【声明】

国立病院職員雇止め阻止闘争の到達点について

2004年4月1日
「国立病院職員雇止め阻止」全労連闘争本部


  1. 全労連は、国立病院・療養所154施設の4月1日からの独立行政法人移行にともない(1)組織の改変を口実に6千人をこす賃金職員(定員外職員)の「雇止め」(解雇)を許さない(2)公的医療の後退、医療サービス低下をさせない(3)働くルール確立と公的医療を守る国民的運動を強める、ことを目的にして「国立病院職員雇い止め阻止闘争本部」を発足させ、約7ヶ月間全国的に力を集中し様々な運動を展開してきた。

  2. 賃金職員の「雇止め」問題をめぐる闘いでは、約6千人の賃金職員のうち看護師など約半数の賃金職員の正規採用を実現するという一定の到達点を確保した。しかし、それ以外の賃金職員は、週30時間以内のパートか委託業者への就職斡旋という厚生労働省の不当な方針が押しつけられることとなった。そのため今でも低い賃金がさらに大幅にダウンすることから退職者が相次ぎ、その結果、従来の医療体制が維持できず患者へのサービスが低下するところもでてきている。我々は、パート・委託の仲間を含む医療労働者の雇用と労働条件改善の闘いは医療サービスに直結する重要問題と位置づけ、引続き闘いを継続・強化する。

  3. 我々は、各施設長に一切の権限を与えず、地域住民や患者団体などの要請や陳情にも誠実に対応せず、病院職員の雇用・賃金の死活に関わる問題を「管理運営事項」として労働組合との交渉もまともに行なわない厚生労働省の責任を厳しく糾弾する。更に就業規則制定にあたっても、正規職員の賃金の大幅な切下げを含む一方的な不利益変更を押しつけ、交渉を打ち切った。こうした厚生労働省の不当な対応は、独立行政法人移行にあたり「円滑な労使関係」を求めた国会の付帯決議・大臣答弁にも反するものであり、また国民の生命と健康を守り公的医療の充実を願う国民多数の期待に背く行為といわざるをえない。

  4. 一方で、我々の中央・地方・地域における闘いを通じて、70万筆を越える個人署名の集約、全政党の国会議員との懇談と協力、308自治体決議・意見書採択、地方厚生局・労働局への要請、施設長への申入れ行動等など多様な運動がひろがり、弁護士やマスコミの協力もえて、患者・住民団体をふくむ多くの国民の「雇用と医療を守れ」の世論をひろげてきた。職場では、労働基準法で定める過半数組合の確保にむけて全医労は組織拡大に全力をあげ、154施設中75施設で過半数を確保した。さらに、「労働者過半数代表」を選ぶ取組みでは、多くの施設で当局派代表との激しい選挙戦になったが、全医労の推薦する代表が各地で圧勝した。この結果過半数組織とあわせ141施設で全医労が36協定締結権を確保するという大きな成果をおさめた。そして当局は、労働協約・協定の締結をめぐっても労働組合の主張を認めざるをえない状況をつくりだしてきた。また闘いのなかで組合員をかつてなく大きく増やし、当局の狙う労働組合活動の規制・弱体化を許さない到達点を築き上げてきている。

  5. 4月からの独立行政法人移行にともない、各施設での「効率性」「採算性」優先による公的医療の切捨てや更なるリストラが懸念されるもとで、労働組合の果たすべき役割は従来にも増して重要になっている。患者と住民の命と健康をまもるために、医療事故のない職場、働きやすい職場をきずくため今後も全力で闘いを強化するものである。