、奮闘したい。

国公労連 小田川義和

 議案に賛成する立場から、行革闘争について発言する。2001年1月1日から省庁統合がスタートする。行政改革会議が目指してきた小さな政府=福祉国家ではなく、中央集権化・軍事国家化がすすめられ、新しい事態になっている。これは国家公務員の雇用に直接かかわるだけでなく、労働者国民の基本的人権を犯す問題だ。しかし、行革反対は、国賊扱いされかねない、大変なたたかいだった。それでも、3度の全国キャラバン行動、700万署名などを取り組むなかで、現段階の行政改革を憲法の基本的人権の尊重をないがしろにしているとして、国民的立場からの共同が広がった。
 あらたな行政機構の実施は既に決定済みである。大臣と政務次官、など政治家が4人程省庁トップに配置され、そこで利権争いの色彩が強くなる。
 労働条件についていえば、公務労働者の過労死は過労自殺にも現われている。あるいは、公務員削減の数あわせのための、国立病院の統廃合。こうした行財政の運営は、見過ごすことはできない。あらたな段階に至った行政改革にたいして(1)行政の実態や問題点、この間にどれだけ行政サービスは低下したのか、を展開する。情報公開法の民主的活用をどうするか。(2)国民視点でとりわけ、当面は、中央地方での懇談会に全力をつくす。(3)財政問題。国民的合意が必要。そのために政策的提言をつくる必要がある。
(4)国立病院・国立大学の独立行政法人化問題。(5)組織整備が必要。新たな省庁再編で、中労委の推薦など全労連の抜かりない対応をお願いしたい。
 国民のみなさんが臨む、行政、公務員像から、はなれるわけにはいかない。

福井県労連 平澤孝

 県労連は3月に結成され、10周年を迎えた。この7月に記念行事を実施した。
 県労連はこの10年間、小さい組織ながら、存在感をアピールし、たたかう旗をかかげて県内の労働者と県民を励ましてきた。くらし、平和、民主主義のどの課題でもたたかうことがきて、なくてはならない存在になっている。
 今日の厳しい状況のもとで、いまでは連合傘下の労働者までが首切りや賃金未払いで県労連に相談にきている。私たちと協力共同できるまでになっている。県労連もようやくローカルセンターとしての役割を果たせるようになった。
 トンネルじん肺闘争について。この5月で3年が経過した。この間、12回の公判が開かれ、第5次提訴で、51名全員が解決のテーブルについた。トンネル工事でじん肺になった人たちがじん肺の根絶と防止対策、被害の補償を求めたたたかっている。「じん肺闘争を支援する福井の会」もつくった。「あやまれ、つぐなえ、なくせじん肺」を柱に学習会、毎月2回の街頭宣伝、早期全面解決を求める署名、さらには自治体要請にとりくんできた。
 総理大臣あて署名では全国に先駆け、ゼネコンあての50万署名では1万4000の県内目標を突破した。20議会で意見書が採択された。労組訪問と結合させて対話と共同を大きく広げてきた。
 すでに5名が亡くなっている、3年経ったいま、いよいよ解決に向けて、たたかいの強化が求められている。
 第二に、JRのダイヤを改善させた。JRは昨年8月に、小浜線のワンマン化と北陸線全駅の無人化をやった。今年1月には、小浜線のダイヤの削減を発表した。沿線に中学校や高校、養護学校を抱えており、生徒のいのちと安全にかかわる問題として教職員の反対署名がとりくまれた。運動を広げるために「JRの安全とサービスを考える会」をつくった。JR要請、駅頭宣伝、自治体訪問、運輸省交渉県選出国会議員への要請などにとり組んできた。学校長、PTA役員への要請にJRも「問題があれば手直しを検討する」と約束せざるを得なかった。自治体シンポジウムもとり組まれ、商店街も要請し、マスコミも再三とり上げた。
 9618筆の署名と住民一致の運動のなかで、「通勤列車がなければ、特急で通え」「授業に間に合わなければ、始業時間を下げろ」という傲慢なJRにたいして、ダイヤを変更させることができた。この10年かつてなかったことだ。
 16年来反対しつづけている福井空港のジェット化・拡張をめぐる動きが急だ。2002年までに着工したい、来年夏には運輸省に許可申請を出すといっている。住宅密集地で危険であり、メリットもない拡張に経済同友会も反対している。広範な世論を結集し、県全体の運動に発展させる。学習会や街頭宣伝、署名にとり組み、10万の署名をめざす。
 共同は、要求が切実で一致していること、要求の相手がどこなのかをはっきりさせてこそ前進する。訪問し、対話し、労働者の要求をつかむことが求められている。そのためにも学習が大事だ。

山口県労連 森山文夫

 いのちと健康を守る山口県安全センター(山口県労安センター)を97年に結成した。
 この間、労安法の学習会をはじめ職場でも労安体制確立、労災認定闘争を進めてきた。
 一つは、98年4月におこった三戸労災だ。これは建設職場でクモ膜下出血をおこして死亡した事案だ。故三戸さんは連合宇部興産労組の組合員だった。組合は夫人の訴えを聞こうとせず、宇部地域労連が中心になって支える会を立ち上げてきている。
二つ目には、山縣労災のとりくみだ。山縣さんは農薬製造用の化学溶剤タンク内でトルエンを吸引し、急性薬品中毒になった事案だ。連合日産労組は会社と一体となって、労災隠しをおこない、宇部地域労連が中心に守る会を立ちあげた。
 三つ目に、連合宇部化学労組が連合を脱退し、労安センターに加入したことだ。連合が合理化に対するたたかいをしないことに見切りをつけたことだ。
 賃金・労働条件改善要求と労働安全衛生運動は労働組合にとって車の両輪であり、これらの運動を通じて県労連運動を前進させてきている。
 60万労働者を視野に着実に要求を実現していく運動を進めていきたい。

全教 三栄国康

 労働者の命と健康をめぐる新たな情勢と、これからのたたかいの方向を深めるために発言する。6月6日労働省は「労働者のメンタルヘルス対策検討会の報告書」を発表した。同時にこの報告に沿って「労働者の心の健康づくりの指針」を8月にも出す予定である。報告については、「いのけん全国センター通信」ナンバー18に見解が掲載されている。
 労働省が昨年7月29日に公表した「精神障害の労災申請にかかわる専門検討会報告書」と、9月14日にだした「心理的負荷による精神障害等に係る業務上外の判断指針」いわゆる認定基準。これらの中には、ルールなき資本主義といわれるこの日本社会を変革する重要な条件が提示されている。
 年間過労自殺が3万件をこえるのは、非常事態であり、財界にも危機感がうまれている。社会経済生産性本部のメンタルヘルス研究所は、「産業人のメンタルヘルスと企業経営」という調査研究を報告したが、そのまとめは、リストラ「合理化」に対して、反社会的暴挙として告発する内容となっている。リストラは、メンタルヘルス上の諸問題やモラルダウンと相関がある、と明言している。
 労働省報告書は、職業上のストレスについて、予防と補償の結合を明確にしている上、復職者への支援、労働環境の改善、負荷の軽減、労働時間改善など、事後措置についても言及している点で画期的である。また、事業者の安全配慮義務についてもくり返し強調している。
 安全衛生法では、事業者は、当該労働者の実状を考慮し、時短、環境配慮などをしなければならないとしている。職員に健康被害おきた場合、損害賠償を請求されることもある。リストラは、心の健康を損ない、その人の人格否定につながることもある、と医師の意見が書かれている。解雇規制法に利用できる重要な論点である。過労自殺問題が、長野、広島など各地で闘われてきたが、その成果でもある。
 安全衛生法101条では法律の周知をうたっている。それをしない事業者には130万円の罰金。これを無視している経営者は多い。組織労働者が、未組織労働者のためにも、取り組むべきことだ。

広島県労連 今谷賢二

 木谷過労自殺事件を中心に発言する。
 5月18日、広島地裁で画期的勝利判決を得た。6月12日、会社が控訴を取り下げ判決が確定した。全面的な勝利でたたかいが終結した。感謝したい。電通事件の最高裁判決とともに、労働者のいのちと健康をまもるたたかいの重要な到達としてよろこびたい。
 木谷君のお母さんの照子さんがたたかいを始めたとき、過労自殺の労災認定は半世紀にわたってわずか4件のみだった。96年3月の電通の大嶋勝利判決以後、状況は大きく変わった。98年には3件、99年には5件が認定され、99年度末で14件が認定となった。これらの一定の前進に木谷闘争が一定の貢献ができたのではないか。29日に、運動の中心を担ってきた「メッセージに応える会」の勝利報告集会を予定している。
 今回の教訓のひとつは、労働組合だけでなく、広範な市民を含めた会をつくり、全国に支援の輪を広げたことだ。労災申請すること自体が大変な勇気がいる。お母さんの勇気によって運動が広がった。96年3月に300人発足した「木谷公治君のメッセージに応える会」は、2000人の会となった。
 第二は、過労自殺がなぜ起きたのか、その実態を国会議員や地方議員、労働行政に徹底して伝えたことだ。会社の上司から報告書をとり、同僚から事件の詳しい状況を聞きとったことが大きな力となった。
 最後に、お母さんと親戚のみなさんのがんばりがこのたたかいを勝利に導いた大きな要因としてあげられる。とりわけお母さんは、この問題を一企業という狭い枠にとどめず、社会問題として「過労死のない社会に変えていく母親でありたい」と訴えてきた。この懸命な訴えが多くの共感を呼んだ。
 今日の深刻な労働環境のもとで、20人に1人が自殺する可能性があるといわれている。こうした深刻な事態にもかかわらず、職場でのサポート体制がまったく不十分だ。労働省はメンタルヘルス対策の強化をはじめたが、防止活動が最も大切だ。
 広島地裁の判決は、公治君の心身の異常を察知すれば事故を防ぐことができたとのべている。職場の人事配置についても考慮が必要と言っている。息子の職場に労働組合があればこの事件は防げたとお母さんはいっている。
 10日前、「いのちと健康をまもる西日本セミナー」が開催され、200人が参加し、大きく成功した。県内から89人が参加した。セミナーを契機に、広島でも「働くもののいのちと健康をまもるセンター」をつくろうと気運が盛り上がりつつある。木谷君のお母さんからも基金をいただいた。
 最後に、広島は10日後、55年目の暑い日を迎える。平和行進は本日、広島に入ってくる。核兵器廃絶を求める新たな局面のなかで開かれる今年の原水爆禁止世界大会は重要な意義をもっている。多くの代表が参加されることを訴えたい。

茨城労連 桜井勝治

 昨年9月30日、東海村にある核燃料製造会社・JOCで日本初の臨界事故がおきた。14半径350メートル圏内の住民に避難勧告、半径10キロ圏内の住民約30数万人が屋内退避、JOCと親会社が支払った補償金は約140億円に達している。
 国内には51基の原子炉がある。いま世界では「原子力エネルギーは見直そう」との方向が出されている。ドイツでは2020年までに「原発を全廃する」と発表している。
9月30日に「原子力の安全を考える県民大集会」を開いていく。全労連としてもエネルギー問題での政策提言が求められいる。
 4月に「巡回入浴サービス」会社の労働者2名からの労働相談があった。解雇理由は「会社が赤字だ」「男はいらない」「上司に口答えする」などだ。就業規則はない、社会保険はない、休暇もない、1日休むと1万円カット、というひどい職場だ。早速自治労連と相談、10数人いる労働者もまじえて数回の学習や話し合いを繰り返し、茨城県介護関連労働組合に加盟。たたかいを通じて解雇撤回はさせたが、全面解決にむけては前途多難だ。わたしたちがこの分野でのとりくみを特別に重視することが必要だと思う。

鹿児島県労連 有水千尋

 長引く不況のなか、鹿児島県労連では5月10日から3日間、労働相談110番を行なった。予想を上回る95件の相談がよせられた。これは昨年の1.6倍である。今回の相談者はすべて未組織労働者。労働組合のない職場の労働実態の深刻さをうらづけるものだった。また、別途、働く女性の労働相談110番もやったことで、女性の方が、男性より不安定で深刻な雇用環境におかれていることがわかった。
 相談内容は、全体の4割が賃金未払い、つづいて年休取得拒否2割。いずれも明確な労基法違反であり、経営者の基本的モラル欠如と、行政の指導不足が明確になった。
 不況で製造業、建設業で、人員整理・解雇相談ふえている。解雇予告手当さえ払えば、簡単に解雇できるという的外れな考えの経営者が増えている。県労連としては、県労働局に申し入れをし、経営者への指導や監督官の大幅増加など申し入れた。未組織労働者の組織化に向け、労働相談活動にひきつづき取り組む。
 郡山氷見子さんの不当解雇。生コンミキサー運転手の郡山さんは、99年に同僚4名と一緒に突然解雇された。そのうち彼女1人だけが裁判闘争をおこなった。裁判は楽観できないものだったが、郡山さん本人の職場復帰の気持ちと、全国からの署名の力とで、地裁では職場復帰判決がでた。しかし、会社は不当にも控訴。宮崎支部で控訴審となった。建交労と県労連中心とした守る会の力、宮崎県労連の支援での宣伝行動などに力をいれたところ、会社は態度をかえ、1年間の現職復帰と和解金を提示してきた。しかし、こちらからは3年間の職場復帰という和解条件を提示し、7月14日和解が成立、8月1日から職場復帰することになった。全国からの支援にあらためてお礼を申し上げると共に、他の争議の解決にも全力を注ぐ決意を申し上げる。

栃木県労連 武藤和志

 今回の大会は始めて通いで参加している。解雇規制、リストラ「合理化」について発言する。とりわけ解雇規制・労働者保護法の署名について。
 この署名は、500万目標にもかかわらず、70万程度にとどまった。栃木では3月の幹事会で意思統一し、2万5000の目標を設定した。結果は、5300筆で、目標の2割を超えたにすぎないが、組織人員を大きく突破した。決して満足できないが、全労連全体のとりくみとしてどうもスッキリしないと思っている。総括と方針を見ても、この印象は変わらない。
 今回の署名の結果に、戸惑いを感じている。これまで何につけても下位に低迷している栃木県労連として、新たな峯をさらに高めようという気になれない。そんな気持ちになってしまう方針だ。
 解雇は死刑宣告だ。これを許さない明確な提起を求める。
 労働相談は、組織化に結びつくケースが増えた。この1年間で4組合つくった。1組合が単産加盟した。過去最高だ。このなかには、20代の女性10人全員が組合に入ったケースもある。この女性たちは、組合をつくるときに、どんな名前がいいかと話し合ったが、たたかう女の名前がいいといって「闘魂ユニオン」と名付けてでがんばっている。
 これまでに経験のしたことのない組織化の形態が生まれ、県労連の仲間を大きく励ましている。
 10万人オルグと10万人学習運動の関連について。10万人オルグが提起されて4年経ち、昨年、10万人学習運が提起された。しかし10万人学習運動を今後どう発展させるのかの提起がない。10万人オルグのためには学習が大切である。10万人学習運動ということばが方針からなくなったが、これは議案書19ページの3−(1)に集約されたと考えていいのか確認したい。
 組織拡大推進基金について。基金である以上、その財源とどう使うのかの問題がある。今後検討していくということだが、可能な範囲でその考え方を明らかにして欲しい。
 10年目にして、県労連や地域労連のあり方について議論が進められつつある全労連の一翼を担うわれわれに求められるものはなにかということだ。10年を迎え、役員も替わった。単産も同様だ。初心に返った運動が求められている。「『21世紀初頭』の目標と展望」をしっかり受けとめ、奮闘したい。

岡山県労会議 藤田弘赳

 県知事選が10月5日告示、22日投票で県知事選がたたかわれる。県労会議は4月に明るい民主県政をつくるみんなの会を結成、県民本位の県政をめざして準備を進めてきた。建設官僚出身の県知事は大型開発の一方で医療・年金・教育の切り捨て、財政再建を口実に県職員の人事委員会勧告の凍結、一時金カットなど賃金切り下げを進めてきている。
 99年の1年間で609件の労働相談をうけてきた。倉敷でも常設してきている。100人近い労働者が組合結成、組合加盟をしてきている。
 ある運送会社の例で、運転手がの解雇手当てを出さない、離職表も出さないといういやがらせをしてきた。
 全国の労働相談活動の経験交流や個別紛争処理システムづくりにむけてとりくみを強化して頂きたい。

JMIU 塩原清志

 第17回、18回大会では争議支援の訴えできたが、19回大会では、解決報告ができることになった。6月15日に協議和解が成立した。解雇時点から6月30日までの賃金100%保障、退職一時金支給、今後60歳までの賃金の60%を保障という内容だ。
 われわれ7名は、悔しさ・思いを100%出し切ったということで、満足している。なんら、事前協議もなく、ただ受注減があるというだけで、一方的に解雇通告を受けた。58名の対象のうち、7名だけが組合を結成してたたかってきた。会津生協労働組合が、弱者に手をさし伸べるのが組合の使命だ、ということで「拾われた」。県労連、東北5県、東京、埼玉には大変お世話になった。世界のホンダ自動車が敵であり、地域の小さいたたかいでなく、大きなたたかいになるとわかっていた。地元では支援共闘会議、埼玉では本田金属支援共闘会議ができ、会社とホンダを攻めてきた。
 会社は最初団交のテーブルにも着かなかった。全く誠意のない会社。会社は弁護士をコロコロとかえてきた。
 勝手な首切りは基本的人権にかかわる問題。こういうことをやると、白い目で見られる。しかし、よくやったと。当たり前のことだ。それができない今の世の中がおかしい。人の尊厳とは何か、労働運動とは何か、連帯とは何かを、世に知らしめたと思っている。連合組合幹部は、正規の組合員は支援してくれた。道理をつくせば、局面は打開できる。われわれは身を持ってみなさんに知らしめた。支援あってこそ。今までの経験を広めていきたい。福島県知事にでるので、よろしく。

生協労連 杉山美代子

 パート労働者の立場から総対話と組織化について発言する。
 大会のこれまでの発言のなかでも、不安定雇用労働者の劣悪な状態が明らかにされているが、真っ先に賃上げにたいする攻撃を受け、働く時間のカットがおこわれているのがパートだ。全国の生協の経営が悪化し、総額人件費の切り下げがおこなわれている。生協のパートの賃金は地域の賃金より高いといって、賃下げ攻撃をかけてきている。
 私が働く静岡でも、人事制度の変更によって正規もパートも賃下げを受けている、とくにパートはひどい。理事会との交渉だけでは賃金引き上げが難しいので、地域に出ていっている。
 東海物流センターで全員解雇、パートは7割に減らすという攻撃がかけられている。生協労連東海地連のパート部会も応援して、パートの労働組合を180名で結成した。7月14日に結成大会を済ませた。組合の必要性は分かってもなかなか役員になってもらえなかった。最初、学習会を開き、準備会を何回も開き、この人はいけそうだという人を選んではたらきかけたが、「長」が決まらなかった。やむなく3名の代表として立ち上げた。
 この職場は、正規の職員の労働組合がなく、出向者が数名いるだけのところだ。仕事も午前午後とも別々のラインで、職場のなかで交流がなかったところだった。しかし、パートでも労働組合をつくることができることを示した。全労連のパート交流集会に参加し、要求のあるところにたたかいがあることを実感した。
 全労連が提起するパート連絡会を充実させるためにも、自分たちのところのパートを組織してほしい。各地にパートの連絡会をつくっていってほしい。要求は渦巻いているので、手をさしのべて、組織づくりに足をふみだしてほしい。
 大会方針案の賃金のたたかいのところだが、底上げと大幅賃上げはかかげられているが、格差是正と均等待遇の方針補強をお願いしたい。生協のパート部会は、同一労働同一賃金の原則に沿って、正規との格差是正をかかげてきた。、時間単価を正規と同じにしなさいと要求してきた。最賃を引き上げるたたかいももっと補強して欲しい。この数年間、4県で最賃審議会にパートが立候補している状況がある。

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