【談話】

総務省/労働力調査結果について

雇用情勢改善のための抜本的政策転換を求め

2003年1月31日
全国労働組合総連合
事務局長 坂内 三夫


  1. 本日、総務省が発表した労働力調査によれば、2002年平均でみた完全失業率は、前年を0.4ポイント上回る5.4%、359万人に達したことが明らかになった。調査開始以来最悪の事態である。同時に発表された昨年12月の完全失業率も、女性の失業率が0.4ポイント上昇したため5.5%と過去最悪に並んだ。
     これらの結果を受け、坂口力厚生労働大臣は記者会見で「雇用情勢は厳しく、今後も予断を許さない」と発言したが、事態の深刻さからみて、はなはだ無責任な態度といわざるを得ない。現在の事態を生み出した主たる要因は、深刻な雇用・失業情勢に何ら有効な手立てをうってこなかった政府の責任である。そのうえ、国民には3兆2400億円にものぼる医療・介護などの負担増の「痛み」を押し付け、「不良債権処理」の先行・加速化で、新たに数万社の企業倒産、300万人をこえる失業者を作り出そうとしている。このことは消費者心理を悪化させ、ますます個人消費の冷え込みによる景気の悪化を誘い、景気の回復を遅らせるものである。

  2. 失業の直接的原因は、大企業の身勝手なリストラが、労働者の雇用と中小企業の経営基盤を崩してきたことにあるが、政府はリストラを法制度整備で後押しし、労働者保護も中小企業育成も後退させてきた。現在の長期不況は、97年の消費税増税という、世界中から政策ミスを指摘された施策によって生み出されたものである。それにもかかわらず、いま日本経団連など財界・政府が増税姿勢を明らかにして、消費マインドをさらに冷え込ませようとしている。また今国会では解雇自由ルールや裁量労働制の適用拡大などをふくむ労働法制の全面改悪を狙おうとしている。

  3. いま、小泉内閣の方向は、あからさまな対米従属、大企業中心主義へとむかい、雇用の安定・安心を求める労働者の切実な要求とは、正反対の方向にひた走っている。通常国会冒頭以来の首相の姿勢をみても、この方向があらためられる見通しはとぼしい。
     全労連は、政府の経済政策と03年度予算とを大企業重視から労働者・国民重視へと大幅に組み替えることを強く求めると同時に、これ以上の雇用・生活破壊に歯止めをかけ、日本経済の再生をめざす03春闘の前進にむけて、力強くたたかい抜く決意をここに表明する。


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