【声明】

自衛隊のイラク派兵「基本計画」の閣議決定に対する抗議声明

2003年12月9日
全国労働組合総連合


 政府は本日、12月9日、自衛隊のイラク派兵に関する「基本計画」を閣議決定した。

 閣議決定は、「イラク派兵に反対」「慎重な対応」を求める9割に迫る国民の世論に背を向けるものであるばかりか、日本国憲法に真っ向から挑戦するものであり断じて容認することはできない。

 今回の基本計画の閣議決定は、何の大義も道理もない米ブッシュ政権のイラク攻撃と軍事占領に追随するものである。さらに閣議決定は、イラクの主権と平和の回復、テロ根絶に完全に逆行する。

 二人の日本人外交官の殺害や政府専門調査団自身の「襲撃などの可能性の存在」を認める調査概要が示すように、イラク全土は、今まさに「戦争状態」である。政府・自民党が広範な国民の反対を押し切って決めた「イラク特措法」が定める「非戦闘地域への派遣」や「安全確保義務」に照らしても今回の閣議決定は、いかなる法的根拠も正当性も持ちえない。

 さらに自衛隊のイラク派遣について、イラク民主化指導者のアブドルアミール・アル・リカービ氏も「現状のままでは占領軍と一体化する」として改めて「反対」を表明(8日)している。派兵の必然性は、完全に喪失している。

 世論から孤立を深める政府は、自衛隊のイラク派兵を人道復興支援活動と描こうとしている。しかし、今回の基本計画には、米軍などの治安維持活動の後方支援にあたる安全確保支援活動も掲げられ米軍の武器・弾薬の輸送も可能としている。まさに軍事支援そのものである。

 全労連は、1989年結成以来、広範な日本の労働者・国民、さらに世界の労働者とともに、その行動綱領に掲げた反戦平和にむけ一貫して奮闘し続けてきた。

 62年前の12月8日、日本は第2次世界大戦に突入していった。この侵略戦争の最大の犠牲者は圧倒的に労働者・農民であった。この過ちを再び繰り返してはならない。

 全労連は、そうした立場に立って自衛隊のイラク派兵を断固として阻止し、派兵断念に向けた闘いを一層強化する決意を表明する。さらに、日本のすべての労働者と労働組合が、この闘いに総決起することを心から呼びかける。