【談話】

憲法改悪につながる教育基本法改悪案の国会提出に断固抗議する

2006年4月28日
全国労働組合総連合
事務局長 坂内三夫


1.政府は本日午前、教育基本法「改正」法案(以下、法案)を閣議決定、国会へ提出した。
 法案全体に貫かれているのは「戦争する国」を支える人づくりという憲法違反の思想である。「国を愛する態度」を強制する条文がもり込まれた法案は、「国民」のための教育から「国家」のための教育へと大転換をはかる危険な内容を持つものである。平和・民主主義教育の指標である教育基本法の改悪は、まさしく憲法9条改悪と一体をなすものであり、全労連はこの法案提出に満身の怒りを込めて抗議するものである。

2.この法案の最大の問題点は、法案がその手続きにおいて徹底した秘密主義が貫かれている点である。自公両党による「合意」が反映されたこの法案は、その協議の舞台となった「与党・教育基本法改正に関する検討会」での3年に及ぶ協議内容は、一切非公開であった。さらに、今後の国会審議では、特別委員会を設置し国民にその本質を知られる前に早期成立を目論んでおり、国民不在の姿勢が法案の危険な内容を体現している。
 さらに法案の条文を見ても、国民の教育権の剥奪に加え、国による教育への支配・介入に法的根拠を与えるものとなっている。また法案には、「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである」と定めた第10条1項の空洞化、教育行政の教育条件整備義務の放棄、「公共の精神」の強調、義務教育の「9年」規定の撤廃、「男女共学」の削除、家庭教育への行政権力の介入といった反動的な内容が盛り込まれており、教育基本法の精神を根底から変質させるものであり、到底容認許できない。

3.私たち全労連は、憲法改悪阻止、国民投票法反対のたたかいとあわせて、教育の憲法である教育基本法を守りいかす取組みを職場・地域からまきおこしていく。
 当面、本日の4・28集会をはじめ5・10日比谷集会や国会前座り込みなど予定されている行動・集会の一つひとつを大きく成功させ、広範な国民諸階層との共同を強めて、廃案に向けて全力で奮闘することをここに表明する。

以上