【談話】

被災者生活再建支援法一部改正案の可決・成立にあたって

2004年3月29日
全国労働組合総連合
事務局長 坂内 三夫


 本日参議院災害対策特別委員会は、政府提案の「被災者生活再建支援法の一部改正案」を可決し成立させた。付帯決議では、4年後の見直しを盛り込み全会派一致で確認した。 この法律は1998年5月に、阪神・淡路大震災の救援・復興の全国の取り組みの教訓を受けて創設された。しかし当初から多くの不十分さが指摘され、国会付帯決議で法施行5年後をめどに見直すことが盛り込まれていた。
 この5年の法施行の間には、有珠山や三宅島の噴火、九州・東海・北海道の豪雨、鳥取西部地震、宮城地震などが発生し、適用については所得制限などによって支援を受けることが出来たのは一部の被災者であった。
 被災者生活再建支援法は、「私有財産に公的支援はしない」との政府の見解のもと、本来の要求であった住宅建設や補修は除外され、限定された制度創設となっていた。今回被災者生活再建支援法の支給限度額が現行100万円から300万円に引き上げられ、最大200万円を支給する「居住安定支援制度」が創設されることは、一歩前進であるが、適用範囲、支給対象、支給金額、支給基準など多くの問題を抱えている。
 全労連は、(1)関係経費だけでなく住宅の建設・補修費にも適用し住宅再建支援金は500万円とすること、(2)適用範囲はすべての被災地を対象とし、全壊戸数要件などは撤廃すること、(3)支給基準の年齢、年収による制限を大幅に緩和し、被災者の救済に実効のある住宅・生活再建支援制度の公的支援の実現を求める。
 今後とも政府に対し、阪神・淡路大震災発生から9年余の教訓を生かし、災害による暮らしや営業の崩壊から被災者の生存権を守るために、全国災対連と共同して運動を強めていく。