女性労働者の「使い捨て」をなくすための労働者派遣法の抜本改正を求めるアピール
労働者派遣法の一部を改正する法律案要綱を審議していた労働力需給制度部会は2月24日、法律案要綱を「おおむね妥当」とし、職業安定分科会に報告することを了承。労働政策審議会はその内容を、長妻厚労相に答申した。その内容は、現与党三党の政権合意や昨年の総選挙で民主党が掲げたマニフェストからも大きく後退し、「改正」とは名ばかりになることが想定される内容が含まれ、自公政権下で提案された法律の規制緩和も盛り込まれている。
法律案要綱では、登録型派遣の「原則禁止」をいいながら、「専門26業種」は禁止の例外としている。現状は「26業務」の「事務用機器操作作業」や「ファイリング」は「一般事務」に置き換えられ、多くの女性労働者が当てはめられて使い捨てとされてきた。
労働者派遣は「高度かつ専門的な業務に限定する」という原則に立ち返り、専門業務の見直しを行い、登録型派遣・日雇い派遣は禁止し、常用型派遣は、「期間の定めのない雇用」であることを明記すべきである。
また、事前面接などの特定目的行為の解禁と、期間制限のない業務において、3年を超える期間継続して同一の派遣労働を受け入れている場合の派遣先企業の労働契約申し込み義務の免除が法律案に盛り込まれたが、『直接雇用の原則』を骨抜きにするものであり容認できない。事前面接が解禁されれば、出産や育児などを理由にした女性労働者の排除などが予想される。現行法ですら、「育休切り」が横行していることを考えれば明白である。これらの内容は、旧政府案の改悪部分であり、断じて許されない。
派遣先企業の責任が欠落していることも問題である。団体交渉応諾義務の明記がなければ、不利益をうけても泣き寝入りせざるをえない状態がますます蔓延する。
均等待遇原則についても、「均等」ではなく「均衡を考慮した待遇」「配慮」とされていることも問題である。派遣労働者の低賃金構造を是正し、安上がりな労働力として企業が使うことを是正しなければ、男女賃金格差は縮小するどころか拡大傾向につながる。政府は昨年、国連女性差別撤廃委員会から日本の男女差別の是正を厳しく勧告されており、国際社会の声を真摯に受け止めるべきである。
全労連女性部は、女性も男性も人間らしく働くことのできる社会の実現にむけ、労働者派遣法を抜本改正し、派遣労働者保護を目的とする法改正を求めて、職場・地域から大きな運動の波を巻き起こすことを呼びかける。
2010年3月2日
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