【談話】

―「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律及び労働基準法の一部を改正する法律案」の可決にあたって

2006年4月28日
                             全国労働組合総連合
                             事務局長 坂内三夫


 本日、「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律及び労働基準法の一部を改正する法律案」は参議院本会議で採決され、附則で「法施行5年後見直し」規定を挿入する修正のうえ全会一致で可決された。

 全労連は、この間職場の差別を是正するために実効ある改正を求めてきた。法案は、妊娠・出産に関する不利益取り扱いの禁止やセクシュアルハラスメント対策を事業主の措置義務規定としたことなど女性労働者の声を一定反映したものになっている。しかし、男女賃金格差が是正されず、非正規雇用が拡大し、現行均等法が対応しきれない差別是正をおこなうためには、不十分な点が多い。附則に「法施行5年後見直し」規定が挿入されたことは、今後の法見直しへの足がかりとなった。

 昨日の厚生労働委員会の採決では、自民・公明・民主3党が提案した附則に「法施行5年後見直し」規定を挿入する修正案は全会一致で可決された。日本共産党・社民党が共同修正案を提案したが、否決されたことは残念である。「間接差別は厚生労働省令の決定後においても、機動的に対象事項の追加、見直しを図ること」など7項目の附帯決議を付し、全会一致で可決された

 厚生労働委員会での審議は、男女の賃金格差是正が遅れていることや、パートなど非正規労働者の増大、長時間労働などの実態が明らかになり、「仕事と生活の調和」を法の理念・目的に明記すること、「間接差別」の省令での限定列挙をやめ、例示列挙にすべき、雇用管理区分を廃止すること、賃金を均等法に加えることなどが参考人の意見陳述で述べられ、議論となった。政府側から「仕事と生活の調和は重要な課題であり、労働関係の法令全体を通じて実現につとめる」。「正社員とパートタイム労働者との処遇の問題はパート労働法で対応する」、「パートでも正規職員と変わらない形で働いていながら大きな差がついている問題は大きな課題だ。考え方がまとまれば、国会で方針を示したい」などの答弁がなされた。
 間接差別については、諸外国において、間接差別を限定列挙しているところはない。「判例の動向等」や均等室の相談事案等、審議会の議論により、厚生労働省令の見直しを行うとしているが、法律、省令で定められた以上の判例が出ることは考えにくく、厚生労働省令による限定列挙は容認できない

 全労連は、衆議院段階でも「仕事と生活の調和」を目的・理念に盛り込む、差別的取扱い禁止項目に「賃金」を加える、指針の「雇用管理区分」は廃止する、間接差別の禁止を狭める省令での限定列挙ではなく、指針での例示列挙とする、ポジティブ・アクションの「義務」規定化などの修正を求め、議員要請、国会請願署名に引き続きとりくみ、女性も男性も仕事と家庭を両立させ人間らしく働くルールの確立、実効ある「男女雇用平等法」の制定を求めて引き続き奮闘する。