【談話】

政府・JRはILO勧告(採用差別事件)を真撃に受けとめ、早期解決をはかれ

2003年6月20日
全国労働組合総連合
国鉄闘争本部長 熊谷 金道


  1. ILO結社の自由委員会は、6月20日、日本政府に対して国鉄分割・民営化にともなう全動労および国労組合員1047名の採用差別事件に関しあらたな勧告を行った。
     その中心点は、「委員会は、政府と関係当事者が可能な限り最大多数の労働者に受け容れられる公正な解決を見出す方向で努力するよう強く主張する。当事件が1987年にまで遡るものであることを考慮し、また、最終的に見出されるどのような解決もますます幻のものにしてしまう、死亡もしくは退職年齢をすでに超えてしまった、苦しみを受けた労働者の数に関して提出された証拠を考慮するならば、このことはますます緊急になっている」である。全労連および建交労は、政府・JRがこの勧告を真撃に受けとめ、直ちに解決のためのテーブルにつくことを強く要求する。

  2. 勧告は、全動労事件判決にふれて、「東京高裁が2002年10月判決で初めてJR各社に責任があること、また、同裁判所はこれが不当労働行為にあたらないと述べたにも関わらず、国労および建交労の民営化計画に対する反対がまさに再雇用を決定する一要因であったと裁定したことに留意する。委員会は本件が結社の自由原則、すなわち、採用における差別待遇の点から極めて重大な問題であり、政府によって取り組まれるべきであることを強調する」とした。これは、司法機関を含むすべての国家機関が尊重しなければならない結社の自由に関するILO条約(ILO第98号、87号条約)に反する判決であることを厳しく指摘したものである。その点で、東京高裁の「国是である国鉄再編に反対する者を差別しても不当労働行為にあたらない」という判決は、国際的にもまったく通用しない反動判決であることがあらためて鮮明になった。

  3. 今回の勧告は、これまでの勧告・報告と同様に政府の責任を厳しく指摘するとともに、17年もの長期に渡る事件の解決は緊急性があることを強調している。政府は最高裁判決の動向を待つのでなく、政府とJRの責任で、人道的な立場からも直ちに解決のためのテーブルにつくことを重ねて要求するものである。



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