【談話】

03年度地域別最低賃金額改定目安の答申について

2003年7月24日
全国労働組合総連合
事務局長 坂内三夫


(1)中央最低賃金審議会は本日、厚生労働大臣に対し、2003年度の地域別最低賃金改定目安について、答申をおこなった。今回の答申は、目安の「金額に関し意見の一致を見るに至ら」ず、公益委員見解及び目安小委員会報告を地方最低賃金審議会に提示するものになった。そして、地方最低賃金審議会において「公益委員の見解を十分参酌され、自主性を発揮されることを強く期待」するとされ、公益委員見解では「引き上げ額の目安は、各ランクとも0円」とされた。

 今回の答申は、使用者側委員が強く主張してきた最賃額引き下げを否定したものの、低すぎる現行最賃の水準引き上げを強く求めた労働団体の要求には応えないもので、全労連は強く抗議するものである。

(2)今回の審議では、使用者側委員が強硬に目安の引き下げを主張した。現下の経済状況は厳しいものの、経営状況が芳しくないとか物価が下がったからなどといって、それらに連動して最低賃金を引き下げなければならないほど、現行額は高い水準にはない。「賃金構造基本統計調査特別集計」によれば、昨年の最低賃金の影響率は1.2%にすぎず、このことは、現行の最低賃金の低さを示している。現行最低賃金の水準は、生活保護水準を下回っているのである。そもそも、働いて得る賃金は「労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない」(労働基準法第1条)と定められており、最低賃金法でも「労働者の生活の安定、労働力の質的向上及び公正な競争の確保に資する」(第1条)としている。

(3)現行最賃は、最も高い東京のケースでみても、フルタイムの平均時間分働いて税込み月収11万円強、年間で約133万円にしかならない。これでは、単身者の標準生計費にも至らず、まともな生活をおくることはできない。「働いても生活できない」現行の最低賃金の水準は、直ちに引き上げられねばならないのである。

 また、国際水準であるパート労働者の「均等待遇」を実現するためにも、時間給労働者に強く影響する最低賃金の引き上げが求められているし、景気対策のためにも引き上げることが求められているのである。

(4)本日の答申をふまえ、地方審議会における地域別最低賃金改定審議が焦点となる。昨年は「引上げ額の目安は示さない」としつつも、「現行水準の維持を基本としつつ、地域の実態を踏まえた適切な対応がなされることを切に希望する」とし、実際に17県で1円の引上げ決定をみた。「0円」などという公益委員見解を突破し、答申が求める「自主性を発揮した」地域別最低賃金の引き上げ実現をめざして、全労連は各単産・地方組織とともに、さらに運動を強める決意を表明するものである。


以 上



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