【談話】

介護保険法等「改正」法案の採決に抗議する

2005年4月27日
全国労働組合総連合
事務局長 坂内 三夫


  1.  本日、「介護保険法等の一部を改正する法律案」(以下「法案」)が、衆議院厚生労働委員会において採決されたことに、全労連は強く抗議する。

  2.  法案の主な内容は、(1)要支援など軽度者の在宅サービス利用を制限、(2)介護施設の部屋代・食費を全額利用者負担に、(3)保険料は大幅アップになっていくなどもっぱら財政対策優先で、利用者・国民の負担を高めるものであり、「利用料が高すぎて必要なサービスも利用できない」「生活を圧迫する高い保険料」「34万人を超える特養ホーム待機者」「介護労働者の劣悪な労働条件」など、山積みしている改善すべき課題にはほとんど応えていないなど、問題だらけの法案である。

     厚生労働委員会での審議時間はきわめて短く審議は尽くされていないが、上記に加え、160万人の軽度要介護者には家事援助型サービスを「原則として行わない」とし、また「家事代行が生活機能を低下させる」との調査データがきわめて恣意的な活用であったことなど、「はじめに削減ありき」の法案であることが明らかになっている。また、介護労働者は非正規が83%、月収5万円以下が26%、10万円以下が69%(全労連等の調査結果)というように、いまでも劣悪な条件の改善策はまったくなく、反対に、今後給付抑制が予想されることを理由にした解雇や労働条件切り下げさえもすでに起きているのに、介護報酬の引き下げも問題になっていることは重大である。

     こうした問題点が明らかになるにつれて、運動団体や利用者だけでなく、自治体関係者や介護事業者などからも疑問や不安の声が高まり、法案反対の世論が急速に広がっている。

  3.  法案は、予防給付及び地域支援事業について施行後3年を目途に検討する等の修正がされたが、ごく一部でありまったく不十分である。また、被保険者及び保険給付を受けられる者の範囲拡大を含めて検討することが附帯決議されたことは問題である。

  4.  法案の審議は連休明けから参議院段階に移るが、全労連は、こうした大きな問題のある法案については、参議院では徹底審議されることを強く求める。
     全労連は本日、「全労連ヘルパーネット」を立ち上げた。全労連は、引き続き介護保険改悪反対の運動を全国で強め、「安心して利用できる介護保険制度」、在宅介護を支える「ホームヘルパーの社会的役割にふさわしい身分保障と人間らしく働き続けられる処遇を」めざし全力でたたかうものである。