【談話】

05年厚生労働省「労働組合基礎調査」について

2005年12月14日
全国労働組合総連合
事務局長 坂内三夫


 1.厚生労働省は本日、2005年労働組合基礎調査結果の概況(6月30日現在)を発表した。それによると、労働組合員数は1,013万1千人で前年に比べ17万1千人減、11年連続の減少となった。全雇用者数5,416万人のうち労働組合への推定組織率は18.7%で前年より0.5ポイント低下した。一方、パートタイマー労働者は1,172万人で、労働組合員数は2万6千人(7.3%)増え38万9千人となり、全組合員数に占める比率は3.9%、推定組織率は昨年同様3.3%となっている。主要団体別の組合員数は、産業別労働組合員数に都道府県単位の地方組織に直加盟している組合員を合わせると、連合667万2千人(前年比5万4千人減)、全労連95万4千人(同2万4千人減)、全労協15万6千人(同4千人減)であり、主要団体別の労働組合員数に占める比率は連合65.8%、全労連9.4%、全労協1.5%である。

 2.全労連調査(2005年6月末時点)による全労連の構成組合員は、産別組合員92万4千人、地方組織のみ加盟が26万8千人、地域組織のみ加盟が8万7千人、計128万人であり、厚生労働省調査と全労連調査との乖離は32万6千人ある。全労連加盟の年金者組合や地域組織単独加盟であるローカル・ユニオンが組織的前進を示しているにも関わらず、これら組合員をカウントしないことによって、全労連の組織人員は少なく見せかけられている。このことは、本年4月に発足する労働審判制度の労働側推薦数が本基礎調査の労働組合法適用人員に基づいて都道府県毎に割り振られることや、中労委労働者委員、政府審議会委員の任命にも影響する。したがって厚生労働省は、長年にわたる年金者組合やオブザーバー加盟組合を度外視することをやめ、全労連を構成する組織人員の全体を把握し、公正に発表すべきである。

 3.労働組合組織率低下の背景には、「小さな政府」論による公務リストラの広がりや、労働者派遣法、労働基準法改悪によって正規雇用から非正規雇用への置き換えが大規模に進められている中で、全労連を含め既存の労働組合が十分対応しきれていないことがある。
組織率低下に歯止めをかけ組織を増勢に転ずるためには、非正規労働者の急増に対応した個人加盟組織の強化やローカル・ユニオンの確立によって、労働者の要求を真に実現するたたかう労働組合が必要である。民間大企業構内に広範に存在する臨時・派遣、請負労働者など急増する不安定雇用労働者の組織化は全労連の緊急かつ最大の組織課題である。
昨年から、全国に配置した全労連オルグを先頭に、全組合員参加の組織拡大運動によって組織の減少に歯止めをかけ増勢に転ずるよう全力を傾注するものである。

以 上