【声明】

郵政特別委員会の設置に強く抗議する


 5月20日、政府と自民・公明の両党は、郵政民営化関連6法案を今国会でしゃにむに成立させようと、本会議で「郵政特別委員会」の設置を強行した。全労連と郵産労はこの暴挙に強く抗議するものである。

 「郵政特別委員会」の設置は国会の歴史の中でも異例である。かつて、電電公社がNTTに民営化されるにあたっての法案審議でも総務委員会で行っている。しかも、今回は民主、共産、社民等の反対を押し切って、与党だけで「郵政特別委員会」の設置を強行したものであり、議会制民主主義を破壊する暴挙として、断じて認めることはできない。

 政府は本日の本会議での郵政民営化関連6法案の提出は断念したが、そもそも橋本内閣当時に省庁再編基本法33条1項6号で、「民営化の見直しは行わない」と規定している。郵政公社が発足してわずか2年という時期に、自らが法制化したものを反故にするのは、あまりにも拙速であり、無責任極まりないものである。また、与党の間では審議入りする前から法案の修正が声高に叫ばれるなど、まさに欠陥法案の姿を露呈している。こうした法案を国会に提出して成立させるために「郵政特別委員会」の設置を強行したことは、国民を愚弄するものと言わなければならない。

 昨年9月10 日、「郵政民営化基本方針」の閣議決定以来、政府が6億円以上の税金を投入して郵政民営化の広報活動を行い、また、マスコミもこぞって民営化賛成の世論誘導を行ってきたにも関わらず、今日でも圧倒的多くの国民世論は「民営化反対、公社のままで、慎重に」が7割を占めている。また、すべての都道府県議会が「民営化反対、拙速な民営化は避けるべき、慎重な議論を」の意見書を採択している。「郵政特別委員会」の設置と今後の郵政民営化関連6法案の提出は、国民の意思と各自治体の意向を無視するものであり、憲法の主権在民と相反する行為として断罪せざるを得ない。

 郵政民営化関連6法案そのものも、政府がこれまで主張してきた論拠そのものがすべて崩れ去り、民営化のそもそも論が成り立たない状況に国会審議で追い込まれ、法案の矛盾が明らかになっている。「社会・地域貢献基金を創設して全国ネットを維持するならば、なぜ公社のままでいけないのか、そもそも1兆円で維持できるのか」、あまりにも実態を知らない無知と付け焼き刃と言わざるを得ない。また、分社化された会社の株式持ち合いで三事業一体を仮初めにも言うのであれば、なぜ公社のままではいけないのか疑問と矛盾は拡大するばかりである。

 小泉構造改革の本丸という郵政の民営化は、定率減税の縮小・廃止や社会保障の削減などでの新たな7兆円の国民負担の上に、350兆円の郵貯・簡保の国民の資産を多国籍企業や財界の食い物にさせるもので、通信や金融のユニバーサルサービスをズタズタにするものである。まさに国民にとって「百害あって一利なし」と言わざるを得ないものである。

 全労連と郵産労は郵政の民営化に反対し郵政民営化関連法案の成立を阻止し、国民のための郵政事業の確立に全力をあげるものである。

2005年5月20日
全国労働組合総連合郵政民営化反対対策会議
責任者(全労連副議長)  國分 武
郵政産業労働組合
中央執行委員長 山崎 清