【談話】

「今後のパートタイム労働対策の方向」〔報告〕について

2003年3月20日
全国労働組合総連合
事務局長 坂内 三夫


  1.  労働政策審議会雇用均等分科会は18日、「今後のパートタイム労働対策の方向」についての報告を労働者委員の反対の意見書をつけてまとめた。
     報告は、パート労働者の最大の要求課題である現行パート法の努力義務規定をそのままにし、指針の改正のみを行うことを打ち出した。さらに、昨年7月に出され、審議会の討論素材であった「パートタイム労働研究会・最終報告」が示した、目指す方向としての法制化さえも明記していない。
     パートタイム労働法が施行されて10年が経過したものの、パート労働者の労働条件の改善が進んだと言いがたい現実がある。政府調査でも正規労働者とパート労働者の賃金格差は拡大していることが示され、「研究会最終報告」でも今、対策を講じる必要があるとされている。
     パートタイム労働法に「均等待遇」を謳い、努力義務でない法的強制力をもたせることが必要であることは、労働者委員が分科会において幾度も主張してきたが、結果的に均等待遇の法制化を先送りした報告が出されたことは、誠に遺憾である。パートタイム労働者の期待を裏切る分科会報告に対し、強く抗議の意を示したい。

  2.  現在、国会には労働法制の大改悪法案が提出されている。有期雇用契約の期間上限延長は、首切り自由化の法改悪とあいまって、使用者にとっては、いつでも自在に労働者の置き替えができるような都合のいい法改正となっている。反面、労働者にとっては一層の雇用の不安定を生み出す究極の改悪となっている。このような非正規雇用の大量創出、雇用の流動化の強力な推進の一方、こと非正規雇用労働者の待遇改善については消極的対策に終始し、法制化を行わないとなれば、労働市場全体の著しい不均衡、労働条件の一層の低下のみをもたらし、最終的には日本経済全体の活力を低下させることになりかねない。

  3.  全労連は「均等待遇」を明記し、実効ある法改正を求める。野党超党派でのパート議員連盟においてパートタイムの均等待遇実現の法案を今国会に提出しようと準備が進められている。全労連は同法案を支持し、その成立に全力をあげる。また、パート・臨時で働く労働者の組合加入を促進し、運動の主体的力量を一層、強めて奮闘する決意である。

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